
ステーブルコイン規制の明確化へ
欧州連合(EU)の欧州委員会は、EUの内外で発行されるステーブルコイン同士を交換可能にすることを近く提案する予定であることがわかった。情報筋の話として複数の海外メディアが報じた。
欧州中央銀行は、市場が不安定な時にステーブルコインがEUの銀行に悪影響を及ぼしうると懸念しているが、現在はルールが不明確なため、交換可能であることをはっきりさせたい模様だ。
具体的には、EUで事業ライセンスを取得した企業が発行するステーブルコインと、EU以外の国・地域の企業が発行する「同じブランドの」ステーブルコインを交換できることを明確にする。
この動きの背景の1つには、ステーブルコイン規制法案が米トランプ政権下で上院を通過するなど、米国で規制整備が進んでいることがあるとの見方が上がった。
関連: 「ステーブルコインはドル覇権を強化」ベセント財務長官
今回の内容を25日に最初に報じたフィナンシャル・タイムズ(FT)によれば、提案の発表は数日で行われるという。同じ発行体のステーブルコイン同士に限られるのかなど、交換の詳しいルールもその時に説明されるとみられる。
ステーブルコインの懸念
一方、欧州委員会は上記の提案を行う予定であると報じられたが、欧州中央銀行のクリスティーヌ・ラガルド総裁は23日、欧州議会でステーブルコインに対して懸念を示した。
現在ステーブルコインは暗号資産(仮想通貨)の取引を促進する役割を果たしたり、速く安価な国際決済を実現したりしているが、同時に金融の政策や安定性に悪影響を与えうると指摘。また、常に価値を安定させられるわけではないとも主張している。
その上で、特に国をまたいで使用されるステーブルコインは完璧なルールによって管理されなければならないと強調し、そのためにMiCA法を制定したと説明。そして、米国などの多くの国や地域が規制整備が完了しておらず、テザー社が拠点にしているエルサルバドルにもステーブルコインの慎重な枠組みが不足していると指摘した。
ラガルド氏は現在、CBDC(中央銀行デジタル通貨)である「デジタルユーロ」の開発を優先する意向である。
CBDCとは
「Central Bank Digital Currency」の略で、各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。仮想通貨との大きな違いは、CBDCはデジタル上の法定通貨であること。
関連:サークル株価15%下落、BISステーブルコイン批判や利益確定売りなどが影響