CoinPostで今最も読まれています

ゴールドマンサックス「高い失業率はインフレを抑制する」ビットコインやゴールドへの資金流入思惑で言及

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

インフレは起きるのか

コロナ禍の経済対策では、各国の中央銀行が現金の供給を増加させる。一方法定通貨のインフレ懸念が台頭し、その際のヘッジ手段としてゴールド(金)やビットコイン(BTC)への注目が集まっている。

しかし、米大手投資銀行ゴールドマンサックス(以下、GS)は、「今後数年はインフレは起こらない」と主張する。その根拠として米国の高い失業率を挙げ、失業率が高い間は個人の収入が抑えられるため、インフレを抑制できると分析した。

投資家のインフレに対する懸念の高まりは、最近のゴールド価格の高騰やBTC価格の上昇、また米国物価連動国債(TIPS)への資金流入からも見てとれる。TIPSは物価急上昇のリスクから投資家を保護する債権だ。

関連通貨インフレ懸念でゴールド上昇継続も、BTCには資金流入せず

また、11日には米ナスダック上場企業MicroStrategyが、インフレヘッジとして2万1454BTC(260億円相当)を購入したことを発表した。現金よりもBTCの方が長期的に価値が上昇する可能性があると考え、信頼できる価値の保存手段として活用するという。

関連米ナスダック上場企業初、2万超のビットコインを購入済み

しかし実際は、コロナウイルスの感染が始まってからインフレ率は減少している。米連邦準備制度理事会(FRB)の指標となるインフレ率は1.7%まで下がっており、目標の2%を下回っている。現時点でインフレが心配されているのは、食料品価格の高騰が起きている食品業界だけだ。

以下は、国・地域別にその実態を数値化したグラフである。

左側が消費者物価指数(CPI)のうち、全ての対象商品によって算出される「総合指数」から生鮮食品を除いて計算された指数で、右側が食品に特化した指数だ。3月以降、左のグラフは概ね減少傾向なのに対し、右のグラフは上昇傾向にある。

出典:The Block

現時点では必ずしも全ての投資家が懸念しているわけではないが、将来的にインフレが起きる可能性はある。しかしGSは上述した通り、米国の高い失業率が急激なインフレ率の上昇を抑える可能性があると指摘した。

「米国の失業率は、ここ数カ月で急速に回復しているが依然として二桁だ。労働市場の需給の問題には、さらなる対策が求められている」と説明。米労働省が7日に発表した7月の雇用統計では、失業率は10.2%で、前月から0.9ポイント低下しており、3カ月連続で改善はしている。

GSは2020年末までに失業率は9%まで下がると予想。ワクチンが2021年に開発されれば、さらに6.5%まで下げられると説明している。

一方で失業率の減少は緩やかで、完全な経済の回復は2025年ごろになると予想。これが今後数年はインフレを抑えられると考えている根拠だという。

今後インフレするリスクは

ゴールドマンサックスは、金融危機が起きた2008年以降は、現金の供給量が増加していることとインフレを結びつけることは必ずしも正しくないと述べている。

しかし、現在の政府の景気刺激策が、今までにない高水準のインフレを引き起こすと考えている投資家が一定数いることは認め、懸念していると説明する。先月末にはゴールド価格の高騰の要因を、地政学リスクの高まりや米国の政治や社会に漂う不透明感、コロナウイルスの感染再拡大を背景に、FRBがインフレ・バイアスにシフトする可能性があるとの見方があるからだと分析した。

その際、政府の累積債務が増加している現状が、米ドルの弱体化を促進しているとして、米ドルの価値の低下と累積債務の増加が、将来的にインフレにつながる可能性もあると警戒感も示している。

関連ゴールドマンサックス、金価格の見通しを2300ドルに引き上げ

一方で今回は、2008年以降はバランスシートの拡大自体が高いインフレを起こすとは考えられないという見解を示した。

2008年の後はFRBが準備金の金利を支払う権限を持っており、それによって利率、そして経済、最終的にはインフレ率をコントロールすることができると主張。インフレが起こるには、FRBがインフレを抑制しないことを選択する理由が必要だと述べた。

CoinPost App DL
記事提供:THE BLOCK
THE BLOCKとは

Cryptoにおける”最初で最後の言葉”であること。
The BlockはCryptoにおける最高クオリティで最重要のシグナルをお届けします。日々、Website、Newsletter、Podcast、イベントを通じて、業界で最も影響力のある人々にリーチしています。

