- Bittrex、「ビットライセンス」取得失敗
- 200以上の銘柄を取り扱うBittrexはAML法の不履行やトークン審査の怠慢が原因でニューヨーク州の「ビットライセンス」の申請が却下された。取り扱い通貨の上場基準などを巡り対立、利用ユーザーにも注目事例に。
Bittrex、「ビットライセンス」で取得失敗
米シアトルに本拠地を置く大手仮想通貨取引所Bittrexは11日、ニューヨーク州の仮想通貨関連業者ライセンス「ビットライセンス」の申請が同州規制当局に却下された。この却下判断はここ2年間で初の取得失敗に事例となる。
ビットライセンスとは
米国ニューヨーク州内における仮想通貨取引交換業を可能にする事業ライセンス。2015年からニューヨーク州の金融サービス局(Department of Financial Services)が発行している。
ニューヨーク州の金融サービス局(DFS)は公式文書を公開し、却下した理由も含めて情報を開示。「AML(アンチマネーロンダリング)法に対するコンプライアンスの欠如」や、「仮想通貨上場やプロダクトの実施に関わるデューディリジェンスとコントロール不足」などの規制・法律遵守問題を審査落ちの主な理由に挙げた。
Bittrexが疑わしい取引行為に対するコントロール・監視を十分に実施していない点が挙げられただけでなく、仮想通貨上場に関する内容がでたことは、利用ユーザーにとっても注意したほうがいい点となりそうだ。
DFSでは、取引サービスとして提供する200以上の銘柄の中から15の銘柄をサンプルとして検査、その全てがコンプライアンスに準拠しているか否か判断ができず。実際の調査結果として、トークンのプロジェクト側が不完全な書類を提出して審査が通っていたことや、上場申請を全く行わなかった通貨などが含まれているという。
この判断に対して、Bittrex側は「仮にDFSが提案した『監視協定』に承諾すれば、ビットコイン、ビットコインキャッシュ(ABC)、ビットコインSV、ライトコイン、イーサリアム、イーサリアムクラシック、ステラ(XLM)、カルダノ(ADA)、XRP(リップル)、ドージコインとの10通貨しか提供できなくなる。」とコメント、多くの通貨を取り扱うことができなくなるほどの厳しい審査基準だと反論している。
ニューヨーク州のビットライセンスが非常に取得困難であることはこれまで様々な評論家や企業も指摘してきたが、BittrexのCEOは「DFSがニューヨーク州以外における銘柄の提供にも干渉しようとしていた。」と指摘、「越権行為」に納得できなかったため、「監視協定」に同意しなかったという。
重要視されるAMLコインプライアンス
これまで、政府や既存の金融業は仮想通貨・仮想通貨取引所がマネーロンダリングなどの違法行為に悪用されやすいと指摘してきている。今年日本が主催国となるG20サミットでは、仮想通貨を利用した資金洗浄や脱税に対する議論と国際基準の枠組みの作成に向けて取り組む予定だ。
なお、先日外務省が公開した2018年G20の議論成果文書の仮訳によると、金融活動作業部会FATFの基準に沿ったマネーロンダリング対策に関する規制案は以下のように記載されている。
金融システムにおいて生じつつあるリスク及び脆弱性を引き続き監視し,必要に応じ対処するとともに,継続的な規制・監督上の協力を通じて分断に対処する。
我々は,強じんなノンバンク金融仲介の実現に関する継続した進捗に期待する。我々は,リスクが軽減されつつ,金融セクターにおける技術の潜在的な利益が実現されることを確保するための取組を強化する。
我々は,金融活動作業部会(FATF)基準に沿ったマネーロンダリング及びテロ資金供与への対策のため,暗号資産を規制し,必要に応じて他の対応を検討する。
一部抜粋:G20 ブエノスアイレス首脳宣言
世界金融が集結するニューヨーク州の発行するビットライセンスは、G20の主要国である米国においてハードルが最も高いと言われている。今回BittrexがAMLやトークンプロジェクトのコンプライアンスも問題で取得失敗したことにより、一つの戒めとして、今後ニューヨーク州で事業の展開を検討する仮想通貨取引所が、AMLの改善施策を講じる必要はあるだろう。
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