Dfinity(ICP)とは
世界中のデータセンターを使った分散型のインターネットコンピュータ(分散型ネットワーク)を作成しているプロジェクト。インターネットコンピュータを使用することで、ユーザーはWeb3関連サービスを高い拡張性と高速な速度、安全に構築することが可能。従来のIT大手企業が提供するプロダクトをブロックチェーンの優位性である分散性によって取って代わることを目標としている。
独自のコンセンサスアルゴリズム「Threshold Relay」を採用。高度に最適化されたプルーフ・オブ・ステーク(PoS)モデルで、トランザクション速度やスケーラビリティなどPoSに関連する多くの問題を解決している。
価格
- 現在価格(2024年11月8日時点):7.774ドル(約1,190円)
- 年初来高値(2024年3月):20.95ドル(約3,200円)
- 年初来騰落率(YTD):-40.12%
- 過去最高値(2021年8月):701.2ドル(約107,000円)
価格予測
24年5月:日本代表団、スイスのDFINITY本部を訪れる 「Internet Computer」の革新性を解説
時価総額|関連銘柄
Dfinity(ICP)の時価総額は2024年11月時点で約40億ドル、「人工知能(AI)」セクターの中では4位に位置する。同セクターで1位のNEAR Protocol(NEAR)の時価総額は約50億ドル。ICP以降は、Render(RENDER):約20億ドルが追従する。
主な出来事
- 2021年5月:DFINITYのガバナンストークンICPを含む5銘柄、コインベース上場へ
- 2022年1月:Dfinity財団、ICP初の分散型取引所「Sonic」を発表
- 2023年4月:ビットコインのユースケース拡大へ Dfinity、「ckBTC」のローンチを発表
- 2023年11月:Dfinityと分散型AI企業SingularityNETが提携 dAppsが大規模言語モデルにアクセスへ
エコシステム支援組織
Dfinity財団: Dfinityの創設者兼主任科学者のDominic Williams氏が主導する非営利団体。ICPの開発・運営を主導している。Web3業界における著名なエンジニアが多く参加しており、活発的に開発が進められている。
独自のプログラミング言語のMotokoを開発し、Dfnityネットワークに使用されている。他にもRustやC言語のSDKも開発しており、ユーザーの利便性を追求している。
ICP Asia Alliance: 2023年の9月にはアジアでのポジションを確立するためにDfinity財団が「ICP Asia Alliance」を発足した。2000万ドルの資金プールが割り当てられており、アジア地域でのWeb3の発展とAIエコシステムの育成を目的としている。
ICP Japan: 日本でのICPエコシステム普及と促進を目的とした組織。ICP HUBは世界に約30拠点存在し、各拠点の地域において活動を活発化させている。
トークンアロケーション
出典: DropsTab
出典: DropsTab
ICPの初期総供給量は4億6,900万トークンで流通量は1億2,300万トークン。初期分配は、DFINITY財団に22.37%、シードとプライベートセール22.09%、チームメンバー16.88%、早期後援者8.48%、戦略的ラウンド6.11%、プレセール4.24%、Internet Computer協会3.99%、戦略的パートナーシップ3.56%、アドバイザーや当事者以外のホルダー2.25%、エアドロップ1.12%、初期コミュニティと開発者助成金0.45%、ノード運用者0.21%となっている。
ICPはガバナンスシステム「NNS(Network Nervous System)」がICPの発行とバーン(焼却)を実行する。さらに、NNSにICPをステーキングすることでガバナンスに参加し、報酬を獲得することができる。
2024年9月16日時点の総供給量は5億2290万トークンで流通供給量は4億7040万トークン(総供給量の90%)。ステークされたICPは2億3950万(総供給量の45.8%)。
ICPトークンが発行される理由は主に投票報酬用(ガバナンス)とノードプロバイダー報酬用。アカウント間でICPを転送する場合に0.0001ICPの取引手数料が発生し、それをバーン(焼却)とされる。他にも提案が却下された際にも10ICPがバーンされる。
Total Value Locked(TVL)
Total Value Locked(TVL)は、DeFi(分散型金融)プラットフォームやプロトコルの価値を評価するための重要な指標の一つ。2024年11月時点、ICPのTVLは、5800万ドル。プロトコル別のTVLトップ3は以下の通り。
- Service Nervous Systems(約2300万ドル):ガバナンス。開発者がdAppの制御を分散型のトークンベースのガバナンスシステムに引き渡すことを可能とするアルゴリズムで構築されたDAO。
- ICPSwap(1000万ドル):分散型取引所(DEX)。インターネットコンピュータ上に構築されたDEXで、スワップやミントを実行できる。既存のDEXとの違いとしてカスタマイズ性が高く、独自トークンの発行もすることができる。
- Sonic(950万ドル):分散型取引所(DEX)。AMM(自動マーケットメーカー)方式を採用。パーミッションレスのトークンスワップと流動性マイニングが提供されている。取引速度が非常に高速な特徴を持つ。
- 資金調達総額:約1億6700万ドル
- 大規模な投資ラウンド:(2018年8月、1.02億の私募トークンセール
- リードインベスター:a16z 、Polychain Capital
- フォロー投資家:Multicoin Capital、IOSG Ventures、CoinFund、SV Angel、Scalar Capital、KR1、Village Global、Kommune、Cowd Venture Capital、Eterna Capital
Difinity(ICP)の将来性
ロードマップ
ICPの公式サイトからロードマップを確認することができる。ロードマップによるとICPは今後9つの領域でプロジェクトを進める。全部で147個ほど今後実装する機能について詳しく記述されており、公式サイトからロードマップを確認することをお勧めする。
- プラットフォーム
コスト効率の高いコンピューティングやストレージサービスの提供でネットワークサービスの分散化を促進する機能の開発。 - 分散型AI
分散型AIの導入によってスマートコントラクトの信頼性やセキュリティなど様々なシステムをAIアプリケーションにもたらし、集中型サーバーからの脱却を目指す。 - チェーンフュージョン
ビットコインやイーサリアム、ソラナなどのブロックチェーンをICPと融合し、Dapps(分散型アプリケーション)向けのマルチチェーンを開発。 - プライバシー
暗号化プロトコルを活用してユーザーが暗号化されたデータをチェーン上で保存や共有できるようにDappsが構築できるようにする。 - プラットフォームの分散化
単一の当事者への依存から脱却し、アーキテクチャ(設計思想やシステム構造)面に加え、運用面でもDAOベースのガバナンスへ。 - DID(分散型ID)
ユーザーのプライバシーを保護し、簡単なオンボーディングとID属性のサポートを実現。 - デジタル資産
現実世界の資産のトークン化やその他のデジタル資産ソリューションを活用し、高度に設計されたウォレットなどのシステムを構築するための魅力的なプラットフォームを目指す。 - ガバナンスやトークノミクス
現状ICPに2つあるガバナンスシステムのNNSとSNSフレームワークの機能拡張。 - 開発体験(Developer Experience)
キャニスター・スマートコントラクトやフレームワーク、豊富なライブラリなど開発者をサポートするシステムの開発。キャニスター・スマートコントラクトとはWASM(WebAssembly)でエンコードされる仮想マシン用のフォーマット。
期待される今後の動向
AIの活用
今後はブロックチェーン×AIの組み合わせが注目されている中で、ICPの優秀なエンジニア達がAI導入のため開発を熱心に行なっている。
企業との提携も進めており、2023年の11月には分散型AI企業のSingularityNETと提携を結んだ。dAppsの大規模言語モデルの活用を促進する目的で、SingularityNET社はDfinityが提供するインターネットコンピュータを自社のAIツール市場に統合をする計画。
大規模言語モデルは高性能なAIを作成する上で重要であり、これによってICPブロックチェーン上のスマートコントラクトでAIモデルの実行をすることができるようになる見込み。
Dfinity創業者のドミニク・ウィリアムズ氏によるとこの提携でICPプロトコル上に開発・展開される分散型AIモデルの透明性や信頼性が強化されるとのこと。
分散型AIはさらに市場を伸ばすことが予想できるため今後の動向に期待できる。
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p>現時点では、ICPは国内の取引所に上場していないが、海外や分散型取引所で取引が可能。購入するためには、まずメタマスクを用意し、国内の取引所でイーサリアム(ETH)を購入。その後、購入したETHを自分のメタマスクウォレットに移し、関連する分散型取引所でICPを購入できる。