アービトラム(ARB)とは
アービトラムは、イーサリアムのL2プロジェクト。複数のプロダクトを開発してイーサリアムのスケーラビリティ問題の改善に取り組んでいる。アービトラムは、L2の中で最大級のマーケットシェアを誇る。
ARBはアービトラムのガバナンストークン。ARB保有者は「Arbitrum DAO」のメンバーとなり、プロジェクトの意思決定に参加できる。
主要プロダクトのArbitrum Oneのメインネットが正式にローンチしたのは2021年8月、ARBが発行されたのは2023年3月である。
価格
- 現在価格(2025年1月10日時点):0.745ドル(約118円)
- 年初来高値(2025年1月):0.954ドル(約151円)
- 年初来騰落率(YTD):+0.27%
- 過去最高値(2024年1月):2.4ドル(約380円)
価格動向
24年1月:アービトラム(ARB)がDEX取引量でイーサリアムを上回る、L2トークンが過去最高値更新
24年2月:イーサリアム”Dencun”最終テスト成功 レイヤー2銘柄で好調な市場反応
時価総額|関連銘柄
アービトラム(ARB)の時価総額は2025年1月時点で約31億ドル、L2セクターの中では3位に位置する。同セクターで1位のMantle(MNT)の時価総額は約39億ドル。以降は、2位がポリゴン(POL):約38億ドル、4位がオプティミズム(OP):約24億ドルである。
主な出来事
- 2023年6月:イーサリアムL2「Arbitrum」、Orbitチェーンの開発者向けツールをリリース
- 2024年1月:ユーザーのガス代を肩代わりすることも可能に アービトラム、L3に新機能実装
- 2024年1月:アービトラム(ARB)がDEX取引量でイーサリアムを上回る、L2トークンが過去最高値更新
- 2024年5月:ガス代が1000分の1に スクエニ「シンビオジェネシス」がArbitrum採用
エコシステム支援組織
オフチェーンラボ:アービトラムのプロダクト群を開発する企業。イーサリアムが拡張性を向上させて、潜在能力を全て発揮できるように取り組んでいる。
アービトラム財団:アービトラムの技術の発展、助成金提供によるエコシステムの成長、コミュニティの教育をミッションにする企業。ArbitrumDAOのサポートも行う。
トークンアロケーション

ARBトークンは2023年3月に発行が開始され、初期発行量は100億ARBで、インフレ率は最大で年2%と設定された。
初期発行分は、Arbitrum DAOに35.28%(約35億ARB)、チーム・貢献者・アドバイザーに26.94%(約27億ARB)、投資家に17.53%(約18億ARB)、ユーザーへのエアドロップに11.62%(約12億ARB)、アービトラム財団に7.5%(7.5億ARB)、アプリ開発のDAOに1.13%(約1.1億ARB)が配分されている。
この内、投資家とチームへの配布分は4年間のロックアップ期間を設定。トークン発行した23年3月16日の1年後に最初の分をリリースし、その後3年間は毎月アンロックしていくとした。
また、アービトラム財団への配布分は23年4月17日からロックアップを開始。より頻繁に少量ずつリリースする「ライナー型」を採用し、4年かけてロックを解除すると説明している。
Total Value Locked(TVL)
Total Value Locked(TVL)は、DeFi(分散型金融)プラットフォームやプロトコルの価値を評価するための重要な指標の一つ。2025年1月時点、アービトラムのTVLは約30億ドル。プロトコル別のTVLトップ3は以下の通り。
- AAVE V3(10億ドル):融資プロトコル。ユーザーは資産を担保として預け入れることで、保証金の一定割合を借り入れできる。または保有資産を貸し出すことで金利を稼げる。
- GMX(4.3億ドル):永久先物の分散型取引所。ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を最大100倍のレバレッジでトレードできる。
- Uniswap(3.4億ドル):仮想通貨やNFTの取引ができるDeFiの電子市場。ユーザーは流動性プールに仮想通貨を預けることで報酬を受け取ることもできる。
- 資金調達総額:約1.2億ドル
- 大規模な投資ラウンド:(2021年8月、1億ドル調達のシリーズB)
- リードインベスター:Lightspeed Venture Partners
- フォロー投資家:Polychain Capital、Ribbit Capital、Pantera Capital、Alameda Research、Mark Cuban氏など
出資している主なVC
アービトラムの将来性
ロードマップ
オフチェーンラボが2024年8月に公開したロードマップによれば、アービトラムのプロジェクトは現在も様々な技術のアップデートに取り組んでいる。今後も使いやすさ、相互運用性、実用性を向上させて、アービトラムの普及を推進していくと説明した。
具体的には、トランザクションの順序を決めるシーケンサーの分散化、独自チェーン(オービットチェーン)の拡張性や相互運用性の向上のための新ツール提供などを行なっていくとしている。
期待される今後の動向
アービトラムは、トラザクション処理を速めたり、トランザクションコストを安価にできたり、各プロジェクトが独自チェーンを展開したりできることなどから、今後も技術の採用が進み、エコシステムが発展する可能性がある。
特に注目を集めているユースケースの1つが、手数料を安価にする必要性が高いブロックチェーンゲーム。実際に、国内ゲーム大手のスクウェア・エニックス社の「SYMBIOGENESIS(シンビオジェネシス)など、採用が続いている。
投資リスク、懸念材料
ARBトークンに投資する上で認識しておきたいリスクは、L2ソリューションの領域は競合プロジェクトがあること。イーサリアムのスケーラビリティを解決しようと取り組み、ユーザー獲得を争っているプロジェクトが複数存在しているため、アービトラムの今後の動向を注視する必要がある。
また、Arbitrum One上のシーケンサーを、最初はオフチェーンラボが管理する中央集権的な主体が担っていることなど、分散化を進められるかも注目が集まっている。