CoinPostで今最も読まれています

イーサリアムに関連する3つの事件と現在の状況|スマートコントラクトにバグ発生か

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

スマートコントラクトにバグ発生か
昨年のParityのウォレットの凍結問題、DNSサーバーのハッキングやイーサリアムなどのスマートコントラクトに「BatchOverflow」にバグが確認されています。仮想通貨イーサリアム(ETH)自体の問題ではありませんが、多くの関連通貨に影響が出ています。

問題一覧

Parityウォレットの凍結

2017年11月に誤って”Kill”と呼ばれる危険なパッチコードが入力されたことで、2017年7月から始動したParityウォレット内の資金が凍結されてしまいました。

凍結された資金の総額は、当時1.5億ドル(約170億円)に上り、セキュリティにおける重大な脆弱性の発見により、ハッキングなどで盗難被害はないものの、この問題の対応をどうするかコミュニティ内で盛んに論議されてきました。

イーサリアムコミュニティ内で、凍結されてしまったイーサリアムを取り出すためにハードフォークを行うかどうかの議論の結果、ハードフォーク賛成派・反対派に分かれてしまっている状況でした。

イーサリアムのGithubのEIP(Ethreum Improvement Proposal)に投稿されたEIP999は、この問題を解決するために、ParityのデベロッパーであるAfri Schoedon氏によって提案されました。

現在の価格換算で「513774.16ETH(約390億円)」が入っている587個のウォレットを動かすため、動いていないcontractを復活させるためのものでした。

この提案を通すために投票が1週間続いていましたが、半数以上である55%がハードフォーク否決に投票しました。

この投票結果を受けて、2016年のDao事件で起こったコミュニティー分裂が再び起こってしまう可能性もあるため、注目度の高い問題の一つといえます。

CoinPostの関連記事

The DAO事件再来か?イーサリアムが再度ハードフォークによる分裂危機
イーサリアム史上最大のセキュリティ脆弱性発覚により、テクノロジーコミュニティが危機に陥ろうとしています。この出来事による損失はThe DAOハック事件の損失額の3倍に上るとされ、ユーザーはイーサリアムを使うことができなくなっています。

DNSサーバーのハッキング

仮想通貨イーサリアム(ETH)を保管することのできる代表的なウェブウォレットウォレットとして知られる「MyEtherWallet(MEW)」が、一部DNSサーバーのハイジャック被害に遭ったことが判明しました。

被害額は現時点で、少なくとも215ETH(約1600万円)となっています。

MEWはイーサリアムのみならず、イーサリアムクラシックやERC20トークン(Augur、Golem、OmiseGOなど)を保管しておけるウォレットであり、日本語にも対応しています。

さらに、クラウドセールへの送金や、CryptokittiesなどdAppsゲームのデジタル資産の購入など、多くの人々に使用されていました。

MEWによると、被害はユーザーの通信がフィッシングサイトに誘導されることで発生し、MEW自体のセキュリティ問題ではなく、DSNサービスの乗っ取りであったと説明しています。

日本は含まれていませんが、複数のDNSサーバーが何者かによってハッキングされ、このサーバーを使用していたユーザーがMEWにアクセスしようとするとフィッシングサイトに繋がるような仕掛けが施されていました。

この教訓として、中央集権的要素が含まれている限り、使用する側も細心の注意を払い、自身の資産を守るために日頃から知識を蓄え、最大限の予防策を取っておく必要があります。

CoinPostの関連記事

MyEtherWalletが使用するDNSサーバーがハッキングされる|公式対処法掲載
マイイーサウォレットのDNSがハッキングされ、接続時にフィッシングサイトへリダイレクトされる被害が発覚。確認されている被害総額は215ETH(約1600万円)以上に上り、関係者は原因究明を進めるとともに緊急注意喚起を行っています。

BatchOverflowのバグ

また本日、“BatchOverFlow”と呼ばれるスマートコントラクトのバグが新たに見つかり、イーサリアムベースであるERC20トークンに異常が生じています。

イーサリアムブロックチェーン上でコントラクト自体に脆弱性がある場合、対処法が明確化されていない実態が、今回の問題で明らかにされました。

このバグは、ERC20ベースの特定の仮想通貨で新たなトークンを作り、ウォレットに移行出来るという致命的な問題を抱えているのです。

イーサリアムベースのトークンは非常に多いですが、直接影響を受けているとされる仮想通貨は、以下9つのトークンです。

  1. BeautyChain (BEC)
  2. ugChain (UGC)
  3. SMART
  4. MTC
  5. FirstCoin (FRST)
  6. GG Token
  7. CNY Token
  8. MESH
  9. SMT tokens

このうちBECは、ロールバックを行い、新たなスマートコントラクトアドレスを作るなど、各通貨ごとに緊急対応を示しています。

Batch Overflow bug on Ethereum ERC20

この問題の対応で、複数の仮想通貨取引所が「ERC20トークン」の入出金停止を余儀なくされており、世界有数の取引所である「Poloniex、Huobi pro、OKEx、HitBTC、QUOINEX」など、さまざまな対応を発表していました。

