新規制の下、個人投資家へサービス提供へ
香港最大のバーチャルバンクであるZA Bankは24日、香港で個人投資家向けに暗号資産(仮想通貨)取引サービスを提供する計画を発表した。
ZA Bankは、現地で当局に認可されている仮想通貨取引所と提携して、個人投資家がZA Bankのアプリを使い、法定通貨により仮想通貨を取引できるようにする計画だ。現在、規制当局から必要な承認を取得しようとしている。
ZA BankのRonald lu CEOは、次のように説明した。
私たちは、香港証券先物委員会(SFC)が発行したライセンスガイドラインを歓迎している。また、仮想通貨による新たな投資機会をユーザーに提供することができて嬉しい。
私たちは、仮想通貨が将来的に重要な資産クラスになる可能性を秘めていると考えている。
ZA Bankは、提供する金融サービスを拡大する戦略を取っており、仮想通貨取引に加えて今後は、米国株式の取引サービスも導入する予定だ。
ZA Bankは、中国を拠点とする保険サービス会社ZAグループの子会社である。2020年3月にサービスを開始。わずか1年で30万人のユーザーを抱えるまでに成長した。2022年の預かり資産は約441億円(24.8億香港ドル)で、香港バーチャルバンクの中でも首位であった。
バーチャルバンクとは
「バーチャルバンク」とは、基本的には物理的な店舗を持たず、顧客の獲得から銀行サービスの提供まで原則オンラインで行われるインターネット専業銀行のこと。2019年5月に香港金融管理局(HKMA)は、8社に対してバーチャルバンクのライセンスを発行した。
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香港の新たな仮想通貨規制
香港の証券先物委員会(SFC)は23日、6月1日から仮想通貨取引所の新たな規制を施行すると発表したところだ。ZA Bankの動きも、これに対応したものとなる。
新規制では、個人投資家にも仮想通貨取引を認めることになる。同時に、ライセンス制を導入するなどにより投資家保護を徹底する構えだ。
個人投資家が取引できる銘柄については、時価総額が高く、最低2つの指数に含まれていることを条件としており、金利やレンディングのサービスを提供することは禁止する内容だ。
ステーブルコインについても、2024年までを目途に規制が整うまでは、個人投資家は使用することはできないとしている。
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中国企業の動き
香港は現在、仮想通貨のハブ(中心地)になることを目指して規制環境などを整備しているところであり、海外からも関連企業を引き寄せている。
一例としては、中国の上海市政府が46.4%を所有する「グリーンランド・ホールディングス」の完全子会社「グリーンランド・フィナンシャル・テクノロジー・グループ」が香港でのライセンス取得を目指している。
同社は、仮想通貨、NFT(非代替性トークン)、炭素クレジットなどの取引を提供することを計画している。中国本土では仮想通貨に対して厳しい取り締まりが行われる中、香港で仮想通貨事業を行うチャンスを見出している格好だ。
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