政府に税制改正要望へ
24日、自由民主党『予算・税制等に関する政策懇談会』【金融・証券関係】が開催され、令和4年(2022年)の税制・一般政策の要望聴取と意見交換が行われた。
日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)の廣末会長、幸専務理事が出席し、政府に提出された税制改正要望書および添付資料について説明を行なった。昨年も同様の動きがあった。
背景として、以下の3点を訴えている。
- 税務申告促進の必要性
- 制度内の整合性
- 海外の暗号資産税制との比較
1. 税務申告促進の必要性
暗号資産課税において、利用者による適正な税務申告が不可欠であるが、現状は「総合課税で税率が高い」「損失繰越できない」「利確したくない」などの考えが弊害となり税務申告の妨げとなっていると指摘した。
2. 制度内の整合性
他金融商品は分離課税であるにも関わらず、暗号資産は総合課税である点を指摘、他の金融商品との整合性が必要だとした。
3. 海外の暗号資産税制との比較
日本は総合課税(税率最大55%)に対し、米国や英国といった海外主要国では分離課税(税率20%)等と指摘、海外の暗号資産税制との乖離を指摘した。 「ブロックチェーン技術などによる経済社会の高度化に備え、乖離縮小が不可欠」と主張している。
さらに、税収の影響の観点では、アンケート調査に基づくシミュレーション結果分析の結果、申告分離課税を導入した場合、52%の税収増加につながると指摘。 増収要因として、「含み益の利益確定」、「投資額の増額」、「損失繰越のため積極的に税務申告する」との内容を伝えた。
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今月7日には、世界で戦える実力を持つ国内有力スタートアップ企業が、いかに苦しい窮状に置かれているかを訴えた記事を日経新聞が配信した。
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このままではますます先進国の「デジタル革命」に遅れを取ってしまいかねず、イノベーションの最先端で活躍する人材の国外流出を含め、暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン領域に対する日本政府の理解不足からくる過剰規制、及び税制問題は深刻な課題となっている。