加えて、QUOINEXからは本日下記の内容のメールが送られており、ERC20ベースの「QASHトークン」の取引のすべてを停止するとのアナウンスがあり、資産保護のための迅速な対応を取ったことで、再評価されています。

仮想通貨市場は、今回のバグの影響もあり、上昇傾向から一気に下落傾向に向かう相場となってしまい、仮想通貨全体が落ち込む形となりました。

他にもバグが見つかる可能性も考えられるため、しばらくは注意深く相場を観察する必要があるでしょう。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
09/19 木曜日
17:48
「SECの仮想通貨規制は市場混乱を招く」米下院公聴会で厳しい批判
米国下院金融サービス委員会の公聴会で、証券取引委員会は「仮想通貨市場に更なる混乱と不確実性をもたらした」として、厳しく批判された。元SEC委員の証言では、議会主導の包括的な規制枠組みの必要性が強調された。
17:39
ゼロ知識証明の利点と課題:汎用性の高さと多彩なユースケース|WebX2024
WebX2024で業界トップの専門家が、ゼロ知識証明の可能性について語った。スケーラビリティ、プライバシー、セキュリティの向上から、AIや金融分野での革新的応用までの幅広いトピックで意見を交換した。
14:30
テザー社、これまでに不正ウォレット凍結で160億円を回収 市場シェアは75%に到達
テザー社が不正資金対策の成果を報告。世界180の当局と協力し、1,850以上のウォレットを凍結。USDTの市場シェアは75%に拡大。
14:08
FOMC後に上昇加速したビットコイン相場をプロが解説|寄稿:仮想NISHI
米連邦公開市場委員会(FOMC)後に上昇した暗号資産(仮想通貨)相場の今後の展望は? ビットコイン相場とデリバティブの最新データについて、SBI VCトレードのアナリスト「仮想NISHI」が解説した。
13:20
ソラナスマホ「チャプター2」、「Solana Seeker」へと改名 Helium無料サービスなど搭載
ソラナラボ傘下のスマホ子会社「Solana Mobile」は19日、二代目のスマートフォン「チャプター2」を「Solana Seeker(ソラナシーカー)」へとリブランディングしたことを発表した。
12:55
Bitgetら2社、TONへの42億円の投資を発表
TONエコシステムの発展を支援することを目的に、BitgetとForesight Venturesが42億円の投資を発表。仮想通貨TONを大口保有者から入手することで投資を行うという。
11:20
三菱商事のDREAMが推進する不動産投資、トークン化されたSTファンドの新たな展開
ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント株式会社、みずほリース株式会社、およびエムエル・エステート株式会社は18日に、適格機関投資家向け不動産STOファンドを組成した。
09:45
米SEC、仮想通貨DeFiプラットフォームRari Capitalと和解
SECがRari Capitalの利回りサービスの問題点を告発・和解。未登録ブローカー活動や誤解を招く宣伝などで和解に至った経緯を解説。
08:25
米FRB、0.5ポイントの大幅利下げを決定
米FRBはFOMCの会合で0.5ポイントの大幅利下げを決定。金融政策の転換がビットコインなどの仮想通貨相場の追い風となるか注目が集まっている。
08:05
米国初、ルイジアナ州政府 ビットコインライトニングに対応 
ビットコインの支払いの仕組みについては、政府間取引のための仮想通貨変換サービス「Bead Pay」によって米ドルに変換される。政府としては、ビットコインを直接保有したりしない。
06:55
トランプ氏、ニューヨークのバーで初めてのビットコイン決済
米国のドナルド・トランプ前大統領は18日、大統領選に向けたキャンペーンで、ニューヨーク市のバー「PubKey Bar」を訪問し仮想通貨ビットコインを使ってチーズバーガーを購入した。
06:20
仮想通貨ALEOとZETA、コインベースへ新規上場 価格高騰
仮想通貨取引所大手のコインベースは19日、2銘柄の新規上場を発表した。ZETAは価格が高騰している。
09/18 水曜日
16:52
「ビットコインはリスク資産ではない」ブラックロック幹部が指摘
ブラックロックのデジタル資産責任者が、ビットコインの誤った認識を指摘。リスク資産ではなく非相関資産であると主張し、機関投資家教育の重要性を強調した。
14:00
シンガポール最大銀DBS、仮想通貨オプション提供へ
年内に提供か シンガポール最大の銀行であるDBSは17日、2024年第4四半期(10〜12月)から機関投資家と富裕層向けに暗号資産(仮想通貨)のオプション取引と仕組み債を提供す…
12:50
Wintermute、米国選挙の予測市場開始へ トランプとハリストークンを上場
Wintermuteが米国選挙予測市場をまもなく開始する。イーサリアムなど複数ブロックチェーン対応。トランプ氏とハリス氏の勝利予測動向も解説。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア