
アルトコインETF審査期限迫る
2024年に米国でビットコイン・イーサリアム現物ETFが承認され、2025年7月にはソラナ現物ETF(ステーキング付)が初承認されました。さらに直近では、SEC(米証券取引委員会)がを導入したことで、複数のアルトコインETFが一斉承認される可能性も指摘されています。
トランプ政権下で規制機関に推進派が就任し、SEC委員長ポール・アトキンス氏は「合理的で一貫性のある規制枠組み」を優先課題に掲げる中、各種アルトコインETFの承認に向けた期待も高まります。
2025年9月時点、SECには約90件の仮想通貨ETF申請があり、同年10月から11月にかけて主要銘柄の最終期限が相次ぎます。以下の一覧表に、直近の主な銘柄と審査状況を整理しました。
仮想通貨ETF申請状況
原資産 | 主要発行体 | 審査段階 | 直近期限 | 申請日 | 特記事項 |
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Grayscale, VanEck 他 | Final | 2025/10/10 | 2021/12 | ステーキング 現物型 DTCC登録済 |
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CBOE/21Shares, NYSE/Grayscale | Final | 2025/10/23 | 2025/2 | ステーキング 現物型 |
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Canary, Grayscale 他 | Final | 2025/10/2~ | 2024/10 | 現物型 DTCC登録済 |
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REX OSPREY, Grayscale, Coinshares, Bitwise | 承認-1940Final | 2025/10/18 | 2025/1 | 現物型 |
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REX OSPREY, 21Shares,Grayscale 他 |
承認-1940Final | 2025/10/18 | 2024/9 | 現物型 DTCC登録済 |
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Grayscale | Final | 2025/10/23 | 2025/1 | 現物型 |
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Grayscale, Canary | Final | 2025/11/12 | 2024/12 | 現物型 DTCC登録済 |
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Grayscale, 21Shares | Final | 2025/11/8 | 2025/1 | 現物型 |
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Grayscale, VanEck | 3rd | 2025/10/26 | 2025/3 | 現物型 |
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Canary, 21Shares | 3rd | 2025/10/22 | 2025/3 | 現物型 |
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Canary | 3rd | 2025/11/24 | 2025/4 | 現物型 |
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Canary | 1st | 2025/10/26 | 2025/4 | ステーキング 現物型 |
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Canary | 1st | 2025/10/15 | 2025/7 | ステーキング 現物型 |
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Canary | 1st | 未確定 | 2025/3 | 現物型 |
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Bitwise | 1st | 未確定 | 2025/3 | 現物型 |
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Canary | 1st | 未確定 | 2025/3 | 現物型 |
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Bitwise | 1st | 未確定 | 2025/5 | 現物型 |
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21Shares | 1st | 未確定 | 2025/7 | 現物型 |
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Grayscale, Bitwise 他 | 1st1940 Act* | 未確定 | 2025/1 | 2X ステーキング 現物型 |
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VanEck, REX OSPREY他 |
1st1940 Act | 未確定 | 2025/5 | ステーキング 現物型 |
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Canary, REX OSPREY, Tuttle Capital |
1st1940 Act | 未確定 | 2025/1 | 現物型 2X |
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Tuttle Capital | 1940 Act | 未確定 | 2025/1 | 2X |
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REX OSPREY, Tuttle Capital |
1940 Act | 未確定 | 2025/1 | 現物型 2X |
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VanEck* | 計画段階 | 未申請 | 未申請 | *計画との報道 現物型 ステーキング |
※ 各銘柄の全申請を統合し, 最短期限のみ表示
※ 審査段階:1st (45日) → 2nd (45日延長) → 3rd (90日延長) → Final (最終60日)
※1940 Act: 投資会社法に基づく申請(19b-4とは別ルート)*投資家保護を目的に、監査済み保管、運用透明性、レバレッジ制限(150-200%上限)を課し、SEC審査をクリアしやすくする法律。単一銘柄への投資は制限され(5-10%以下など)、分散投資を促進。先物やデリバティブ型ETF(レバレッジ/インバース型)に多く用いられ、純粋な現物型ETFより承認が柔軟で迅速。暗号資産ETF(例: SOL、XRP、DOGEn)で承認事例。
※ データ出典:Bloomberg Intelligence, SEC公開資料
注目の新機能:ステーキング報酬
「ステーキング」とは、仮想通貨を預けて利息のような報酬を得る仕組みです。フィデリティやグレイスケールなど大手が申請中のイーサリアムETFには、このステーキング機能が組み込まれており、承認されればETFを保有するだけで追加収益が期待できます。
また、ライトコインETFはすでにDTCC(米国の証券決済機関)に登録済みで、取引開始前の最終段階にあります。過去のビットコインETFでは、DTCC登録から約2か月後に正式承認された前例があり、今回も承認が近いとの見方が出ています。
今後の展望:審査期限の集中
2025年10月にはイーサリアム(ステーキング追加申請)、XRP、カルダノ、ドージコインなどが最終判断期を迎え、続く11月にはアバランチ(12/12)、トロン(1/2026)なども期限を迎える予定です。さらにスイやニアー、BNBといった主要銘柄も審査リストに控えており、ブルームバーグのアナリストは「複数銘柄が同時に承認される可能性もある」と指摘しています。※ただし、審査延長や否認の可能性もある。
知っておきたいETF審査の流れ
通常、SECの審査は最大で240日程度を要し、以下の段階を経ます:
- 1st Deadline(45日)初回審査
- 2nd Deadline(追加45日)延長審査
- 3rd Deadline(追加90日)詳細審査
- Final Deadline(最終60日)最終判断
さらに「1940年投資会社法」に基づく申請もあり、主に先物型やレバレッジ型ETFに適用されています。今後、SECが提案中の新ルールを承認すれば、この審査プロセスが短縮される可能性があります。
投資家への影響
仮想通貨ETFが拡大すれば、機関投資家や個人投資家の参入が容易になります。従来は取引所口座の開設が必要でしたが、ETFであれば証券口座から直接売買が可能。税制上も株式ETFと同様の扱いとなるため、投資ハードルは大幅に下がります。
米国が仮想通貨ETF承認を加速させることで、国際的な市場競争力も高まり、日本を含む海外投資家にとっても将来的にこれら商品へのアクセスが現実的になるかもしれません。
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