- ビットコイン急落
- ビットコインは、方向性を見定めていた動きから一変、レンジ相場をブレイクする形で2度の急落を記録し、24時間の値幅では4万6000円の暴落相場を経て、40万円をついに割った。本記事では現在の下落要因と専門家の最新意見、また新たに見られたポジティブニュースを掲載。
仮想通貨市場
1月11日の仮想通貨マーケット情報
ビットコイン
8時時点のデータは以下の通り。
価格 | 前日比 | |
---|---|---|
現在値 | 394,223円 | 9.02%安 |
24h高値 | 435,399円 | |
24h安値 | 389,000円 | |
出来高 | 7393億円 | 5534+33.59% |
仮想通貨市場でビットコインは11日、方向性を見定めていた動きから一変、レンジ相場をブレイクする形で2度の急落を記録し、24時間の値幅では4万6000円の暴落相場を経て、前日比で9%安となる39万円台で推移している。
ビットコインのチャートを見ていくと、BTC1時間足bitFlyerのBTC/JPYでは、12月16日より右肩上がりに続いたサポートラインを割った後、年末から複数回ワークしていた青線のラインで一度下げ止まってはいるものの、再度下落に転じ、1月1日の安値水準を割っている。7日前水準比でもマイナスに転じ、年初来安値を下回った形だ。
下落幅が最も高いBitmexやbitFlyerでは割っているが、Coinbaseなどの米ドル建て取引所の価格でみると、12月28日の安値付近で下げ止まっていることもわかった。
当時の状況を取引所別に掲載し分析を行なったハル氏(@kasou365)は、BTCの下落はBitfinexの下げが先行し、BitMexで強い売りが発生したことを分析結果として挙げている。
おはようございます。
— ハル (@kasou365) 2019年1月10日
昨夜の急落は動画より①-④の静止画が分かりやすいので紹介。
①最初はBitfinexの下げから
②BitMEXで強い売り。下落幅はBFFXの約2倍
③BFFXも40万円を割り急落
④最安値はBFFXがBitMEXの落ち幅と同程度 & -1.3%の乖離率へ
取引所毎に値差が大きい時は引きずられますね。 pic.twitter.com/WMf7mW4MUw
また、アルトコインもビットコインにつられる形で、軒並み前日比10%を超える全面安相場になっており、イーサリアムやビットコインキャッシュ、EOSなど、時価総額上位の通貨にも15%を超える通貨が目立つ状況にある。
下落要因
なぜ相場は急落したのか?現在わかる状況を以下にまとめた。
イーサリアムがBTCに先行して下落
昨日10日14時にビットコインが急落したタイミングで、時価総額ランキングを確認すると、イーサリアムが極めて高い下落を記録していた。
下落幅が大きかったことから、CoinMarketCapの時価総額でも一時引き離していたリードをまるごと打ち消し、3位に転落したほどである(XRPが2位に)。
チャート比較でBTC(青)とイーサリアム(黄色)を並べると、イーサリアムがビットコインに先行して下落していることがわかった。
イーサリアムが急落した要因の一つとして、米有力経済誌ブルームバーグの取材に応じた、香港の仮想通貨リサーチ企業CoinFiの創設者であるTimothy Tam氏が、今回の仮想通貨急落の1時間ほど前、海外取引所にて40,000ETH(5.7億円相当)が移されたことを観測したことを報じている。
Tam氏は、この大きなイーサリアムの移動が、売却の意思を示す可能性は高いとした上で、大量売却が裁定取引トレーダーによって(価格のさやどり)世界的に売られる状況へと発展し、ドミノ倒しのような連鎖反応を起こす可能性を指摘していた。
取引所のLS比率
LS比率を見る上で重要なBitfinexのポジションを見ていくと、Bitfinex年末年始よりロングがショートを上回る動きが続いていた。
またBitmexでもロングに大きく偏っている状況が確認されており、相場の上値を重くする要因として見られていた。
実際、本日のBitmexのポジションチャートを見ていくと、ビットコイン相場が急落した日本時間1時過ぎのタイミングで2万BTCのロスカットを記録しており、下落後の水準より高いポジションが燃料となり、下落を助長させたようだ。
