シンガポールでの事業を本格化
大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは2日、シンガポール金融管理局(MAS)から決済機関としてのライセンスを取得したと発表した。
これによりコインベースはより広いデジタル決済トークン(仮想通貨)のサービスを、リテール顧客と機関顧客の両方に提供していけるようになった。また、地元のバンキングパートナーであるスタンダード・チャータード銀行を始めとするシンガポールの企業との提携関係を強化していく。
コインベースは、シンガポールユーザーの需要に合わせて、入金方法の選択肢にPayNowなどシンプルな送金方法を追加し、シンガポールドルによる、ステーブルコインUSDCの購入を手数料無料で提供していく。
コインベース・シンガポールのディレクターを務めるハサン・アメド氏は次のように話している。
当社がシンガポールで経験していることは、米国の状況とは対照的だ。シンガポールは高レベルで明確な規制を提供しており、業界がそれに従って事業運営を行うことができる。
国際的な戦略を考える上では、そのことが非常に重要だ。
また、コインベースはシンガポール金融管理局と対話しており、仮想通貨政策についても提言を行ったと続けた。米証券取引委員会(SEC)が「ガイドラインを提示せずに法的執行による取り締まりを行っている」ともされる米国との違いを強調した形だ。
SECはコインベースを相手取り、未登録証券を提供しているなどとして訴訟を起こしている。焦点の一つは、何が「投資契約」とみなされるかということだ。米名門大学の法学者らは8月、この点をめぐってコインベースを擁護する法廷書面を提出している。
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Web3エコシステムとも協力
コインベースは、サービス提供だけではなく、シンガポールのWeb3エコシステムにも協力していく姿勢だ。
シンガポールでのトレーニングと採用、またシンガポールブロックチェーン協会など業界団体との関係構築、コインベース・ベンチャーズを通じて周辺地域に投資していくことを挙げた。シンガポール国立大学など、現地の名門大学でワークショップも実施するとしている。
Web3とは
現状の中央集権体制のウェブをWeb2と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。
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シンガポールの規制
シンガポールは仮想通貨に前向きな国の一つとして知られてきたが、同国に拠点を置いていたスリーアローズキャピタル(3AC)の破綻などを受けて、規制強化も進めているところだ。
シンガポール金融管理局は7月、仮想通貨企業に対して新たな投資家保護措置を課すと発表した。顧客資産の分別や、カストディ機能が他の事業部門から独立していること、顧客資産についてのリスク開示などの要件を2023年末までに遵守するよう求めている。
また、リテール顧客に対して、仮想通貨レンディングやステーキングを制限する提案も準備していると説明した。
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