- ICOの市場調査
- ニューヨークやシンガポールなどにオフィスを構える「ICO Rating」が、2018年第一四半期のICO市場調査報告書を公開しました。市場規模が拡大の一途を辿る一方で、多くのICOでは事業計画がないに等しい状態でローンチされていると指摘しています。
- 2018年第一四半期の現状
- 現時点のICO市場規模、内容、成熟度、地理など、あらゆる側面から現状分析を行い、今後改善が必要な部分、すでに改善されつつある部分についても言及しています。
ICOの現状
ICO Ratingが発表した「ICOに関する2018年第一四半期市場調査報告書」にて、興味深い統計が明らかになりました。
2018年第一四半期のICO市場調査によると、数多くのブロックチェーンプロジェクトは”ローンチ時点で何の成果も挙げていない”のにも関わらず、機関投資家が多額の出資を行っていることが明らかになりました。
この調査は、その名の通り「ICOの評価」を行い、アムステルダム、ニューヨーク、シンガポール、サンクトペテルブルクにオフィスを構える「ICO Rating」という機関によって執り行われたものです。
公式ウェブサイトによると、その分析チームは、”ブロックチェーンや仮想通貨、ICO/ITOの分野における企業の評価に特化した”50人以上の専門家によって構成されたものになります。
注目すべき数値
同報告書によると、2018年ですでに412件のプロジェクトによって33億ドル(約3600億円)の資金調達が行われたと報告されています。
この数字は、プレセールで未達に終わったプロジェクトや、17億ドル(約1850億円)を調達したものの途中で廃止されたTelegramのケースなどを除き、完了されたICOの資金調達のみで算出されています。
未達のICOを含めた場合、その資金調達総額は、63億ドル(約6870億円)以上に上ります。
2017年にICOによって調達された資金額のほとんどが、少数のプロジェクトによって調達されており、報告書によると、このトレンドは2018年にもある程度続くと予想されています。
さらに、現時点までに半数ほどが「10万ドル(約1,000万円)」以上の調達に成功しており、「10億ドル(約1,000億円)」以上は、わずか20プロジェクトで調達されたと報告されています。
またICO全体の約9%が既存のビジネスに関連づけられたもので、驚くべきことに全体の46.6%がICOキャンペーン前に、”何の成果も挙げていない”ことが明らかになっています。
つまりそれらのICOは、ほぼアイデアの強みだけで、資金調達を行っている現状があるのです。
ICO RatingのCEOを務めるSasha Kamshilov氏は、「既存ビジネスにおける商品に対して、ブロックチェーン使用も可能性の一つとして常に考慮されているが、その結果、起業家の定義に関して不一致が起こっている。」と述べています。
成熟しつつある業界
この業界が成熟してきている兆候の一つとして、資金調達にかかる平均期間が2ヶ月と約2倍になったことが挙げられます。
資金調達を1日で成し遂げたプロジェクトもありますが、その中にはわずか数分で資金調達を達成したプロジェクトも存在しています。
トークンセールの内、約65%はそれぞれの企業の商品/サービスでの使用目的(ユーティリティトークンorハイブリッドトークン)として販売されており、3.8%のみが仮想通貨として売り出されました。
Investing.comの調査では、現時点で1,685種類もの仮想通貨が存在しているされており、円やドルなどの法定通貨の180種類と比較しても非常に多いことも考慮すると、最善の傾向であると言えるかもしれません。
ファンドの資金について
また同報告書では、”クラウドセールでの調達は、ファンドの資金流入によって、著しく進行が遅れ始めた”と記述しています。
さらに「ファンド資金は、ICOへの投資準備ができている一方で、多くのICOプロジェクトがKYC(本人確認)やAML(アンチ資金洗浄)基準を満たしていないため、機関の参入が遅れている。このような過程は、法的リスクを抑えるため、高い水準で適切に整備されるべきだ。」と追加されました。
実際、2018年に行われたICOの内、約25%が合法的に登録されていませんが、これは2017年の76%と比較すると大幅に改善されていると言えるでしょう。
また同報告書では、119の機関によって278億ドル(約3兆円)が運営される、仮想通貨投資ファンドの重要性を主張しています。
しかし、内40%のファンドではCEOの身分が公開されておらず、9%のファンドがすでに閉鎖されている現状があります。
ICOプロジェクトの中でも、最も人気の高い業界は「金融サービス」であり、最も多額の資金調達を行っているようです。
しかしながら、トークンのICO後の価値は悲惨なもので、投資リターンの中央値は49.32%で、全四半期からの急激な落ち込みとなっており、取引所で取引されているトークンに関しても、17%のみがトークン販売時よりも高値で取引されています。
地理的側面
最も多くのICOが登録された国は、59ものプロジェクトが登録されたアメリカで、その次にシンガポールが34、イギリスが26と続いています。
しかしこれは、資金調達額と必ずしも相関関係にあるわけではありません。
資金調達額として、アメリカが5.8億ドル(約630億円)、シンガポールが4.6億ドル(約500億円)であるのに対し、イギリスは9970万ドル(約110億円)と、14プロジェクトで2.6億ドル(約280億円)を調達したスイス、9プロジェクトで2億ドル(約220億円)を調達した中国、そして16プロジェクトで1.2億ドル(約130億円)を調達したエストニアに遅れを取っています。
興味深いことに、イギリス本土よりも、イギリス領ヴァージン諸島(5プロジェクト、1.5億ドル、約163億円)や、同じくイギリス領のジブラルタル(6プロジェクト、1.3ドル億、約141億円)の方が、より多くの資金調達を行っているのです。
注目すべき点は、ロシアから13ものプロジェクトが出ているのに対し、ロシア人という枠組みにすると、45ものプロジェクトが作成されている事でしょう。
よって、ロシアは自国でICOを行わないというだけで、実際には多くのプロジェクトが作成されているのです。
なおエリア別に見ると、ヨーロッパが全体の46.6%と最も多額の資金調達を行っているという現状があります。
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May 6, 2018 by Simon Golstein
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