- 仮想通貨市況
- 仮想通貨・ビットコイン(BTC)市場が大きく上昇した理由に上がる中国元安の資産逃避需要。過去の事例から再現性とその需要の理由を分析。
仮想通貨市況
6日の仮想通貨市場には、引き続き”追い風”が吹きそうだ。ビットコイン市場では一時127万円まで続伸し、前日比10%高に。今回の上昇相場は一部のアルトコインも連れ高する形で全面高をもたらした。
追記
ビットコインは15時50分時点で12000ドルを突破、日本円建てでも129万円に達した。
ビットコインとの相関係数が高まっている法定通貨の中国元は、対ドルで1ドル=7元を超える、11年ぶりの元安水準に達した
中国政府は人民元安水準を容認するとともに、国有企業に米国産の農産物輸入の停止を要請、トランプ大統領が「為替操作」として非難、米金融当局に対し中国への対抗措置として継続的な金融緩和を要求した。米財務省は中国を通貨を意図的に安く誘導する「為替操作国」に認定したことを受け、米中貿易摩擦が深刻化したことで大幅下落となった。
米国市場でも、ダウやS&P500などで2ヶ月前水準まで下落。NY為替市場でもドル円が一時106円を割り込むなどドル売りが急加速。米中貿易摩擦の深刻化や通貨戦争の警戒感が高まっている。米中貿易摩擦激化懸念の再燃を受け、米利下げ幅の見通しも広がった。
一方で買いが広がっているのが、資産の逃避先として挙げられる金(ゴールド)などの安全資産だ。実際に世界同時株安で、米国債や金への資金流入が観測されている。NY金先物12月限は、前日比19.00ドル高の1476.50ドルで取引を終えた。
ビットコイン、国家的有事リスクに対する買い
この流れを汲む資産として、金利のないビットコインが再び注目されつつある。
今月はじめのトランプ米大統領による重要発言「中国製品3000億ドル相当に関税を課す」から再加速した今回の流れにおいて、ビットコインは通貨安や株安の状況下で短期下落トレンドから脱却して上昇基調に転じた。
今回の流れを分析する仮想NISHI(@Nishi8maru)氏は、ビットコインに対する資産としての見方は、国家的有事か経済的有事かで異なると指摘。今回の事例のように国家的有事に伴う安全資産(リスクオフ資産)の需要では、ビットコインはリスクオフ資産として見られるとの見解を示した。
過去にもビットコインが国家的有事に伴う安全資産として買われた動きには、2013年のキプロス金融危機を含め5回ほど同様の動きがあったという。また、その過去事例の中には、16年の人民元不安といった事例が含まれている。
BTCは
— 仮想NISHI (@Nishi8maru) August 5, 2019
国家的有事か経済的有事かでリスクオフ資産にもリスクオン資産にもなるんだけど
安全資産(リスクオフ資産)として買われるのは仮想NISHI基準で6回目
13年キプロスショック
16年人民元不安
17年北朝鮮ミサイル発射
18年米国政府閉鎖危機
18年南欧発ユーロショック
19年貿易戦争激化⬅︎NEW
チャイナショックとビットコイン需要
2015年8月、人民元切り下げを発端に”チャイナショック”と呼ばれる世界同時株安が発生。為替・株式市場の国際的な混乱をもたらした。中国・上海総合市場では、8月24日に8.49パーセントの大幅下落を記録、翌25日にも7パーセントを越える下落幅を見せた。
中国政府は株価暴落を防ぐため、市場の約半数の銘柄に対し、初のサーキットブレイカー(取引停止)措置を講じたほか、空売り制限などをかけ違反者を逮捕すると強硬手段に出たが、売り損ねた投資家を中心に市場への動揺が広がった。
また、16年にはトランプ次期(16年時点)米大統領が中国からの輸入品に懲罰的関税をかけると宣言、台湾や南シナ海問題を巡って緊張が高まっていたことなどが中国元安に繋がった。
中国マネーが主戦場にあったビットコイン市場は、オフショア市場の人民元(CNH)が下落したことを受け、価格が高騰。
当時、中国人の外貨預金需要が増加、外貨預金率は32%にまで増加した。この資産動向もビットコインにも資産流入が相次いだことが指摘されている理由だ。まさに状況に類似点が見られている。
ビットコインは逃避資産として機能するか
そもそも、ビットコインは逃避資産として機能するのか?これ一定の指摘が行われているトピックでもある。
地政学的リスクに対する逃避資産としての見方は、2019年の米中貿易摩擦が表面化した当初より注目されていたトピックであるが、実際に逃避マネーの受け皿には、ボラティリティの高さや、出来高の乏しさから基準を満たないとの指摘が行われている。
しかし、2016年当時と同様に、資産の逃避を目論む主要需要元となるのが一般投資家であることを考えると、OTCなどを中心に資産が逃しやすい環境にある仮想通貨はその対象になりやすいと考えられる。
直近でテザーの発行数の増加などが相次いだが、裏付けのない発行という疑惑の他に、中国投資家からのテザー需要が増加していた可能性も考えられるだろう。
中国では一般的に仮想通貨の取引を禁じているが、OTCなどを利用した取引は通常運用されている。キャッシュレスが進む中国で多用されるウィーチャット決済などもその購入手段に入るなど、一般人にも購入しやすい資産として一部認知されている側面がある。
今回の注目のポイントは、国家的有事に伴うビットコインの需要が再び意識されたことだ。
2018年の下落相場を受け、冷え切った一般投資家の購入意欲の中で、新しい需要が認識される動きに繋がった。ETF、現物決済先物と需要が見えぬ機関投資家からの需要ではなく、国家規模の先行きの不透明さを背景とした、再び個人投資家からの需要が再注目されようとしている。
【告知】
— CoinPost -仮想通貨情報サイト- (@coin_post) 2019年7月18日
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