利回りサービスなどで問題を指摘
米証券取引委員会(SEC)は、DeFi(分散型金融)プラットフォームRari Capitalと和解した。Rari CapitalはSECの調査結果を認めも否定もせず、事業の停止命令に同意している。
Rari Capitalは、ブロックチェーンベースの投資プラットフォームで、ピーク時には合計10億ドル(1,430億円)以上の暗号資産(仮想通貨)を保管していた。
SECによると、Rari Capitalの共同創業者らは、投資家がトークンを貸し出して利回りを得るサービス「Earnプール」について、仮想通貨を「自動的・自律的に再調整して最高の利回りを提供する」と宣伝していた。
しかし実際には、調整は手動で行われ、同社はこの作業を怠ることもあったとされる。
また、「高い年間利回り」を宣伝したが、さまざまな手数料を考慮に入れておらず、最終的に「Earnプール」に出資した多くの投資家が損失を被ったと指摘されている。
さらにSECは、Rari Capitalが貸付プラットフォームの運営により、未登録でブローカー活動に従事していたと申し立てた。
SECサンフランシスコ地域事務所のモニーク C.ウィンクラー責任者は、次のようにコメントしている。
私たちは、誰かが製品を「分散型」や「自律型」と呼んでいてもひるむことはない。
今回のように、そうした名称の背後にある経済的現実に注目する。そして、仮想通貨の製品やプラットフォームを運営している者が、投資家に損害を与え連邦証券法に違反した場合には、責任を負わせる。
2022年5月には、Rari Capitalが運営する貸借プラットフォーム「Fuse」がハッキングされ、8,000万ドル(約114億円)が盗まれる事件があった。同社はその後、新規での顧客資金預け入れを停止し、「Fuse」を終了させる方向で動き始めた。
SECは、Rari Capitalによるこうした是正努力や、被害を受けたユーザーにパフォーマンスベースの手数料を自主的に返還したことを考慮して、和解に至っている。
DeFi(分散型金融)とは
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。
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eToroは米国で3銘柄のみ提供へ
最近SECと和解した企業には、仮想通貨や株式などの取引サービスを提供するeToroの事例がある。
eToroはSECの命令に従い、米国の顧客が同社のプラットフォームで取引できる仮想通貨をビットコイン、ビットコインキャッシュ、イーサリアムだけに限定することを決めた。SECはこれらのトークンについては証券性が低いと考えている模様だ。
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