はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

FATF新基準へ準拠急がれる仮想通貨業界 2020年6月にも遵守状況のレビューを実施

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

FATFの新基準準拠へ「希望と現実」
「金融活動作業部会(FATF)」が、6月にマネーロンダリングを防ぐ新たなルールを発表したことを受け、仮想通貨業界では遵守へ向けた対策が急がれている。ルール対応へ希望がある一方、現実レベルで多くの懸念点も生じている。

FATFの新基準準拠へ「希望と現実」

「金融活動作業部会(FATF)」とは、各国の資金洗浄(マネーロンダリング)対策などを審査する国際的な組織である。30年前に7つの主要国グループによって結成され、37の加盟国でマネーロンダリング防止法の定期的な評価を行っている。

6月に発表された、仮想通貨事業に対しての新たな基準は「トラベル・ルール」とも呼ばれていて、仮想通貨関連事業者による仮想通貨の送・受金の際に、送り主と受取人の個人情報を記録するという厳格な国際基準だ。

関連事業者には、仮想通貨取引所、デジタルウォレットのプロバイダー、その他の企業が含まれる。

この新基準も影響し、匿名性が高い通貨銘柄では、取引所での上場を廃止されるケースも出てきた。対応方針については、各国の取引所ごとに異なるものの、今後の注目すべきケースの一つにあがるだろう。

課題は顧客データの安全で標準化された送受信

FATFの新基準では1996年以降、米国の金融機関にも適用されているのと同じように、仮想通貨業者も1,000ドル(約10万8千円)以上を送金する際に顧客データを他の金融機関に送信しなければいけない。

だが、この基準を遵守するには様々な難題も残されている。現在、仮想通貨関連事業者には、顧客のデータを互いに送受信するためのインフラがない。また企業間で、データを共有するシステムの費用を誰がどう負担するのか、システムをどのように管理するかについての合意形成を行う必要もある。

仮想通貨取引所コインベースの最高コンプライアンス責任者、Jeff Horowitz氏は(新基準への準拠について)「解決は可能」だが「現在顧客データを共有する方法は現在ない」と述べている。Horowitz氏は現在、基準への遵守計画のために、他の取引所とのワーキンググループに参加していると語る。

グループは顧客データを安全に、かつ標準化された方法で送受信する方法を開発することに取り組んでいる。最適な道筋を見つけ出すためには、数か月かかる可能性があると業界幹部は述べている。

特に、トラベル・ルールによるデータ共有先だけが情報を閲覧するようにすることが重要視されている。顧客データが不適切な相手に渡ってしまうことを避けなければいけない。

金融活動作業部会のシニア政策分析官Tom Neylan氏によると、新基準は、マネーロンダリングの他にも、テロ攻撃の後で、制裁の対象を絞るためにも準備されているという。

新基準の問題点

今回の基準に対しては、業界内で批判も挙がっている。

  • スタートアップが多い業界において費用が大きくなる。
  • 匿名取引を一定の文化的価値とする業界にとっては、ふさわしくない。
  • 顧客が規制対象ではない、ピアツーピアトランザクションに依存するようになるかもしれない(アングラ化懸念)。

こうした問題についても金融活動作業部会では聴取を行なっているとNeylan氏は語った。

また、もし金融活動作業部会の非加盟国が、今回のものと異なる一連の基準を施行すれば、仮想通貨事業者は、それにも準拠しなければいけないことも指摘されている。

国際間取引が容易化した仮想通貨取引への規制は、取引を行う事業者の対応へと今波及しようとしている。取引ユーザーの減少で、世界的に仮想通貨取引所運営の難しさも指摘される中、金融のスタンダードへの対応の難しさに直面する企業も出てくる恐れもある。

