- 仮想通貨の相関性に関するをレポート公開
- 仮想通貨取引所バイナンスの市場分析部門が、2019年の第2四半期における仮想通貨の相関性に関するレポートを発表。ビットコイン(BTC)との相関性から、多くの投資戦略が見えてきた。
第2四半期はビットコインへ資金が集中
仮想通貨取引所バイナンスの市場分析部門が、2019年の第2四半期(Q2)における仮想通貨の相関性に関するレポートを発表した。
Q2:4月から6月の期間の市場推移として、最終的には価格の下落も見られたものの、市場全体の長期レンジでみた値動きは上昇傾向にあった。第1四半期(Q1)に比べ、仮想通貨全体の時価総額は139%上昇し、2014年以降の四半期成績では過去第3位のパフォーマンスであったという。2017年以降に限って見ると、最高の上昇率を記録した。
ある意味で急ピッチな価格上昇から、市場のトレンド性が見えた四半期となったが、市場内通貨の推移は、2017年以降最もビットコインとアルトコインの相関性が薄れた時期でもあったようだ。
バイナンス社のレポートによると、ビットコイン(BTC)とアルトコイン全体との相関性が前四半期(Q1)と比較して0.73%から0.61%に低下。第1四半期(Q1)は高い相関性を示したため、大きな下降だと指摘した。
この相関データはビットコインに市場外資金(ニューマネー)が集中していたことや、アルトコインの市場内資金を吸い上げて成長したことを示す。時価総額2位のイーサリアム(ETH)やリップル(XRP)といった主要アルトの相関性もQ1と比較して大きく低下した。
ビットコインと主要アルトは、株式市場などでいうバスケット的な見方(日経平均など:現仮想通貨ではまだない)が行われ、その中で需給を見る動きが強かったが、第2四半期ではビットコインに需要が偏る動きが継続した。
BTC建が主要取引ペアであった2017年などは、ビットコインの勢いが弱まると、相対的な取引ペアに当たるアルトコインの上昇が一時的に見られていたが、今回四半期ではそのような推移はあまり見られなかった。
市場上昇時にはビットコイン一辺倒、下落時には負の相関をアルトコインが大きく受ける結果となるなど、2017年末に向けたバブル相場とは異なる価格推移が見られた。
相関性からみるXRP価格の展望
今回のデータの中で注目したい点は、時価総額上位のビットコインとイーサリアムは、未だに一定数に相関性が見られている一方で、ビットコインとXRPの相関性は大きく低下。また、相関性がそれぞれ異なる動きをしている中で、イーサリアムとXRPの相関性は高い水準が保たれたことにある。
このデータの相違点とチャート推移から見ると、ビットコイン上昇時の相関性で大きな差が出たと見られる。要するにXRPは下落時の負の相関性の影響は受けていたものの、ビットコインの上昇時にはその影響が低かったことを示している。
XRPの価格推移において、この相関性は非常に重要であり、負の相関だけを高く受ける状況が続くと、ビットコインの現物買いに対して、売りヘッジなどで見られる可能性も考えられる。
XRPは過去のチャートからも単独で強い価格上昇を記録する動きが度々確認されているが、それらの上昇によって、正の相関性が高まることで、上値が重い展開にも改善の兆しが見えるかもしれない。
ニュースによる単独上げはおきていた
時価総額上位の相関性から、新しいニュースなどが個々の銘柄に与える影響は比較的小さく、大きく影響を与えるのはあくまで市場全体の傾向は見えてきてはいるものの、Q2で圧倒的なパフォーマンスを記録したChainLink(米IT大手企業のGoogleがChainlinkのブロックチェーンを統合するといった報道)など、ビットコインが上昇することによる市場心理の緩和から、特定アルトのニュースが影響する単独上げも確認されていた(相関性のない動き)。
コンセンサスアルゴリズムが影響?
Q1と比較すると、コンセンサスアルゴリズムも相関性に影響を与えていたことも明らかになった。合意形成にProof-of-Work(PoW)を用いている仮想通貨の方が、PoW以外の合意形成を持つ仮想通貨よりも平均的に見て相関性が高いという結果が見えてきた。これはある程度、同様の仕組みをもつ通貨が一括りに見られるといった仮想通貨特有の相関性を示す。
またQ2では、コンセンサスアルゴリズムと同様に、特徴が似た仮想通貨に高い相関性が見られた。匿名性の高い仮想通貨であるDASH(DASH)とMonero(XMR)や、送金を目的に開発されたリップル(XRP)とステラ(XLM) が相互に高い相関性を示したという。
本レポートは仮想通貨の相関性の変化に特化したものだ。バイナンスリサーチは、相関性をより深く調べ、株などの伝統資産の普及して間もない頃と比較することによって、今の仮想通貨業界の状態を把握することに役立つだろうと説明している。