CoinPostで今最も読まれています

現金社会からの脱却、パンデミックで加速した「P2Pデジタル決済」の現状=NY連銀レポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

P2P決済の普及拡大

米ニューヨーク連邦準備銀行が発表した新しいレポートによると、新型コロナウィルスの感染拡大が、消費者の決済手段の選択に変化をもたらすきっかけとなっていたことがわかった。特に、パンデミックによる景気後退を下支えするための大型景気刺激策として、米国政府から個人への現金給付が開始した4月15日以降には、P2P決済アプリの伸びが顕著であったと報告されている。

現金決済の減少とデジタル決済の増加

レポートによると、米国では小売決済の大半が既にデジタル決済となっているが、現金を介したウィルス感染拡大のリスクへの懸念から、さらにキャッシュレスが加速したという。しかし、現金決済のリアルタイムデータ取得は不可能なため、レポートでは、代替手段として、グーグルトレンドの検索頻度データを用いて、様々な決済方法に関するキーワードを調査した。その結果が下記のグラフにまとめられている。

現金利用に関しては、その入手手段であるATMをキーワードとし、デジタル決済については、主要なモバイル決済アプリ(Venmo、Cash App、Zelle)の複合スコアを用いたという。さらに、消費者が現金使用を不安視し始めたタイミングを見計らうために「Covid現金」で検索をかけ、その開始時期(2月第2週)をグラフの縦線で示した。また、過去の検索量の傾向から、新型コロナウィルスの影響を除外したデータを推定し、点線で表した。

この結果を分析すると、最大で、決済アプリの検索は42%増だったのに対し、「近くのATM」をキーワードとする検索は42%減となったという。

デジタル決済アプリ間の差

次に、5つの主要デジタル決済アプリに関する検索数の変化を調べたところ、Cash AppやVenmo、ZelleといったP2P決済アプリの検索数が増加しているのに対し、小売やスマホ上での決済サービスを提供するGoogle PayとApple Payに対する検索数は、ほとんど差が認められなかった。

この結果を受けて調査チームは、消費者が非公式経済活動において現金に代わる決済方法を求めていることの表れだろうと説明している。

米国政府の景気刺激策が決済アプリ普及を後押しか

さらにレポートでは、政府のコロナ禍に対する経済政策が、決済アプリの普及を促した可能性があると指摘した。米国の納税申告者に直接、振り込まれることとなった連邦政府からの給付金の受け取りに、銀行口座ではなく、決済アプリを利用する選択をした多くの消費者がいたようだ。

給付開始日の4月15日、「Cash App」の検索数が急増したという。また同日、Cash App側も口座入金の設定方法に関する詳しい解説を公開した。

レポートによると、政府給付金は家計に対する短期的な救済が目的であったものの、特定の口座へ振り込まれた資金を、銀行や債権回収業者が差し押さえることも可能であることが判明した。そのため、一部の消費者が銀行口座への入金を回避したのではないかと推測している。また、銀行口座を持たない人々が、小切手の配送遅れの解決策を求めたのかもしれないと付け加えた。

Cash Appの躍進

上のグラフでもわかるように、Square社が提供する「Cash App」のキーワード検索は、特に群を抜いて増加している。レポートでは触れられていないが、Cash Appは決済だけにとどまらず、数々の機能を拡張していることで、知られている。例えば、デビットカードの使用で提携する小売チェーンで割引が受けられるだけではなく、ビットコインの購入や株取引も可能だ。また8月には、一部のCash Appユーザーに対し、ローン機能提供のテストを開始していたことが報じられている。

Square社は今年3月、連邦預金保険公社(FDIC)から、条件付きで銀行設立の承認を得ている。2021年に開行予定の「Square Financial Services」で、中小企業向けの融資などを行うという。Square社は自社のフィンテック製品だけで、企業経営を可能にするエコシステムを構築しているが、Cash Appで、個人向けにも同様のエコシステムを構築しようとしているようだ。

コロナ禍が加速したデジタル決済の普及は、将来的には銀行口座に取って代わるようなエコシステムの誕生も促しているのかもしれない。

出典:ニューヨーク連邦準備銀行

コメントしてBTCを貰おう
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
17:02
Bitrue、仮想通貨XRP関連トークン「COREUM」のエアドロップに対応
仮想通貨取引所のBitrueは、レイヤー1ブロックチェーン「COREUM」による、XRP(リップル)等の保有者向けエアドロップのサポートを発表した。スナップショットは3月24日13時(日本時間)から開始される。
16:05
Aavegotchi、ポリゴンでカスタムチェーン構築へ
メタバースゲーム「Aavegotchi」、独自ブロックチェーン「Gotchichain」の開発計画を発表した。カスタム可能なブロックチェーン構築ツール「Polygon Supernets」で専用のブロックチェーン「Gotchichain」が構築される。
13:15
Gala Games、公開プレイテスト開始
Gala Gamesが2タイトルで公開プレイテストを実施中。4X系のターン制RPG、「エターナル・パラドックス」とサバイバルMMOPRG「ウォーキング・デッド:エンパイア」で2週間限定で実施される。
13:00
アバランチ(AVAX)、アップデート後に1時間のダウンタイム発生
仮想通貨アバランチのブロックチェーンは、23日に実装されたアップデート「Banff 12」後に約1時間に渡って停止した。アバランチの「Contract(C)Chain」が影響を受け、一部取引所では入出金を停止する措置が取られた。
12:27
ビットコイン反落、FOMCパウエル発言やイエレン議会証言で楽観的な見方が後退
暗号資産(仮想通貨)市場では年初来高値を更新していたビットコインが急反落。米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを行なったパウエルFRB議長の方針とイエレンの議会証言で、楽観的な見方が後退した。
11:28
メタマスク、機関投資家向けにステーキング機能を提供へ
米ConsenSysは、機関投資家向けの仮想通貨ウォレット「Metamask Institutional」にステーキング専用のマーケットプレイスを設置する計画を発表した。4つの仲介サービスを提供し、イーサリアムのワンクリック・ステーキングが可能になる。
11:15
ビットコインカストディのXapo Bank、USDC送金システム提供へ
ビットコインカストディ企業Xapo Bankは、ステーブルコインUSDCを発行する米サークル社と提携して送金システムを提供すると発表した。SWIFTと比べ低コストで迅速に送金できるものだとしている。
10:15
Bitrue、Arbitrum(ARB)上場予定
仮想通貨取引所Bitrueは、イーサリアムのL2「Arbitrum」の新規上場計画を発表した。同社は取扱い開始を記念して独自にARBトークンのエアドロップを実施予定。賞金として総額100,000 ARBが用意されている。
10:10
米SEC、トロン創設者ジャスティン・サン氏らを提訴
米証券取引委員会は、仮想通貨トロンの創設者であるジャスティン・サン氏に対して訴訟を起こした。未登録証券の提供や販売、ウォッシュトレードを行ったと申し立てている。
09:50
「GM Radio」 次回は分散型IDプロジェクト「Masa Finance」が参加
グローバル版CoinPostによる第15回GM Radioは、3月24日の12:00からツイッタースペースで配信予定。ゲストに、SBT活用の分散型IDプロジェクトMasa Financeを招待する。
09:20
米SEC、証券法違反の疑いでコインベースを調査
仮想通貨取引所コインベースは、米SECからウェルズ通知を受け取ったことを公表。SECが調査している内容やコインベースの考えを説明した。
08:20
コインベース、Arbitrum(ARB)上場予定
仮想通貨取引所大手コインベースは、「Arbitrum(アービトラム・ARB)」の新規上場を決定した。また、個人投資家向けのアルゴランド(ALGO)のステーキング報酬の付与中止する予定だ。
08:00
メイプルストーリー、NFTゲーム構築にポリゴン採用へ
ネクソンは、仮想通貨ポリゴンのブロックチェーンを開発するPolygon Labsとパートナーシップを締結。メイプルストーリーのNFTゲーム構築に、ポリゴンの技術を活用する。
07:27
米国株反落 FOMC追加利上げ、年内利下げ期待が後退|23日
本日のNYダウやナスダックは反落。NYダウはパウエル議長のFOMC会見を受けて乱高下し-530ドルで取引を終えた。FRBはFOMCで政策金利を0.25%引き上げた。
03/22 水曜日
15:56
BNB Chainのメタバース「Oasis Origin」、OpenAI「GPT4」採用へ
メタバースソーシャルアプリ「Oasis」は、BNB ChainでWeb3版「Oasis Origin」をリリースした。同製品は米OpenAI社の言語モデル「GPT4」を活用するロードマップで注目を集めている。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア