商品やサービスの決済に使うことを禁止
タイの証券取引委員会は23日、暗号資産(仮想通貨)を商品やサービスの支払い手段として使用することを実質的に禁止する通知を発表した。なお、仮想通貨取引については、これからも承認していくと述べている。
措置の背景としては、仮想通貨決済が普及することにより、「金融システムの安定性」に影響する可能性があり、「価格変動による価値喪失、サイバー犯罪」 などのリスクが考えられることを挙げた。
関連事業者は、2022年4月1日から30日以内に、以下の規則を遵守する必要があるという。
- 仮想通貨による支払いを奨励・促進するような行為やサービスの提供を行ってはならない
- 仮想通貨決済を容易にするシステムやツールを構築してはならない
- 決済目的でのデジタルウォレットを開設してはならない
- ユーザーがアカウントを仮想通貨決済に利用していることが分かった場合は、不正利用であると通知し、規約遵守しないユーザーにはサービスの一時停止などの措置をとらなければならない
仮想通貨取引は引き続き承認
今回の公式通知は、商品やサービスの決済手段として仮想通貨を禁じるもので、取引については妨げるものではないと説明。以下のように述べている。
仮想通貨取引業者や、仮想通貨投資家は、通常の投資や取引を行うことができる。また、ライセンスを受けた仮想通貨事業者は、通常通り事業やサービスを提供できる。
また、タイ政府がデジタル資産自体を否定しているわけではないという。公式通知は次のように述べた。
タイ中銀や証券取引委員会などの政府機関は、ブロックチェーンなどデジタル資産を支える様々な技術のメリットを見出し、さらなるイノベーションのために、そうした技術の活用を重視・促進している。
最近の動きとして、タイのArkhom Termpittayapaisith財務相は9日、仮想通貨への税制緩和を発表している。「年間損失と利益を相殺できるようにする」ことや「仮想通貨取引にかかる付加価値税7%を免除する」ことを挙げた形だ。
免税措置は、2022年4月から2023年12月まで有効であり、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の取引にも適用される予定だという。タイ中銀は、リテール型CBDCの実証実験を22年後半に実施する計画だ。
CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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