金融活動作業部会では、2020年6月に、過去12か月分の遵守状況についてレビューを行うと発表。仮想通貨関連事業の幹部達は、それまでに遵守システムを立ち上げて運用することが野心的な目標であると語っている。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
09/18 木曜日
16:50
「社会のジレンマを突破する」日本初のステーブルコイン発行ライセンス取得、JPYC岡部典孝氏が語る|独占インタビュー
JPYC株式会社が日本初の日本円建てステーブルコイン発行ライセンスを金融庁から取得。代表の岡部典孝氏が語る100万円制限の実態、3年後10兆円の発行目標、プログラマブルマネーがもたらす金融革命とは。
13:40
ウォーレン米議員ら、トランプ政権の仮想通貨特命官に対する倫理調査を開始
エリザベス・ウォーレン米上院議員ら8名の民主党議員が、トランプ政権のAI・仮想通貨特別顧問デービッド・サックス氏の特別政府職員としての任期制限超過疑惑について倫理調査を開始した。130日の上限を超過している可能性を指摘し、詳細な勤務日数報告を要求している。
13:35
米SECが承認、BTCやXRP投資のマルチ仮想通貨投資信託のETF転換
米SECがグレースケールのマルチ仮想通貨ETPを承認し、ビットコインやイーサリアムなど5銘柄への一般投資家アクセス投資が可能になった。新たな包括的上場基準も同時に導入されている。
13:02
ポリマーケットでの裁定取引で年間60億円の利益発生か 研究者ら分析
分散型予測市場ポリマーケットでミスプライシングを利用した裁定取引により年間60億円の利益が発生しているとの論文が発表された。研究者による分析を解説する。
12:04
FRB利下げ決定も仮想通貨の市場反応は限定的、BNB前週比9.2%高で1000ドルの大台迫る
FOMCでは米FRBが0.25%利下げを決定したが、暗号資産(仮想通貨)への影響は限定的だった。主要アルトコインでは、BNBが前週比9.2%高の1,000ドル目前に。背景としては、バイナンスの規制環境の進展の兆しとMegadropなどの需要が挙げられる。パウエル議長は年内2回の追加利下げを予想するも慎重姿勢を維持。
11:03
業界の行方を決める「天王山」に臨む──ビットバンク廣末氏が描く未来戦略
ビットバンク廣末紀之CEOが語る、預かり資産1兆円規模への成長と今後の展望。金商法への移行と分離課税実現に向けた2025年後半は業界の「天王山」。
11:00
ビットコイン・トレジャリー企業の勢い減速か、4社に1社が純資産割れで取引=K33報告
K33リサーチなどが報告したところによると、ビットコイン・トレジャリー企業の4分の1が純資産価値を下回る時価総額で取引されており、業界の統合が進む可能性が指摘された。
10:02
ヴィタリック、イーサリアムの開発計画をプレゼン
ヴィタリック・ブテリン氏は、仮想通貨イーサリアムの開発計画についてプレゼンを行った。大阪で開催されているイーサリアムのカンファレンスEDCONに登壇した。
09:40
フォワード・インダストリーズ、最大5900億円規模の資金調達でソラナ戦略を推進
米上場企業フォワード・インダストリーズが最大40億ドル規模のATM増資で仮想通貨ソラナトレジャリー戦略を推進する。DeFi Development Corpもソラナ買い増しを発表した。
08:45
トランプ・ジュニア出資のサムザップ、750万ドージコインを初購入
米ナスダック上場のサムザップメディアが750万ドージコインを200万ドルで公開市場から初回取得したと発表した。
07:20
米SEC、仮想通貨ETF上場手続きを大幅簡素化へ
米証券取引委員会が、ナスダック、Cboe BZX、NYSEアルカの3大取引所による包括的上場基準を承認。今後、仮想通貨を含むコモディティベース株式の上場プロセスが大幅に簡素化される見通しである。
07:10
SBI新生銀行、トークン化預金「DCJPY」の導入を検討へ
SBI新生銀行は、円建てトークン化預金DCJPYの導入を検討すると発表。JPモルガンらが参加するプラットフォームを活用し、トークン化預金での多様な外貨の取り扱いも検討する。
06:50
仮想通貨取引所Bullish、NY州からビットライセンス取得 米国展開へ
機関投資家向け仮想通貨取引所ブリッシュが17日にニューヨーク州金融サービス局からビットライセンスと送金業ライセンスを取得したと発表した。
06:25
マネーグラム、ステーブルコイン送金サービス開始 
国際送金大手のマネーグラムが9月17日にクロスミントと提携しステーブルコインを活用した新たな送金サービスを南米コロンビアで開始すると発表した。
06:02
カルシ、予測市場エコシステムハブ開始 ソラナとベースと提携
予測市場プラットフォーム大手Kalshiが17日、ソラナとベースとの提携によるエコシステム支援ネットワーク「カルシエコ」の開始を発表した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