ビットコインはリスク資産ではない
資産運用会社ブラックロックのデジタル資産部門責任者、ロビー・ミッチニック氏が、17日配信のBanklessに出演した。ミッチニック氏は、ビットコインを「リスク資産」とする一般的な見方に疑問を呈し、機関投資家に誤解を与えていると指摘した。
ミッチニック氏によれば、この誤解はビットコインの本質を正しく理解していないことに起因している。特に暗号資産リサーチコミュニティが、ビットコインを「リスク資産」として扱っていることが問題だとし、これが市場のナラティブや取引データにも悪影響を及ぼしているという。
「ビットコインは本質的に非相関資産だ」とミッチニック氏は強調する。同氏の見解では、ビットコインは株式やその他のリスク資産とは異なる独自のリスク特性を持っており、特定の状況下では、これら従来のリスク資産とは逆の動きを示すこともある。
具体例として2023年3月のシリコンバレー銀行の危機時、ビットコインが30%上昇したケースを挙げ、「これは銀行システムへのストレスがかかった際に、ビットコインがヘッジ資産として機能した好例だ」と述べた。
リスク資産とは
投資家がリスクを積極的に取って高い収益を狙う際に選好される資産。主に株式、不動産、仮想通貨、一部の商品などが該当する。反義語は「安全資産」。
また、ビットコインのリスク自体は否定しないものの、従来の「リスクオン(リスク選好)/リスクオフ(リスク回避)」の枠組みに当てはめることは適切ではないと主張。ミッチニック氏は、ビットコインがデジタルゴールドとしての役割を果たし、インフレや通貨の価値下落、地政学的リスクへのヘッジとなる可能性を指摘する一方で、現在の市場ナラティブがその特性を誤って伝えている点に懸念を示している。
この認識のズレは、ブラックロックの機関投資家クライアントにも影響を与えているとし、同社は今後、幅広い顧客層に向けてリスクに関する説明資料を公開する予定だ。
ブラックロックは今年1月にビットコインETF(上場投資信託)、7月にイーサリアムETFを立ち上げ、特にビットコインETFは驚異的な速さで資産を集めている。しかし、ミッチニック氏によれば、機関投資家や富裕層向けアドバイザーへの浸透はこれからであり、機関への教育が重要な鍵を握っていると強調している。
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非相関資産とは
非相関資産は、他の資産クラスとあまり連動しない動きを示す資産だ。株や債券といった一般的な投資先と異なる値動きをするため、分散投資に有効とされる。これらをポートフォリオに組み込むことで、全体のリスクを抑えつつ、より高いリターンを狙える可能性がある。ただし、ビットコインのような価格変動の激しい資産を過度に組み入れると、逆にポートフォリオ全体のボラティリティが増す恐れもある。非相関資産の選択と配分には慎重な判断が求められる。