原油急落
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物は、21年ぶりに14ドル台まで低下した。
WTIとは、米南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称であり、WTIの先物は、米ニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されている。
大幅な原油安を招いたのは、3月9日に発生した石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国との「追加減産協議」の交渉決裂が発端だ。
世界最大規模の原油生産国サウジアラビアが、ロシアなどと決裂したことで減産協定から一転、過去最大の日量1200万バレルまでの増産を示唆したことでニューヨーク原油先物は1バレル30ドル台まで急落。1991年の湾岸戦争以降最大の下げ幅となった。
想定を大幅に上回る原油安に危機感を募らせたOPEC(石油輸出国機構)とロシアなど非加盟主要産油国で構成するOPECプラスは4月12日、5月から「日量1000万バレル」の協調減産することに合意した。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的なロックダウン(都市封鎖)などで航空機や車などの石油需要が激減しており、協調減産に合意後も原油価格が大幅続落するなど歯止めの掛からない状況下にある。
混乱が長引き、石油業界のダメージがさらに深刻化、世界最大の天然ガス生産国である米国でシェールガス企業の経営破たんやデフォルト(債務不履行)が相次ぐようなことがあれば、債券市場への直撃は免れない。そうなれば、為替や株価、ビットコイン市場などに間接的な悪影響をもたらす可能性も懸念される。