はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

ビットコイン半減期前に「テザー」発行量が歴史的ペースで急増した背景

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

USDT発行量が急増―コロナウイルスか半減期か

ビットコイン(BTC)の半減期まであと1日を切った。直近の四半期ではBTCやBTC半減期への投資家の注目が高まるとともに、テザー(USDT)の発行枚数が歴史的なペースで急増している。

仮想通貨市場の急変時には、ステーブルコインであるUSDTの発行量に大きな変動が起こることが多い。したがって、USDTの発行枚数はコロナウイルス感染拡大やBTC半減期が現在の仮想通貨市場に及ぼす影響を観察するための指標のひとつになる。

この記事では、直近のUSDT需要の増加について、コロナウイルスとBTC半減期の観点から分析する。

相場変動と新規参入がUSDT需要に影響

USDTは、米ドルとの為替レートを一定に保つように設計されたステーブルコインだ。

USDTはその性質から価格変動が小さい。したがって、相場の不確実性が高まると、エクスポージャー(価格変動リスクのある資産の割合)を減らしたい仮想通貨トレーダーによって、USDTの需要が増加する。

また、米国系の仮想通貨取引所ではUSDTが多くの仮想通貨を媒介しており、基軸通貨としての側面も持ち合わせている。したがって、法定通貨が仮想通貨に交換され仮想通貨市場が拡大するとき、その最初の段階としてUSDTの需要が高まる。

USDT発行枚数が急増

2020年2月から4月の3か月はBTCの価格形成に大きな影響を及ぼすイベントが続いた。

新型コロナウイルスの感染拡大懸念が欧米圏でも強まったことにより、株式市場や原油先物市場は2月から3月にかけて歴史的な下落を記録。リスク回避傾向が世界的に高まった。

また、4月上旬にはビットコインキャッシュ(BCH)やビットコインSV(BSV)が半減期を迎え、5月に控えるBTCの半減期にも注目が集まった。Google Trendによると、「Bitcoin halving(ビットコイン半減期)」の検索ボリュームは4月の1か月間で約6倍に急増した。

この3か月間には、USDTの発行量も歴史的なペースで増加。2月当初に約480億ドルだったUSDTの時価総額は4月末に約810億ドルに達した。

参考:stablecoinindex.com

コロナウイルスがUSDT需要に及ぼす影響

コロナウイルス感染拡大に伴う仮想通貨市場のリスク回避傾向は、この3か月間のUSDT需要の急増に寄与していると考えられる。

仮想通貨アナリストのfilBfilBも3月のBTC価格暴落後にUSDT需要が急増した要因として、コロナウイルスによるエクスポージャーの変化を指摘している。

同氏は、この根拠をBTC価格とUSDT時価総額との相関関係で説明している。

filBfilBが行った分析によると、2019年のBTC価格とUSDTの時価総額との間には約0.8の相関があった。

仮想通貨市場の規模が大きくなればなるほど、リスク回避時にUSDTへ逃避すべき資金量が増える。これによって、USDTとBTCの時価総額は関連すると考えられる(USDTの新規発行によって恣意的にBTC価格が押し上げられるという専門家の指摘もある)。

BTC半減期がUSDT需要に及ぼす影響

ただし、BTC価格が急落から回復しリスクオフ傾向が弱まった4月以降もUSDTの発行量は増加している。これはエクスポージャーの変化では説明できない。

これに関しては、BTC半減期を見越した仮想通貨市場への資金流入の影響が強いのかもしれない。

その理由として考えられるのは、中国のUSDT需要の増加だ。

Chainext USDT OTC Trading Premium Indexによると、中国の店頭取引ではUSDTに高いプレミアムが付与されていた。

この指数は、USDT /CNY(人民元)レート とCNY/USD(米ドル)レートから中国市場でのUSDTの相対価格を算出したものだ。この指数からは、3月に最大で6%のUSDTプレミアムが発生していたことが分かる。

中国はBTCマイニングで過半のシェアを占めており、BTCのマイニング報酬が半減するBTC半減期は中国のトレーダーにとって非常に重要なイベントだ。

さらに、中国政府が人民元と仮想通貨の取引を禁止にして以降、中国のトレーダーは相対取引で人民元をUSDTなどの主要通貨に交換した後、海外の取引所で仮想通貨取引を行う必要がある。

したがって、4月以降は半減期を期待した中国のトレーダーがUSDT需要をけん引した可能性がある。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/01 火曜日
16:00
UXLINKが実現目指すWeb3の大衆化、CEOが語る成長戦略|WebXスポンサーインタビュー
5500万人のユーザーを擁するWeb3成長支援プラットフォーム「UXLINK」。WebX 2025への参加を控え、同社CEOが日本市場への期待を述べた。
14:49
日本初の仮想通貨建てクレジットカード「Slash Card」が登場 β版の事前登録開始へ
日本初の暗号資産建てクレジットカード「Slash Card」がβ版の事前登録を開始する。米ドル連動型ステーブルコインUSDC担保サービスで物理・バーチャル両対応。ソラナやイーサリアムなどマルチチェーン互換性とトークン還元リワードを特徴とし、Web3技術を現実世界の決済に橋渡しする。
13:30
ビットコイン需要減少で市場脆弱性指摘、イーサリアム大口投資家は巨額含み損で売却継続=アナリスト
Cryptoquant分析によると、ビットコインのオンチェーン需要指標がマイナス転換し短期調整リスクが高まる。一方でETH大口投資家は3週間で9万5313ETHを償還、4260万ドルの含み損を抱える状況。
13:05
トランプ家支援のAmerican Bitcoin、約320億円調達でビットコイン購入とマイニング機器導入へ
エリックとトランプ・ジュニア氏が支援するビットコインマイニング企業American Bitcoinが2億2000万ドルを調達。ビットコイン購入とマイニング機器導入に充当予定。
12:00
金融庁、ステーブルコイン健全発展のための報告書を公表 不正リスクや今後の課題を分析
金融庁が仮想通貨ステーブルコインの健全な発展に向けた報告書を公表した。不正利用の実態と今後の規制課題を分析調査する内容だ。
11:05
取引所BybitとKraken、ソラナ基盤トークン化株式「xStocks」を190カ国で提供開始
世界第2位の仮想通貨取引所BybitがBacked社のトークン化株式サービス「xStocks」を取り扱う。Apple、Amazon、Microsoft等60銘柄超をソラナブロックチェーン上で24時間365日取引可能に。
10:40
トランプ氏関連のミームコイン「TRUMP」、口座開設キャンペーンで配布へ
ドナルド・トランプ氏が公認とされるミームコイン「TRUMP」がもらえるキャンペーンがBITPOINTで7月末まで開催中。特典内容や条件を詳しく解説します。
10:20
国内Web3関連企業BACKSEAT、組み込み型Web3体験でブロックチェーン社会実装目指す
BACKSEAT株式会社が第三者割当増資により累計14億円の資金調達を完了。Spiral CapitalとHeadline Asiaが共同リード投資家として参画し、組み込み型Web3体験の実現に向けサービスローンチを本格化。
10:02
ロビンフッド、トークン化した米国株やETFの取引サービスを欧州で提供
仮想通貨などの投資アプリを提供するロビンフッドは、トークン化した米国の株やETFの取引サービスをEUユーザー向けにローンチしたと発表。独自ブロックチェーンを開発していることも明かした。
09:55
テキサス州、戦略的ビットコイン準備金設立に続き「金・銀」を法定通貨として認可
テキサス州のアボット知事が金・銀を日常取引の法定通貨として認可する法案に署名。戦略的ビットコイン準備金設立法案も成立し、米国初の大規模な貴金属・仮想通貨政策を実現。
09:40
ビットコインマイニング難易度が7.5%低下 米テキサス州猛暑が影響か
仮想通貨ビットコインのマイニング難易度が約7.5%低下した。米テキサス州の猛暑による電力制限が主要因と指摘されている。6月中旬にハッシュレートも下落していたところだ。
09:15
ナスダック上場企業SRM、140億円のトロン財務戦略完了でTRXをステーキング
フロリダのテーマパーク向け記念品製造企業SRM Entertainmentが、1億ドルのTRON財務戦略の一環として3.65億TRXをJustLendにステーキングした。年率最大10%のリターンを目指す。
08:55
ドイツ最大手銀行グループ『シュパーカッセ』、2026年夏に個人向け仮想通貨取引開始へ=報道
ドイツ最大の銀行グループSparkassenが方針転換し、個人顧客向けビットコインなど仮想通貨取引サービスを2026年夏に開始予定。EU規制整備を背景に3年ぶりの決定となる。
08:10
SEC、ビットワイズ・イーサリアムETFのステーキング承認判断を延期
米証券取引委員会がビットワイズ社申請のイーサリアムETFのステーキング機能追加提案の承認判断を延期。投資家保護と公正な市場慣行への適合性について追加審査を実施中。
07:45
サークル、米国でナショナル・デジタル通貨銀行設立を申請
米ステーブルコイン発行企業サークルが米通貨監督庁にナショナル・トラスト銀行設立を申請。承認されればUSDC準備金の自己管理と機関投資家向け仮想通貨カストディサービス提供が可能に。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