注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/15 水曜日
08:45
Polymarket、ヴィタリックなどから70億円調達
仮想通貨利用のポリマーケットは、2024年にプラットフォーム上で約2億200万ドル相当の予測取引が行われたと報告。特に米国の選挙の結果に125億ドル以上が賭けられており、現在のところドナルド・トランプ氏が49%の確率でジョー・バイデンの44%をリードしている。
08:15
Re、アバランチ上で再保険ファンド提供
仮想通貨アバランチのブロックチェーン上で、RWAである再保険のトークン化ファンドをReがローンチ。再保険業界の透明性を向上させ、オンチェーン決済を促進していく。
07:35
オルカンベンチマーク指数提供のMSCI、マイクロストラテジーなどを追加
MSCIの定期見直しは、投資家にとって重要な指標であり、各企業の市場での位置づけや影響力を反映するものだ。今回の見直しニュースを受け、マイクロストラテジーの株価は前日比で4.15%上昇した。
06:25
ソラナ基盤のDrift、エアドロップとコインベース上場予定
仮想通貨DRIFTトークンは、エアドロップの形でリリースされる。日本時間5月16日21時より取得可能となる。エアドロップ分のトークンは合計120,000,000 DRIFTで、総発行数の12%を占める。
05:50
米ウィスコンシン州投資委員会、ビットコイン現物ETFに255億円投資
米ウィスコンシン州投資委員会がスポットビットコインETFに1億6300万ドルを投資したことを報告。ブラックロックのIBITとGBTCを大量保有し、他の仮想通貨関連企業にも投資していた。
05/14 火曜日
18:00
オントロジー DIDソリューション普及のため、15億円規模の基金を設立
分散型ID(DID)とデータ共有を可能にする高速で低コストのブロックチェーンプラットフォーム、オントロジーは1,000万ドル規模の「Ontology DID FUND」を設立。プロジェクト提案は専用フォームから迅速に申請可能。
14:23
ビットトレードがシバイヌ貸して増やすの特別募集を開始
ビットトレードが年率48%のシバイヌ(SHIB)の貸して増やす・貸暗号資産の特別募集を開始。さらに、ビットコイン・ピザ・デー記念キャンペーンでAmazonギフトカードが当たる施策も実施中。
14:17
SBI VCトレード、アプトス、ヘデラ、ジパングコインを新規上場へ
SBI VCトレードが暗号資産(仮想通貨)アプトス(APT)、ヘデラ(HBAR)、ジパングコイン(ZPG)の取扱いを開始へ。販売所や貸コインなど、フルラインナップサービスを提供します。ステーキング銘柄取扱い数は、国内最大級となる。
13:00
テザー社CEO、リップル社CEOを非難
ステーブルコインUSDTを発行するテザー社のパオロ・アルドイノCEOは、「米国政府はテザーを狙っている」というリップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOの発言を強く非難する声明を出した。
12:36
CPI控えビットコイン様子見基調、縮小するコインベース・プレミアムが示唆するものは
暗号資産(仮想通貨)市場では命運を握る15日のCPI(米消費者物価指数)発表を控えポジション調整の動きが散見された。一部アナリストは、コインベース・プレミアムの縮小を根拠にエントリーのタイミングを見計らっている。
11:30
OpenAI、生成AIの革新的ニューモデル「GPT-4o」公開
ChatGPT開発で知られるOpenAIは「GPT-4o」と呼ばれる新たなAIモデルを公開した。音声、画像も入出力可能で、人間とより自然なやり取りができる。
10:47
R・キヨサキ氏、仮想通貨に関するBRICSの動向に注目
『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキは、BRICSによる金を裏付けとする仮想通貨発行の噂に注目していると指摘。ビットコイン・金・銀への投資を推奨した。日本では、老後4000万年問題が取り沙汰されている。
09:50
中国の警察、仮想通貨による400億円以上の違法取引を摘発
中国吉林省の警察は、仮想通貨を使用して400億円規模の違法な人民元・韓国ウォン取引を行っていた疑いで犯行グループを摘発した。
08:45
ArbitrumとBase利用のレイヤー3チェーンDegen Chain、24時間以上稼働停止
「Degen Chain」という仮想通貨イーサリアム系のレイヤー3ネットワークは、24時間以上トランザクション処理が停止している。このブロックチェーンはArbitrumとBaseを利用している。
08:00
Jupiterローンチパッド投票第三弾、deBridgeなどが参加
仮想通貨ブリッジサービスのdeBridgeは今回の有力候補とされている。これまで20億ドル相当のブリッジボリュームを記録し500万ドル以上の手数料を徴収してきた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア