はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

米国ユーザー、エアドロップで最大3900億円の機会損失か 規制不確実性によるジオブロックの影響

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ジオブロックで米国ユーザーを除外

暗号資産(仮想通貨)投資企業Dragonflyは、規制の不確実性によるジオブロック政策の影響で、米国居住ユーザーは最大26.4億ドル(約3,910億円)のエアドロップ収益を得るチャンスを逃したと推定している。

エアドロップとは、仮想通貨の認知度向上とユーザー基盤の拡大など、主にマーケティングを目的として、ブロックチェーンプロジェクトが無償でトークンを配布することを指す。

Dragonflyは、12日に発表した「2025年エアドロップ状況レポート」で、2019年から2023年の間に実施された12のエアドロップに関するデータを分析し、米国ユーザーのトークン請求がブロックされたことによる経済的影響を評価した。(比較のため、ジオブロックされなかった1件を含む)

レポートでは、2024年にジオブロックの影響を受けた米国のアクティブユーザー数を92万人から520万人と推定(仮想通貨保有者1,840万~5,230万人の5~10%)。分析によると、米国のアクティブアドレスの割合は、世界のアクティブアドレスの約22%〜24%を占めている。

サンプルとした1inchやArbitrum、Optimismといった11の主要プロジェクトによるエアドロップは、総額約71.6億ドル(1兆605億円)の価値を生み出した。世界で約190万人が請求に参加し、対象となった1アドレスにつき、平均4,600ドル(68.1万円)のトークンが配布された。

しかし、米国では証券取引委員会(SEC)の規制強化により、多くのプロジェクトが米国ユーザーをジオブロックで除外した。米国ユーザーは2020年から2024年にかけて、18.4億ドルから26.4億ドル(約2,725億円から3,910億円)の収益機会を失ったと推定されている。

さらに、CoinGeckoが分析した21のジオブロックされたエアドロップのサンプルを使用すると、米国ユーザーの潜在的な収入損失総額は、34.9億ドルから50.2億ドル(5,170億円から7,436億円)にのぼる可能性があることが明らかになった。

ジオブロックとは

インターネット上で特定の地域や国からのアクセスを制限する技術。ユーザーの位置情報に基づいて、サービスやコンテンツへアクセスを制限する。

米国の損失

ジオブロックされたエアドロップの影響は、個人だけにとどまらない。

レポートでは、米国政府の税収の損失は、連邦レベルで4億1,800 万ドルから11億ドル(619億円から1,629億円)、州レベルでは1億700万ドルから2億8,400万ドル(158億円から421億円)となる可能性があると指摘した。なお、これらの数字にはトークン販売によるキャピタルゲイン税からの税収は含まれていない。

さらに、税収だけではなく、米国における長年の規制の不確実性は、仮想通貨のイノベーションに萎縮効果をもたらし、有力な新興企業を海外に追いやることにつながった。たとえば、世界の仮想通貨開発者の米国シェアは、2015年の38%から2024年には19%に減少しており、業界の事業が海外に大きくシフトしていることを示している。

また、2024年に62億ドル(9,184億円)の利益を上げたテザー社は、海外で法人化されており、米国の法人税の対象ではない。もし、テザーが米国に拠点を置き、課税対象となっていれば、1社だけで連邦法人税約13億ドル(1,926億円)、州税3億1,600万ドル(468億円)を負担することになった可能性があるという。

規制の曖昧さが引き起こす問題

Dragonflyのジェシカ・ファー法務顧問は、これまで米規制当局が行ってきた「執行による規制」が個人や政府、そして経済全体に対し、どのような影響を与えるかを示す具体例として、エアドロップに焦点を当てたと述べた。

2019年のSECのガイダンスでは、エアドロップは証券の販売または配布に該当する可能性があるとする一方で、具体的な対処方法は示されなかった。明確なルールが存在しない中、多くのプロジェクトは安全策として、米国ユーザーをエアドロップの対象外とする道を選択した。

米国内の仮想通貨企業に関しては、複数の主要企業が規制当局との訴訟に巻き込まれ、時間と労力、そして経済的に大きな負担を強いられることとなった。

このような状況の中、グローバル市場において米国の仮想通貨業界の競争力は低下し、雇用創出やビジネスの成長機会が損なわれている。レポートの調査結果は、これまでの米国の規制アプローチにより、大きな経済的損失が生じていることを明確に示している。

エアドロップ実施につながる改革を提言

Dragonflyは、「仮想通貨のエアドロップは、ブロックチェーン・エコシステムにおけるイノベーション、分散化、コミュニティ エンゲージメントを推進する大きな可能性を秘めている」と主張。また、トークンの無償配布により、トークンの採用とガバナンスの強化を促進するという強力なネットワーク効果も期待されていると述べた。

レポートでは、米国で規制に準拠しつつ、エアドロップを活用して経済の活性化を図るために、以下のような改革を推奨している。

  • 資金調達以外のエアドロップに特化した規制のセーフハーバーを設ける
  • 証券法のルール701(証券発行の免除規定)をトークンやエアドロップに拡大
  • エアドロップの税務処理をクレカの特典ポイントと同等に
  • すでに実施されたエアドロップには遡及的にセーフハーバーを適用
  • 持続可能な規制サンドボックスの導入
  • DeFi分野における一貫した規制の枠組みの確立と明確化
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
05/09 金曜日
14:49
コインチェック、ビットコインステーキングで法人向け新サービス検討へ 
コインチェックがBabylon LabsとNext Finance Techと共同でビットコインステーキングサービスの提携を開始。事業法人・機関投資家向けに、ビットコイン保有からのインカムゲイン獲得機会を創出。世界初の信頼不要型・自己管理型プロトコルにより、BTCの新たな収益化手段を提供。Coincheck Primeを通じて日本企業の暗号資産活用を促進。
13:50
トランプ大統領、XRP準備金投稿にロビイスト関与で激怒 リップル社との深い繋がりが明らかに
トランプ大統領による戦略的準備金にXRPを含むとする投稿の裏に、リップル社を顧客に持つロビイストの存在が判明した。トランプ氏は激怒し、このロビイストをホワイトハウスから締め出した。
13:25
ソニー・バンダイナムコ・Gaudiy、100億円調達で日本IPの海外展開加速
ソニー、バンダイナムコHD、Gaudiyが戦略的パートナーシップを締結し100億円の資金調達を実施。CrunchyrollとMyAnimeListの連携などでグローバル展開を強化、次世代クリエイター育成やブロックチェーン・AI活用も推進。
13:01
G7、北朝鮮の仮想通貨ハッキングを議題に検討か
G7サミットで北朝鮮によるサイバー攻撃対策が議題になる可能性がある。2024年の仮想通貨ハッキング被害は13億ドル超となり、IT労働者を装った企業への侵入も報告されている。
11:46
ビットコイン大台の10万ドル奪還、低迷していたイーサリアム高騰の背景は?
ビットコインは3ヶ月ぶりに10万ドルの大台を回復し、イーサリアムが高騰した。背景には複数の好材料が挙げられる。ビットコインETFへの資金流入も加速し、直近2週間で約6200億円が流入した。機関投資家の動きも活発化する中、アルトコイン市場への波及効果も期待される。
11:15
仮想通貨時価総額、34兆円急増
仮想通貨市場の時価総額が一日で34兆円増加。イーサリアムは「ペクトラ」アップグレード実装で20%高騰、ドージコインとエイダも12%超え。米国の仮想通貨法案可決と米英貿易協定が追い風に。
10:50
まずはソラナ上で株取引サービスを開始へ Superstateが発表
RWAトークン化企業Superstateは、株を発行できるプラットフォームOpening Bellを発表。まずは仮想通貨ソラナのブロックチェーンに対応し、その後はイーサリアムに拡大する。
10:25
コインベース1~3月期決算報告 収益は事前予想下回る
米仮想通貨取引所コインベースの2025年1-3月期決算を発表。収益は予想を下回る20億ドルとなった。一方、ステーブルコインUSDCは好調であり、デリビット買収で成長戦略を加速している。
09:20
ビットコイン10万ドル復帰でより強気な予測に、6月までに12万ドル超の可能性
ビットコインが心理的節目の10万ドルを突破。スタンダード・チャータード銀行のアナリストは第2四半期で12万ドル超、2028年には50万ドルに達する強気予測を示す。実需資金流入とトランプ大統領の仮想通貨政策が価格上昇を後押しへ。
08:15
ビットコイン10万ドル突破 米各州で仮想通貨法案が次々と成立|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは、米ニューハンプシャー州におけるビットコイン準備金法案の成立を皮切りに、アリゾナ州、ミズーリ州と続けて仮想通貨に対して好意的な法案が次々に可決・成立したことを受け急騰した。
07:40
コインベース、デリビット買収合意 時価総額1兆ドルへ成長の可能性
仮想通貨取引所コインベースは、デリバティブ大手Deribitの買収で合意したと発表。買収金額、今後の目標、デリビットCEOのコメントなどを公表した。
07:25
米SEC、証券のトークン化促進に向け規制緩和を検討
米SECのパース委員がブロックチェーンを活用した証券の発行・取引・決済を可能にする規制免除命令を検討中と発表。企業がトークン化証券のための革新的取引システムを利用できる環境整備を目指す。
06:35
米GENIUS法案が否決、ステーブルコイン規制の先行き不透明に
米上院のステーブルコイン規制法案「GENIUS法案」が手続き投票で否決。民主党議員の支持撤回の背景にトランプ家の仮想通貨関与による利益相反懸念。他の仮想通貨法案にも影響の恐れが浮上。
06:15
ザッカーバーグのメタ社、ステーブルコイン導入で国際決済市場に再参入か=報道
メタが仮想通貨企業と連携し、インスタグラムのクリエイターへのコスト効率の高い国際決済にステーブルコインを活用する構想を模索。Libraプロジェクト廃止以来の動きとなる。
05:50
リップルとSEC、XRP訴訟で和解合意
リップル社とSECが和解合意に達し、1億2500万ドルのエスクロー資金解除を求める共同申立書を提出。最終的に5000万ドルを支払う条件で3年半続いた法的争いに終止符が打たれる見通し。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