11月のビットコイン下落要因から見る現在の状況
現在のビットコインの下落を見ていく上で、尺度を広げ、11月に見られた下落の要因から現在の状況を見ることは重要になる。
11月の下落の要因として大きな動きは、ビットコインキャッシュのハッシュ戦争(PoW関連)、マイニング収益悪化による中小規模マイナーの撤退、その後のマイナーの寡占化である。
ビットコインキャッシュのハッシュ戦争で、投資家心理が悪化したことで相場が下落、マイナー撤退による通貨売却につながる直接的な売り圧力に繋がった形だ。
これらの状況を踏まえた上で、現在を見ていくと、類似点が多い状況に陥っていることがわかる。
まず、本日の仮想通貨市場の投資家心理が冷えこんだ理由の一つとして上げることができるのは、イーサリアムクラシックの51%攻撃だ。
発覚したのは8日、米Coinbaseが、イーサリアムクラシックに対する51%攻撃を含む【Reorg】行為を(2019/1/5)発見したと報道したと報道したのが発端だ。
その後、日本でもETCを取り扱うコインチェックやbitFlyerが攻撃の懸念があるとしたことで、対応法方針を発表するなど、世界の取引所が相次いで対応、51%攻撃の状況が投資家へと広がった。
「51%攻撃」は過去にも、ビットコインゴールド(BTG)や、Verge (XVG)に至っては二度、巨額の損失を被り、そのネットワークハッシュレートの問題が相場の懸念材料として、市場価格へと影響していた。
ビットコインの様な大規模ハッシュレートを有する通貨は、検閲耐性が極めて高いため、これらの攻撃の対象にはならないと言えるが、これらの通貨と同じPoWコンセンサスの仕組みを持つ通貨は、マイナーのハッシュ移行による影響を受けやすい。時価総額の高いイーサリアムクラシックも標的になったことで、根幹を支えるマイニングパワーによる信頼性の証明に疑問の目が向いた形だ。
ETCの後にも、海外コミュニティでは多くの通貨のハッシュレート比率が話題となり、実際に攻撃報告はないものの、他の通貨へも攻撃が続くのではないかとの懸念が挙がっていた。
ファンダメンタルズ的な側面から相場の上値を重くしていた要因として挙げることができる。
マイニングハッシュレートとマイニング収益分岐点
11月の急落時から12月にかけて、下落相場が続いたビットコインは、高いハッシュレートに逆行して価格が下落したことで、デフィカルティの調整が追いつかず、マイニング収益点を大きく割ったことが指摘されていた。
マイニング収益が厳しい状況に置かれたことで、マイナーの撤退が相次いで報告されたが、撤退マイナーや、下落の影響をヘッジするために、通貨を売却(市場供給量が直接売り圧力になるパターン)する動きに繋がったと見られて、11月の下落を後押しする悪循環が続いていた。
下落相場の一服後は、再度ハッシュレートも上昇に転じており、すでに直近最低値水準のハッシュレート:約34,000,000,000 GH/s(12月16日)から43,000,000,000GH/sまで回復している。
現在のハッシュレート水準は、11月にビットコインが下落している真っ只中の11月20日水準と同じで、その当時のBTC価格は5000ドルとなる。
これらの状況を踏まえると、すでにマイナーやマイニング収益分岐に再度影響が出ている可能性はあるだろう。現BTC価格は、12月28日の安値水準で下げ止まっているが、ここを抜けた後、さらに下落が進むとマイニング収益分岐懸念も再度拡大する可能性があることは押さえておきたい。
また、マイニング関連の動きとして、マイニング企業最大手のBitmain創業者ジハン・ウー氏とツァン・ケチュアン氏の退任の可能性がSouth China Morning Postによって報じられたが、これは以前より噂として挙げられているもので、今回の記事でも未だ可能性の範囲として報道されているため、Bitmainからの公式発表には至っていない。
また、辞任すると報道されている二人も、ボードメンバー(経営陣)には残るとされており、相場の大きな懸念材料にはならなそうだ。
専門家の意見は?
経済学者で仮想通貨トレーダーとしての分析に定評のあるAlex Kruger氏は3600ドルが重要ラインであると述べている。
Why IMO 3600 matters. Consolidate below and there's a bull trap above. Simple. pic.twitter.com/fj9EIf3TQm
— Alex Krüger 🇦🇷 (@Crypto_Macro) 2019年1月10日
なんて素晴らしいダンプだ!BTCが私の買いゾーンの3500〜3600ドル付近に戻ってきた。
3300ドル以下では利確して見直す必要があるが、本日は3700ドル以上で1日を終えて欲しい。3600ドル以下で価格が落ち着くとさらなる下落にバランスが傾くからだ。
3600ドルラインが重要な理由、それはそのライン以下で市場が再編したらブルトラップが上で待ち構えているからだ。
またeToroのシニア・マーケット・アナリストのMati Greenspan氏は今回の下落に関して特定の要因を名指ししなかった。
Greenspan氏ビットコインが再び3000ドルラインを試す可能性も否定はしなかったものの、「通常の仮想通貨特有のボラティリティが戻っただけ」と仮想通貨メディアのCryptoGlobeに対して発言した。
Nothing to see here. pic.twitter.com/FnbRNZM7D5
— Mati Greenspan (@MatiGreenspan) 2019年1月10日
何も見るものはない。
Morgan Creek CapitalのCEOであるAnthony Pompliano氏もGreenspan氏同様、具体的な下落要因については言及を控えた。
Lots of people will claim they know why Bitcoin's price dropped today, but the intelligent investors know it is simply because there are more sellers than buyers.
— Pomp 🌪 (@APompliano) 2019年1月10日
This is a game of accumulation. Proceed wisely.
多くの人がビットコイン価格の下落要因を知っていると言うだろう。しかし賢い投資家は単純に買い手より売り手が多かっただけである事を弁えている。
CNBCの専門家「これはバブル」
米経済番組CNBCの「Futures Now」で仮想通貨市場の下落に関してCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のAnthony Grisanti氏とCNBCのがScott Nations氏が言及した。
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Anthony Grisanti氏
ビットコインはバブルであるため、本来は昨年末見られた下落で弾けるべきだったが、結果的にそうはならなかった。
私は3800ドルでショートを入れた。
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Scott Nations氏
ビットコインはバブルだ。
20代のみなさんは本当のバブルを経験した事がないだろう、2008年はまだ10代、インターネットバブルに関してはほとんど覚えていないだろう。しかしこれは本当のバブルで、実際に崩れ始めている。
しかしそれでも底はまだ到達していない。
現在ビットコイン価格は3600ドル台を推移しているため、Grisanti氏の予想は一部的中していた事となる。
本日のニュース
相場は下落相場の様相を呈しているが、仮想通貨業界には相場にプラスとなり得る2つの最新ニュースが報道されている。
ロシア政府、100億ドル分のBTC購入予定を検討中
ロシアの大学教授の発言が界隈から注目を集めている。
ロシア最大級の大学、Russian Presidential Academy of National Economy and Publicで教授を務めるVladislav Ginko氏は9日、ロシア政府が米政府からの経済制裁を理由に100億ドルをビットコインに換金する構想がある事を明かした。
米国の経済制裁の影響はビットコインで軽減されるかもしれない。現在ロシアのエリート層は経済制裁を理由に、米資産や米ドルの投資をビットコインに入れ替えざるを得ない状況となっている。
ロシアの中央銀行は4660億ドル分の資産を有しているが、将来的なリスクも考えて分散化を検討している。
Ginko氏によると、ロシア政府は総額4700億ドルの資金を段階的にビットコインに換金していく構想を有しており、まずは100億ドルからスタートすると語っている。法定通貨の予算を仮想通貨に変えるのが目的である。
なおロシア政府からビットコインの購入に関する正式な声明は未だ発表されていない。
新たな現物決済のビットコインETF申請が米SECへ提出
仮想通貨のインデックスファンド企業Bitwise Asset Managementは、米時間1月10日に、現物のビットコインに準拠するETF(上場信託投資)の登録書をSEC(証券取引委員会)へ提出したことを公式でアナウウスした。
最大の特徴はビットコインの現物決済と規制された正規の第三者カストディアンの利用で、世界初の原油ETFの実現にも手がけたJohn Hyland氏がBitwiseのETF担当責任者を務めており、以下のようにETFに対する期待感を述べた。
必ずしもSECに承認される確信はないが、2019年にはビットコインETFが実現すると我々は見ている。
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— CoinPost -仮想通貨情報サイト- (@coin_post) 2018年10月12日
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