はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

中東情勢緊迫化の中ビットコインに底堅さ、機関投資家の資金流入が下支えに

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マクロ経済と金融市場

イスラエルとイランの軍事衝突をめぐり、両国の攻撃対象がエネルギーインフラに拡大したことで、世界の金融市場にも影響が広がっている。

イスラエルは前週末、イランの首都テヘラン近郊の石油貯蔵所も標的にした。これに対しイランも14日夜に石油関連施設への報復攻撃を実施し、世界最大のガス田があるブシェール州でも被害が確認された。

特に懸念されるのはイラン高官がホルムズ海峡の封鎖を警告したことだ。同海峡は世界の原油輸出の20%以上が通過する戦略的要衝であり、封鎖されれば国際的なエネルギー物流が完全に麻痺する可能性がある。

これを受けて原油先物価格が急騰し、エネルギーコストの急騰によりインフレ再燃の懸念が強まった。トランプ大統領がパウエルFRB(米連邦準備制度)議長に求めている利下げの可能性が遠のく可能性もあり、インフレ指数の上昇圧力は株や仮想通貨などリスク資産にも逆風と言える。

関連:ビットコインを保有する上場企業ランキング|日本・米国の注目企業を解説

仮想通貨市況

その一方、週明けの暗号資産(仮想通貨)市場では、一時急落したビットコイン(BTC)が1BTC=105,800ドルまで反発した。

BTC/USD日足

現物ETFの下支え

SoSoValueデータによると、少なくとも反映済みの12日までのデータではビットコイン現物ETFへの資金流入は堅調に推移している。

現在、ビットコイン現物ETFには1日あたり8,631万ドルの純流入が続いており、総純資産は1,302億ドルの規模に達している。この時点でのビットコイン価格は106,788ドルで推移しており、ETFへの資金流入が堅調な相場を下支えしている状況が確認できる。

今年6月に入ってからの資金動向を見ると、緑のバーで示される流入が安定的に続いている。特に注目すべきは、5月後半の大幅な資金流入の勢いが6月初旬まで継続していることである。日次で約8,600万ドルという流入額は、機関投資家による継続的な買い圧力を示しており、市場の健全性を表す重要な指標となっている。

このような安定した資金流入は、ビットコイン市場にとって複数のポジティブな影響をもたらしている。まず、総純資産が1,300億ドルを超える規模まで拡大したことで、ETF市場としての流動性と安定性が向上している。また、継続的な買い圧力により、価格の下方リスクが軽減され、10万ドル台での価格安定に寄与していると考えられる。

現在の日次流入ペースが維持されれば、月間では約26億ドルの資金流入が見込まれ、これはビットコイン市場全体の需給バランスに大きな影響を与える規模である。機関投資家による長期的な投資姿勢が確認できる状況であり、今後の価格形成において重要な支持要因となることが期待される。

ブラックロックの買い圧力

機関投資家の投資意欲は旺盛だ。ブラックロックのiShares Bitcoin ETF(IBIT)が、運用開始からわずか341日で運用資産700億ドルを突破し、ETF業界史上最速記録を樹立した。先週は純投資額約11億ドルを記録し、5月下旬の調整局面から回復している。

この急成長の背景には、これまで消極的だった機関投資家の本格参入がある。ブルームバーグ・インテリジェンスの調査では、投資アドバイザーがスポット・ビットコインETF全体の約20%にあたる210億ドル相当を保有しており、この割合は来年には倍増する可能性が高いとされている。現在約1,200の機関投資家がIBIT株を保有しているという。

BitwiseとVettaFiの調査によると、ファイナンシャルアドバイザーの約5人に1人が2025年に投資家口座に仮想通貨を配分する予定で、これは前年比2倍の割合となっている。長年の金融アドバイザーであるリック・エデルマン氏は、慎重なポートフォリオでも最低10%、積極的な口座では最大40%をデジタル資産に配分するよう推奨している。

ブルームバーグのETFアナリストであるエリック・バルチュナス氏が公開した13F報告書データで、投資アドバイザーがビットコイン現物ETFの最大保有者となっていることが判明した。

投資アドバイザーの保有額は100億ドルを上回る規模に達し、2位のヘッジファンドマネージャーの約70億ドルを大きく上回っている。保有者には証券会社、政府機関、銀行、年金基金など多様な機関投資家が名を連ねており、仮想通貨投資に慎重だった伝統的金融機関の本格参入が鮮明になっている。

バルチュナス氏は、現在13F提出者がビットコインETF総資産の20%を占めているが、ウェアハウス(大口保管業者)からの更なる採用により35-40%まで拡大する可能性があると予測している。

トランプ政権の仮想通貨に友好的な政策とビットコインの堅調な価格推移により、機関投資家の姿勢は根本的に変化しつつある。昨今では日本や海外の上場企業が財務戦略の一環として、ビットコインを大量購入する事例も相次いでいる。

関連:ビットコインと仮想通貨関連株はどちらを買うべき?メリット・デメリットを解説

関連:仮想通貨取引所ランキング|プロ厳選の実績と評判で徹底比較

過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
06/16 月曜日
16:12
マイナンバーカード×Web3認証 コインチェック、マイナウォレットと協業へ
コインチェックは、マイナンバーカードを活用したWeb3ウォレットを開発するマイナウォレットと協業。本人認証の新たなインフラ構築を目指す。
14:09
トランプ陣営顧問「米大統領選の鍵となったのは仮想通貨票だった」
2024年米大統領選でトランプ大統領のキャンペーン上級顧問を務めたクリス・ラチヴィタ氏は、仮想通貨関連問題を争点とした選挙戦略の採用が、トランプ氏の再選に大いに貢献したと主張した。
12:53
メタプラネットがビットコイン追加購入|保有1万BTC突破
メタプラネットがBTC保有1万枚を達成。時価総額は1兆円を突破。最終目標は21万BTCとしており、資金調達戦略と今後の展望を解説する。
12:27
SECが承認 トランプ・メディアがビットコイン財務戦略開始
トランプ・メディアが米証券取引委員会の承認を受けて、仮想通貨ビットコインの財務戦略を開始予定だ。すでに機関投資家から3,000億円超を資金調達している。
11:57
中東情勢緊迫化の中ビットコインに底堅さ、機関投資家の資金流入が下支えに
マクロ経済と金融市場 イスラエルとイランの軍事衝突をめぐり、両国の攻撃対象がエネルギーインフラに拡大したことで、世界の金融市場にも影響が広がっている。 イスラエルは前週末、イラ…
10:56
経済学者らが需給モデルからビットコイン強気予想「2027年初頭までに100万ドルの可能性」
経済学者らが仮想通貨ビットコインの将来価格を分析した。供給制約と需要増加により強気シナリオで2027年初頭に100万ドル到達の可能性があると予想している。
06/15 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、米SEC委員長のDeFi支持発言でETH上昇やXRPL採用事例増加など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン中東リスクで調整、FOMC通過後の買い戻し予想|bitbankアナリスト寄稿
bitbank長谷川アナリストによる仮想通貨ビットコイン(BTC)週次分析。中東情勢緊迫化で1600万円から1490万円に下落するも、過去の地政学リスク時と同様に一時的調整と分析。FOMC通過とトランプ減税法案への期待で反発予想。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|アーサー・ヘイズのBTC急騰分析に高い関心
今週は、参政党の神谷代表による仮想通貨政策提案、米コネチカット州による反戦略的ビットコイン準備金法可決、アーサー・ヘイズ氏によるビットコイン急騰分析に関するニュースが最も関心を集めた。
06/14 土曜日
13:55
相次ぐ小規模企業による大規模な仮想通貨投資発表、VanEck専門家は株価操作の可能性を指摘
時価総額数億ドルの小規模上場企業が数百億ドル規模の仮想通貨アルトコイン購入計画を発表する事例が相次いでいる。VanEck専門家は一部を株価操作目的と分析し、投資家に注意を促している。
13:10
ビットコイン保有企業の増加でシステミックリスク上昇=コインベース分析
米コインベースが最新レポートで、現在228社が仮想通貨ビットコインを82万枚保有していると指摘し、こうした財務戦略でシステミックリスクも上昇していると説明した。
11:38
イーサリアム専門家らがETH価格を「大幅に過小評価」と主張、長期目標8万ドルも
イーサリアム技術者らが新報告書でETHを「デジタル石油」と位置付け、ビットコインとの比較で機関投資家向けに大幅な過小評価を訴える。ステーキング収益や供給上限機能により長期的な価値上昇を予測。
10:44
ブラジル下院委員会、ビットコイン戦略準備金法案を可決 
ブラジル下院委員会が仮想通貨ビットコイン戦略準備金法案を可決。外貨準備の最大5%をビットコインで保有する「RESBiT」創設を目指し、中央銀行デジタル通貨の担保活用も検討。
09:50
「ドン・キホーテ」運営のPPIH、オンチェーンでデジタル証券発行へ 若年層支援の仕組み
ドン・キホーテ運営のPPIHは、セキュリタイズジャパンと提携し若年層支援の仕組みを持つデジタル社債を発行する。majicaポイントなどで利息支払いし、若者に特典を付与する。
09:30
ソラナ現物ETF承認へ前進か、複数企業がSEC要請でS-1書類を修正提出
米SEC要請を受けフランクリン・テンプルトンやフィデリティなど複数企業がソラナ現物ETFのS-1書類を修正提出。ステーキング機能組み込みも検討され承認に向け前進。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