TOP 新着一覧 チャート 資産運用
CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨の技術的観点からみた、ビットコインの将来性と課題点

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
※このページには広告・PRが含まれます

ビットコインの技術:使われているプログラミング言語、開発体制

仮想通貨ビットコインは、C++を使って開発されているオープンソースのプロジェクトです。 C++は処理が速く、Adobe Systems、Amazon、Paypal、Chromeなど多くのソフトウェアがC++で構築されています。

開発体制については、ビットコインには特定の管理者が存在しないことが特徴で、ビットコインにおける改善の提案や実装はビットコインのコミュニティによって行われています。

githubやreddit、bitcointalkといったサイトに有志が集い、日々改善の提案やそれに関する議論が行われています。有志の集まりですが、それぞれがビットコインに関連する会社に所属していたりするので利害の不一致からコミュニティ内で対立が起こることもあります。

技術面から見た優れている点

ビットコインは言わずと知れた仮想通貨(暗号資産)の原点です。また、現在仮想通貨以外にも様々な領域で応用が進められているブロックチェーンの原点でもあります。

ビットコインの革新的な点は、すでに存在していた技術を組み合わせることで、国や銀行を必要としない金銭的価値の交換がインターネット上で実行可能になった点です。

国が管理しているお金であれば偽造防止の印刷をしたり、財政政策で流通量を調整したりして秩序が保たれますが、そのような管理組織無しにインターネット上にきちんと使えるお金が誕生したのです。

以下では、それを実現するためにビットコインで使われている代表的な要素技術を紹介します。

ブロックをチェーン状につなげたデータベース構造

ブロックチェーンという名前の由来にもなっているデータベースの構造です。

いくつかのデータをひとまとめ(ブロック)にしてそれらを常に関連付けさせながらブロックを増やしていくことで、どこかのデータが変更されたらそれ以降のすべての情報が変更されてしまい、変更されたことがわかってしまうため、改ざんが難しくなっています。

参考:仮想通貨の仕組み【初心者向け図解】暗号技術と問題点について

わかりやすく例えると、エクセルのセル参照が連続している感じです。 最初のセルがあり、それを参照した新しいセルがつくられ、更にそれを参照したセルが作られ…。

途中のセルが書き換えられてしまうとそれ以降のセルはすべて変更されてしまうため、書き換えられたことがすぐに分かってしまいます。 実際は取引の情報がまとめられたブロックの要約値(ハッシュ値)を参照して次のブロックが作られます。

要約値の計算には特別な関数が使われ、要約値からブロックの内容(マイニングによって得られた数字)を逆算することは出来ません。

公開鍵暗号

仮想通貨周りでは「秘密鍵」という言葉をよく聞きます。

秘密鍵は公開鍵暗号に使われる、他の人に公開しない鍵のことで、ビットコインにおいては本人確認のために使われます。

公開鍵暗号自体はよく使われる技術で、URLがhttpsで始まるページの表示やメールの暗号化、マイナンバーカードにも利用されています。

公開鍵暗号での通信は以下のようにして行われますが、煩雑なため詳しい説明は割愛します。

  1. 暗号を受け取りたい人は自分の秘密鍵(暗号を解読する鍵)から公開鍵(暗号にする鍵)を作る
  2. 暗号を受け取りたい人は公開鍵を送る
  3. 公開鍵を受け取った人は、公開鍵を使って暗号化し、送り返す
  4. 暗号を受け取った人は自分の持っている「暗号を解読する鍵(秘密鍵)」を使って解読

マイニング、PoW (Proof of Work)

ブロックチェーンのデータ構造について解説した際に、「どこかのデータが変更されたらそれ以降のすべての情報が変更されてしまい、変更されたことがわかってしまう」と説明しましたが、誰がこれをチェックするのでしょうか。

また、どうしてデータベースが正しいと信頼することができるのでしょうか? ビットコインでは、Proof of Work(以下PoW)という仕組みでデータベースの信用を担保しています。

取引データがまとめられて新たにブロックが作られ、チェーンの一番うしろに繋げられる際に、ある条件に合致する数を求める計算が行われます。 この計算には多くのリソースが必要になっていて、新規ブロックが作成されたということはそのリソースが割かれたことを意味します。

ビットコインではProof of Work(作業量による証明)という名の通り、データベースの正しさを証明するためのブロック生成に多大なリソースが投下されています。

