- 米有識弁護士、「トークン分類法」法案に対して厳しい声
- 仮想通貨を「デジタルトークン」と明確に位置付け、米国証券法の対象外とすることを目指した法案「トークン分類法」 。米議会に再度提出され、規制の明瞭化を促進するものだとして、有価証券に悩む仮想通貨業界を変える法律として大きな注目を集めたが、業界専門家からは厳しい評価が出てきているという。それはなぜか?法律そのものはどのような概要か?解説を行う。
米有識弁護士、「トークン分類法」法案に対する厳しい評価
仮想通貨を「デジタルトークン」と明確に位置付け、米国証券法の対象外とすることを目指した法案「トークン分類法」 。米議会に再度提出され、規制の明瞭化を促進するものだとして、有価証券に悩む仮想通貨業界を変える法律として大きな注目を集めているが、米ワシントンDCの弁護士で仮想通貨や有価証券訴訟関連に詳しいJake Chervinsky氏は、この法案に対して厳しい評価を下した。
0/ Sorry to say, I'm not a fan of the new Token Taxonomy Act.
— Jake Chervinsky (@jchervinsky) 2019年4月11日
I do think we need legislation to clarify whether & how digital tokens should be regulated, but this bill doesn't cut it. Here's my take on why it would create *more* regulatory uncertainty, not less.
Thread. 👇
悪いが、私は新しいトークン分類法が好きではない。
どのようにデジタルトークンを規制するかを明確にする法律が必要だと強く思うが、この法案は効果的ではない。この法案は規制の不明瞭性を増すことはあっても、減らすことはない。次のような理由からだ。
トークン分類法案(TTA)は、1933年の証券法および1934年の証券取引法を改正し、証券の定義を修正することで、新しい資産クラスとして分類される「デジタルトークン」が有価証券の対象外となるようにしようというもの。
現行の証券法では、有価証券の発行者には、米証券取引委員会(SEC)への登録が義務づけられており、有価証券に該当するかどうかの判断には、Howey テストといわれる規定が用いられている。
問題は、仮想通貨が有価証券の一種である「投資契約」とみなされる可能性もある中で、Howeyテストには、判断基準に曖昧な部分も多く、仮想通貨業界は、常に規制上の不確実性に悩まされてきた。
トークン分類法は、仮想通貨を新しい資産クラスである「デジタルトークン」と定義し、証券法の範囲から明示的に除外することで、この問題を解決しようするもの。そのため、トークン分類法のデジタルトークンの定義を満たしている限り、仮想通貨の発行体や企業は、Howeyテストの判断基準に憂慮することはなくなる。
しかし、Chervinsky氏は、そのデジタルトークンの定義の曖昧さは、Howeyテストの上をいくものだと主張している。
少なくとも、Howeyテストには、完ぺきではないものの、これまで長年にわたり積み重ねられた多くの判例や解説という、判断のよりどころとなる法的基準も存在するが、新しいトークン分類法におけるデジタルトークンの定義には、それが全くないと同氏は指摘している。
「トークン分類法」の不明瞭さとは
仮想通貨が有価証券にあたるかどうかの判断には、Howeyテストの「トークン購入者の利益に対する期待が『他人の努力に基づいている』かどうか」が焦点となり、そのため、「十分に分散化された」 事実が重要な判断要素となってきたという。「ビットコインとイーサリアムは有価証券に該当しない」という見解をSECが示したのは、この事実に基づいている。
Chervinsky氏はデジタルトークンの定義に関して次のような曖昧な言い回しを指摘し、疑問を投げかけている。
・「共同統制下にある人が、変更することはできない…作成および供給の規則に従って」作成されたトークン
ー「統制」とは? 「影響」とどう違うのか?
ー「共同」とはどのような関係を指すのか?
・「改変または改ざんに強い」データ構造にトークンを記録すること
ー最も集中化された非ブロックチェーンデータベースでさえも、何らかの形で「改ざんに抵抗する」のでは?
ープライベートサーバー上のパスワードはどうなるのか?
・「会社または共同経営に対する経済的な利益」を表すトークンは除外する
ー「会社」「共同経営」という言葉の意味する範囲が広すぎる
Chervinsky氏は、これらは一部の例に過ぎないとして、次のように結論を下している。
このトークン分類法案がHoweyテストに関する不確実性を解決するとは思わない。その不確実性を、単に、何年もの訴訟を必要とする異なる要素に置き換えているに過ぎない。
Chervinsky氏 は、他の仮想通貨を支援している弁護士も、同様な懸念を持っていると述べ、数々の例を挙げている。
1/ UGH–HOPES DASHED! #tokentaxonomyact proposes 2 great things but the rest of it needs a lot of work. The $600 tax exemption & 1031 (like-for-like) exchange provisions are great. I wish the bill stopped there! The definition of "digital token" got so watered down that there's..
— Caitlin Long 🔑 (@CaitlinLong_) 2019年4月10日
デジタルトークンの定義が、非常にあいまいになっている!
Imagine oil companies sponsored a bill amending the definition of pollutants under federal law to say "except in no event shall oil constitute a pollutant." That is what the Token Taxonomy Act does to the definition of "securities" re: "digital tokens." Pure nonsense.
— Gabriel Shapiro (@lex_node) 2019年4月11日
全くのたわごとだ!
Chervinsky氏は現行の証券法は、仮想通貨特有の課題に対処するためには十分ではなく、仮想通貨業界を前進させるため、証券法の改正の必要性を強調している。しかし、現在の規制の曖昧さを、今提案されているトークン分類法により新しい曖昧さに置き換えることだけは、避けるべきだと結んでいる。