はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

他人のPCで仮想通貨モネロのマイニングを行う「コインハイブ」は違法なのか|9日初公判

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

他人のパソコンでマイニングを行う「コインハイブ」
仮想通貨モネロのマイニングを他人のPCを使用して不正に行ったとして、全国10県警が「不正指令電磁的記録(ウイルス)供用容疑」などで計16人を逮捕・書類送検した問題に関連した裁判が、9日より横浜地裁で行われる。検察側、弁護側双方の言い分は。

他人のパソコンでマイニングを行う「コインハイブ」

他人のPCを使用してマイニング(採掘)する「Coinhive(コインハイブ)」に関する裁判が、1月9日に横浜地裁で行われる。被告人は、ウェブデザイナーの男性(31)だ。

男性は、自身のウェブサイトに「コインハイブ」と呼ばれるコインマイナー用のプログラムを設置したところ、ウイルスを仕込んだとして警察に摘発され、「不正指令電磁的記録(コンピュータウイルス)取得・保管」の罪で横浜簡裁から罰金10万円の略式命令を受けたが、これを不服として正式裁判を請求していた。

不正指令電磁的記録取得・保管罪(不正指令電磁的記録取得等)

第168条の3

正当な理由がないのに、前条第1項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

警察庁によると、閲覧者のPCを無断マイニングしたとして、現時点で18歳〜48歳の学生や会社員など、全国で計16人を検挙しており、内3人が逮捕されている。

Coinhiveとは、サイト訪問者がページを閲覧している間に仮想通貨をマイニングさせてサイト運営者が収益を得るサービスで、ネット広告の代わりとして作成された。

HTMLにCoinhiveが提供する「数行のコード」を埋め込むことで、サイト閲覧者のブラウザからCPUを動かし、匿名性通貨「モネロ」のマイニングを行うことが可能で、獲得したモネロは、サイト運営者7割、Coinhive3割の比率で山分けされる仕組みだという。

本来は、仮想通貨マイニングを行うコミュニティーが、余剰分のCPUパワーを貸し合う目的で作成されたとされている。

ドイツの大学の分析結果

2018年8月には、ドイツのアーヘン工科大学から発表された論文内で、マイニングソフトウェア「Coinhive」により、1ヶ月で1200万円相当がマイニングされており、モネロマイニングの約1%に該当する事が明らかになった。

同大学が「WebAssembly」というウェブベースのマイニングソフトウェアを探知するスクリプトでウェブをスキャンしたところ、75%が「Coinhive」であると結果が出た。

サイバー専門家のTroy Mursch氏は、「Coinhiveやネットマイニングソフトウェアで自分のPCが無許可でマイニングに利用されるのを防ぐためには、miningBlocker等のブラウザー拡張が有効だと述べている。

コインハイブ問題の争点

IT業界に詳しい中島弁護士によると、「他人のパソコンに対し、所有者の意図に反する”不正な指令”があったどうかが争点になる。」「一般的な解釈では、不正かどうかは社会的に許容されるかどうかになるが、コインハイブは新しい仕組みなので、裁判官によっても判断が分かれる可能性もある」という。

警察側の主張

警察側の主張は、概ね以下の通りだ。

  • 訪問者の同意なし(明示せず)に、訪問者のパソコンを使用して仮想通貨マイニングを行う行為は、違法性がある。
  • 訪問者の「了承なし」のマイニング行為は、社会的な合意が得られているとは言えず、報酬を得るために他人のパソコンや電力を使用することは、許容範囲を逸脱している。

マイニングは、インターネット上で仮想通貨を獲得できる手段の一つだが、サイト上に仕込まれたプログラムにより、無断で閲覧者のパソコンやスマートフォンにマイニングを行う不正サイト急増が国内外で問題視されている背景もあり、PCの動作が重くなったり、不要な電気代が発生することから、「違法の可能性」を指摘する専門家もいる。

被告側の主張

対して、被告側は、以下のように主張している。

  • コインハイブの技術自体は面白く、サイトのユーザビリティを考え、広告に代わる新しい収益源として試験的に導入した(1ヶ月で1000円弱の収益が生じたが、条件を満たしておらず、受け取っていない)
  • 動画広告やバナー広告など、了承を得ずに動くプログラムは他にも存在している
  • インターネットにおいて、プログラミング言語であるジャバスクリプトは勝手に動くものであり、広告も個別的な同意なく動作している。個人情報漏えいなどの被害が生じるわけでもない。(弁護側)
  • 道義上の問題であり、法的責任を追及される刑法上の問題ではない。(弁護側)

広がる波紋

男性は、略式命令を受けたあと、「コインハイブに興味を持ったエンジニアが同じ目に遭わないように」注意喚起するため、家宅捜索と取り調べまでの経緯をネットに公開したところ、大きな反響があり、テレビ局などマスメディアでも取り上げられている。

周囲のエンジニアも、

問題点が”了承を得ずに動くプログラム”とするならば、ネット広告やアクセス解析と変わりない。

「社会的に許容されるかどうか」という判断基準も、合法か違法かの線引きが曖昧であり、技術革新に対してエンジニアが萎縮しかねない(技術者の意欲が削がれる)。

などと懸念を表明しており、警察の取り調べ方法や摘発に対して反発する声も寄せられている。

なお、情報セキュリティ大手「トレンドマイクロ」社の岡本氏は、「改ざんサイトに埋め込むなど、悪用が多いので検出しているが、コインハイブ自体が不正とはみなしていない」との見解を示している。

CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者10,000名突破。

CoinPostの関連記事

米Apple社:iPhoneやiPadでの仮想通貨マイニングを全面禁止へ
アプリによるデバイス上での仮想通貨マイニングの禁止 米Apple社は、世界開発者会議の中で、...
Coinhiveマイニング、他人のPCで1ヶ月1200万円の仮想通貨モネロを荒稼ぎか:独工科大学が発表
仮想通貨時価総額10位のモネロ(XMR)のマイニングの約1%がCoinhiveを利用して行われている事がドイツアーヘン工科大学が発表した論文で明らかになった。
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
04/02 水曜日
16:57
三菱UFJ信託銀行、電子決済手段としては国内初のステーブルコイン発行へ=報道
三菱UFJ信託銀行が近日中に「電子決済手段」としてのステーブルコイン事業を開始する。カーボンクレジット取引から始め、貿易決済への拡大も視野に。
14:30
ソニー・シンガポール、オンラインストアでステーブルコインUSDC決済に対応
ソニー・シンガポールが仮想通貨取引所と提携し、オンラインストアでステーブルコインUSDCによる決済サービスを開始。シンガポール初の仮想通貨決済対応家電ブランドとなり、ソニーグループの分散型技術戦略と連動した取り組みとなった。
13:25
エリック・トランプ氏「仮想通貨事業参入のきっかけは不当な銀行口座閉鎖」
トランプ大統領の次男エリック氏は、大手銀行による突然の口座閉鎖が仮想通貨事業参入のきっかけとなったと明かした。同氏は、ブロックチェーン技術により今後10年で金融や銀行の在り方は大きく変わると予想している。
12:56
メタプラネット、ビットコイン追加購入で累計4,206BTCに
メタプラネットが4月2日に仮想通貨ビットコインを160BTC、約20億円分追加購入し、累計4,206BTCに保有量を伸ばした。2025年末1万BTC・2026年末2万1,000BTCを目指し、独自財務戦略を進める。
12:05
ビットバンク、村上信五さん起用の新CM放映開始へ
国内暗号資産取引所の大手ビットバンク株式会社は4月2日、バラエティ番組の司会などで活躍する村上信五さんを起用した新CM「Everybody bitbank」シリーズの放映を4月3日から開始すると発表した
11:44
米グレースケール、バスケット型仮想通貨ETF申請 XRP・ソラナ・ADA含む5銘柄で
米グレースケールがビットコイン他複数の仮想通貨に投資する「デジタル・ラージキャップ・ファンド」のETF転換をSECに申請した。承認されれば一般投資家にも開放される見込みだ。
11:00
「決済用ステーブルコインは利子提供不可」米ヒル議員が強調 コインベースらの嘆願却下
米下院金融委員長が決済用ステーブルコインの利子提供は認められない計画だと強調。コインベースなど仮想通貨業界からの要望を却下した。法案にも禁止条項が盛り込まれている。
10:30
国内上場のenish、1億円相当のビットコイン購入へ Web3事業強化で
株式会社エニッシュが1億円相当のビットコインを4月1日から4日にかけて取得すると発表。ブロックチェーンゲーム開発を手がけながら、Web3領域での事業展開強化と財務戦略の一環としてビットコインを活用へ。
10:15
バックパック、FTX EUの顧客へのユーロ返還手続きを開始
仮想通貨取引所バックパックは、FTX EUの顧客にユーロを返還するための手続きを開始。FTX自体は現金での返還をすでに開始しており、仮想通貨の買い圧につながるのではないかとの見方も上がっている。
08:20
バリュークリエーション、2度目の1億円分のビットコイン購入を実施
東証グロース上場のバリュークリエーション株式会社が3月31日、1億円で7.8BTCの追加購入を発表。3月17日の初回購入から2週間で2回目の投資を実施した。
08:15
ビットコイン一時50万円上昇、米経済指標とトランプ関税政策が影響|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは前日比で一時50万円の上昇となった。現在、市場の最大の注目材料はトランプ大統領による関税政策であり、ビットコインはリスク資産である米国株価指数との相関性が非常に高くなっている。
07:50
『ビットボンド』提案、トランプ政権のビットコイン準備金戦略、年間10兆円の財政削減効果も
ビットコイン政策研究所が「ビットボンド」提案を発表。米国債の金利負担軽減と仮想通貨ビットコイン保有増加を同時実現する戦略で、2兆ドル規模で導入した場合、年間700億ドルの節約効果と推算。
07:20
ビットコイン購入準備のゲームストップ、2200億円調達済み
米ゲーム小売大手ゲームストップが15億ドルの無利子転換社債発行を完了し、ビットコイン購入計画を進行。マイクロストラテジーの戦略に類似する企業の仮想通貨投資の新たな展開に。
06:55
三井住友FG、アバランチらとステーブルコインを共同開発
三井住友FGは、ステーブルコインの開発を行うことがわかった。仮想通貨アバランチを開発するAva Labsら3社と協業し、26年度を目処にした発行を検討している。
06:35
トランプ家支援のAmerican Bitcoin、二社統合モデルでIPO計画
トランプ家支援のAmerican Data CentersとビットコインマイナーHut 8が設立した合弁会社American Bitcoinが上場計画を発表。エネルギー・インフラとマイニング事業を二社統合モデルで展開していく。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