新しいブロックを作ってチェーンの一番うしろに繋げた人、つまり条件に合う数を見つけた人には報酬として新規発行されたビットコインが与えられるため、多くの人が競ってこの計算を行っています。(厳密には、一番長く続いているチェーンを正しいチェーンとするというルールが有り、ブロックをつなげてチェーンを伸ばすことがそれまでのデータを検証し内容に合意したのと同義になります。)

新規ブロックをつなげて報酬をもらうことをマイニング、それをする人のことをマイナーと呼びますが、ビットコインではマイナーが自分の利益のために報酬目当てでマイニングすることでネットワーク全体の健全性が保たれているのです。

PoWのコンセプト自体は1993年にスパムやDoS攻撃への対抗手段として発明されました。ちなみに、このマイニング報酬の額は約4年ごとに半分になるように設計されており、「半減期」と呼ばれています。

発行上限は2100万BTCと定められていて、マイニング報酬は現在は新規発行分とビットコイン利用者が支払った手数料の合計ですが、上限に達した後は新規発行されず手数料のみになります。

P2P (Peer to Peer)

P2Pというと、日本では「Winny」と呼ばれるP2Pファイル共有ソフトが有名です。

インターネットにおける一般的なシステムは「クライアントサーバ」といってデータを保持する中央サーバとそれに対して要求を行うクライアントから構成されています。

例えば、現在表示しているCoinPostのページはあなたのパソコンのブラウザがクライアントとして記事などを保持しているCoinPostのサーバに対して「この記事を表示しろ」と要求し、サーバがそれに応答する形で記事の閲覧が行われています。 それに対して各コンピューター同士が対等な立場で直接通信を行います。

クライアントサーバではアクセス集中などでサーバがダウンすると機能しなくなりますが、P2Pではそのようなことがありません。 一方、クライアントサーバでは中央サーバによる集中管理が可能ですがP2Pでは一度動き始めると誰か一人の意向では止めることが難しくなってしまいます。

P2Pを採用することで国や事業者に管理されることなく動き続けるシステムが実現しています。

技術から見た優れている点のまとめ

ビットコインはブロックをチェーン状につなげたデータベースをP2Pネットワーク上で共有することで、「使えなくなることがない」「改ざんできない」という性質を実現し、マイニングの仕組みで特定の管理者がいないままに自律して存続するシステムになっていると言えるでしょう。

今までの普通のお金は国の信用が元となって発行されていましたが、国を信頼する必要なしにインターネット上で国境を超えて自由にお金として使いうるビットコインが誕生したのです。 最初は一部の物好きのみにマイニングされ、ピザ2枚に1万BTCが支払われたりしていましたが、次第に多くの人にその有用性が認められるようになりました。

技術面から見た問題点:スケーラビリティ問題

よく取り上げられるビットコインの課題として「スケーラビリティ問題」があります。

これは、ビットコインの1ブロックに取り込めるデータのサイズと、ブロックの生成時間の間隔が決まっていることから処理できる取引の数が制限されている問題のことです。

十分な数が処理できていれば問題にならないのですが、ビットコインが1秒間に処理できる取引の数は約7件、似たような機能を提供するVisaカードは約2000件と言われていて、利用者が増えて世界中の人に使われるようなものになるには性能不足と言えるでしょう。

実際に処理しきれなくなることはよく起こり、そうなるとブロックに取り込まれるのを待つため取引が完了するまでに約10分以上かかることになります。

これまでに取り組まれたスケーラビリティ問題の解決策を紹介します。

ブロックのサイズに関連する解決法

ブロックのサイズが小さくて困っているなら大きくしてしまうという方法があります。

しかし、1ブロックのサイズをあまり大きくしすぎてしまうと、新しいブロックがマイニングされた際にその情報が他の人へ伝わるのに時間がかかり、一度マイニングに成功したマイナーが連続でマイニングに成功しやすくなる、という問題があります。

2017年8月にビットコインからブロックのサイズを8倍の8MBにしたビットコインキャッシュが誕生しました。

ビットコインキャッシュ誕生の裏には様々な思惑がありますが、ブロックのサイズを大きくしたほうがいいと考える派閥とサイズを変えない方がいいと考える派閥に分かれたため、ビットコインとは別に新たな通貨が誕生していまいました。

サイズを変えない方がいいと考えた派閥は、ブロックのサイズを大きくする代わりに各取引データを小さくして、ブロックのサイズを変えないまま1ブロックに取り込むことができる取引の量を増やしました。この解決策はSegwitと呼ばれています。

ブロックの生成時間を短くすることについて

約10分おきに生成されるブロックを、より高い頻度で生成すれば処理速度は向上します。

しかし、ブロックの生成間隔を短縮すると同時にマイニングが完了することによるチェーンの分岐が頻繁に起こるようになり、ビットコインネットワークのセキュリティを低下させると言われています。

電力消費

ビットコインへのよくある批判として、「マイニングに無駄な電力が消費されている」といものがあります。

ビットコインが採用しているPoWでは、一番最初にブロックを生成した勝者一人にのみ報酬が与えられ、敗者が消費したエネルギーに見返りはありません。

関連「ビットコイン採掘は無意味に電力消費」に反論も

上記記事のような反論もありますが、使われているのがクリーンエネルギーというだけで大量に消費されている事実は変わりません。 これを根本的に解決するにはPoWの仕組み自体を大きく変える必要があり、ビットコインではない別の通貨を作る事で解決しようとすることが多いようです。

技術面から見た将来性

ここまでビットコインの技術的な特徴と課題を見てきましたが、これらを踏まえるとビットコインは将来どうなるのでしょうか。

考えられるシナリオを2つほど紹介したいと思います。

普段使いされる

スケーラビリティ問題のところで挙げた解決策はいずれもこれまでに取り組まれた方策であり、現在は主にオフチェーン・スケーリングとサイドチェーン・スケーリングの検討が進められています。

オフチェーンスケーリングとは、ブロックチェーンの外で取引を行って一定期間の取引の結果をまとめてブロックチェーンに書き込むことでブロックチェーンに書き込む取引の量を減らす、といったようなブロックチェーン外の処理を利用してスケーラビリティ問題を解決しようとする方策のことです。

「Lightning network」に代表され、高速な処理が期待されています。

サイドチェーン・スケーリングとは、ビットコインのブロックチェーンに紐付いた新たなルールのブロックチェーンを作る方法です。企業間決済ネットワークの「Liquid Network」に代表されます。

これらの解決策によりスケーラビリティ問題が解消されればコンビニの支払いでビットコインを使うのが当たり前になるような世界が到来するかもしれません。

デジタル・ゴールドとしての地位を確立する

ビットコインの台頭の後、ビットコインの抱える課題の解決を図る数多のアルトコインが誕生しました。

Vitalik Buterin氏がビットコインに感銘を受けてイーサリアムを作り出したように、ビットコインは「プログラム可能な通貨」の可能性を世界に示しました。 今後は投機対象、仮想通貨の基軸通貨としてのみ存在し、普段使いされるようにはならないのかもしれません。

有識者コメント

ー他の仮想通貨(暗号資産)と比較したときに、ビットコインが特に優れている点はどこだと思いますか?そのように感じる理由もお聞かせください。

ビットコイン最大の特徴は、銀行の様な中央管理者が不要で、誰もが使用でき、セキュリティが極めて高い点にあります。特に、現状ではビットコインのみが「非中央集権的」に運用されていく資質があり、他の暗号資産とは一線を画しています。

この点、一部企業等が管理する中央集権的な暗号資産は、性質が大きく異なるため、単純な比較対象とするべきではありません。

一方、PoW(プルーフオブワーク)に類する理念を取り入れた、ビットコインと同様のアルゴリズムに基づく暗号資産は、非中央集権的を目指してはいますが、ハッシュレート(採掘速度)が極めて低く、セキュリティ面で大きな課題があります。

つまり、容易に「51%攻撃」の標的となり得るため、資産保護の観点からも信頼性を著しく失う可能性が高く、非中央集権的な暗号資産の達成自体が困難だともいえます。

世界のフラット化が急激に進展する時代、この「非中央集権的」というビットコインの特徴は、その他暗号資産の増加に連れ、今後一層際立つものとなると思います。

ーBitcoin.orgの日本語コーディネーター hakka(@hakkame7

関連ビットコインの買い方|初心者が知るべき投資メリット、リスク、最適な取引所選び

関連【プロが厳選】暗号資産(仮想通貨)取引所、比較ランキング|イラスト解説付き

本記事は企業の出資による記事広告やアフィリエイト広告を含みます。CoinPostは掲載内容や製品の品質や性能を保証するものではありません。サービス利用やお問い合わせは、直接サービス提供会社へご連絡ください。CoinPostは、本記事の内容やそれを参考にした行動による損害や損失について、直接的・間接的な責任を負いません。ユーザーの皆さまが本稿に関連した行動をとる際には、ご自身で調査し、自己責任で行ってください。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
06:08
トランプ次期政権の仮想通貨諮問委員会、ビットコイン準備金設立の可能性=報道
トランプ次期大統領が提案した仮想通貨諮問委員会は、米国のビットコイン準備金を設置する可能性があると報じられた。
05:45
SOLやXRPが上昇、ゲンスラーSEC委員長の退任確定を受け
仮想通貨のソラナやXRPなど、SECが規制の標的としている銘柄は22日、ゲンスラーSEC委員長の退任が確定したことを受けて大幅に上昇した。
11/21 木曜日
17:00
BitwiseがソラナETF準備開始 デラウェアで信託登録完了
暗号資産運用大手Bitwiseが、ソラナ(SOL)ETF組成に向けデラウェア州で信託登録を完了した。VanEck、21Sharesに続く参入となる。
16:59
バイナンス、5種類の仮想通貨取引ペアを11月22日に取扱い中止
大手取引所バイナンスが、THETA/ETHやRARE/BRLなど5種類の仮想通貨取引ペアの取扱い中止を発表。11月22日12時より取引停止へ。各トークンは他の取引ペアで継続取引可能で、価格への影響も限定的。スポット取引ボットサービスも同時終了。
15:27
ビットコイン1500万円突破 ETFオプション解禁で資金流入加速
ビットコインが史上初めて1500万円を突破した。米国でETFオプション取引が解禁され、機関投資家の参入が加速。IBITへの1日1000億円規模の資金流入が継続する中、トランプ政権への期待も相場を押し上げる。バーンスタインは3100万円到達の強気予想を見立てている。
13:10
ソラナPhantomウォレット、米AppStoreの無料ユーティリティアプリ部門でトップに
ソラナ基盤のPhantomウォレットが米AppStoreで無料ユーティリティアプリ部門1位を獲得。無料アプリの総合部門でも5位に躍進した。
11:25
半導体大手エヌビディア決算報告 過去最高の売上高
エヌビディアが8~10月期決算を発表。売上高は再び過去最高を記録した。AI需要拡大で業績好調も、成長率の鈍化予想で株価は下落している。
11:05
米SEC、仮想通貨指数ETFの上場判断を延期
ゲンスラー率いる米国証券取引委員会は、米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンの仮想通貨指数ETF「EZPZ」の承認判断を延期した。
09:40
「仮想通貨は申告分離課税で20%に」国民民主党の玉木代表が与党に要望
国民民主党の玉木代表が仮想通貨税制改正を与党に要望した。雑所得から申告分離課税にすることを提案している。
07:50
テザーUSDTが3000億円分新規発行、市場に流動性注入
今週仮想通貨ビットコインの上昇に際し、ステーブルコインのテザー(USDT)が大量に発行されたことが明らかになった。
06:50
米上場のバイオ企業、ビットコイン財務戦略を採用
米上場のバイオ医薬品企業のHoth Therapeuticsは、最大100万ドル相当の仮想通貨ビットコイン購入を取締役会で承認した。
06:40
トランプ次期政権、史上初の仮想通貨特命官ポストを検討
トランプ次期大統領の移行チームは仮想通貨政策に特化した史上初の常勤のホワイトハウスポジションの設置を積極的に検討しているようだ。
06:20
マイクロストラテジー時価総額が米国トップ100に、ビットコイン史上最高値更新受け
仮想通貨ビットコイン続伸を受け、BTCを大量に保有する米マイクロストラテジー社の株価も続伸し、史上最高値となる504.7ドルに到達し米国で時価総額トップ100にランクインした。
11/20 水曜日
17:03
韓国の仮想通貨課税、2025年1月から導入見込み
韓国政府が2025年初頭から実施予定の仮想通貨課税について解説。免税限度額を250万ウォンから5000万ウォンへ大幅引き上げで、年間利益560万円未満は非課税に。取得価格不明時の代替計算方法導入など、投資家に配慮した新制度の詳細を紹介。11月下旬の法案可決を目指す。
14:00
BONK急騰、アップビットでウォンペア提供開始
韓国最大の仮想通貨取引所Upbitは20日にソラナ基盤の犬系ミームコイン「BONK」の新規上場を実施し、韓国ウォンの通貨ペアを新たに提供し始めた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/12/01 09:30 ~ 20:00
東京 墨田区文花1丁目18−13
重要指標
一覧
新着指標
一覧