ライセンスの必要性を見直し
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは7日、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビにおける投資ファンドのライセンス申請を取り下げたと発表した。
「BVインベストメント・マネジメント」というバイナンスの現地法人は、アブダビの金融センター・規制当局であるアブダビ・グローバルマーケット(ADGM)に昨年11月、ライセンス申請を提出していた。
ADGMのウェブサイトによるとバイナンスはこの申請を11月7日に取り下げていた格好だ。
バイナンスの広報担当者は、「当社のライセンス取得の必要性をグローバルに評価した際、この申請は必要ないと判断した」と説明している。また、今回の動きは、バイナンスがマネロン防止規則違反の疑いで米政府と和解したこととは無関係だとも続けた。
また、バイナンスは中東およびそれ以外の地域でもサービスを提供していくために各規制当局と協力し続けるとも述べた。
グローバル版バイナンスは11月、罰金を約6,330億円支払うことに同意して米財務省らと和解している。また、Changpeng Zhao(CZ)氏も、約74億円の罰金を支払うことに同意してCEOを辞任した。
バイナンスとは
取扱銘柄や取引高、登録者数が非常に多い大手仮想通貨取引所を運営。他にもベンチャーキャピタル部門の活動や教育コンテンツの提供、慈善活動など幅広い事業を展開している。22年11月には、日本市場への進出を発表した。
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グローバル展開の状況
バイナンスは、現在グローバル戦略の見直しを行っている模様だ。6月には地中海の島国キプロスにある「Binance Cyprus Limited」の事業ライセンスを取り消す申請を行なったことが判明した。
今後欧州では、フランス、イタリア、スペインといったより大きな市場に焦点を定めて事業を行っていく計画だと説明している。
また、9月にはロシアのウクライナ侵攻とロシアへの経済制裁を背景として、ロシア事業を全て売却すると発表した。ロシアで事業を続けることはバイナンスのコンプライアンス戦略に一致しないと説明している。
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一方、8月には日本居住者向け新プラットフォーム「Binance Japan」を立ち上げた。代表である千野剛司氏は、仮想通貨取引の枠を超えて日本の民間企業や行政と連携する展望も語っている。
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UAEでの動き
バイナンスはUAEとの結びつきも強めているところだ。2022年11月には、アブダビで仮想通貨カストディのライセンスを取得した。
2022年4月には、UAEにおける事業で100以上の求人募集を行っていると発表した。
CZ氏はこの際「ドバイは間違いなく非常に重要な拠点であり、今後さまざまな選択肢を検討する予定だ」と述べ、バイナンスの拠点をどこにするかについて内部検討を行っているとも続けた。
バイナンスは、世界各地で事業を展開しているものの、まだ本社をどこにするのかを定めていない。
バイナンスは2021年より、ドバイの新しい仮想通貨規制の構築で、ドバイ世界貿易センター庁とも提携している。
また、現在CZ氏はここ数年間ドバイに住居を構えている。保釈により2024年2月23日の判決日までに一時米国を離れてドバイに戻る可能性も浮上しているところだ。