- 韓国政府がブロックチェーン企業と提携
- 韓国の国土交通部が、カナダのブロックチェーン企業と提携し、交通データをブロックチェーンで管理する実験を開始する。ソウル市長が掲げるブロックチェーン技術を導入した「スマートシティ」構想実現に向けた一歩となる見込み。
韓国政府、ブロックチェーンで交通データ管理を試行
韓国の省庁の一つである国土交通部が、カナダのブロックチェーン企業「Graph Blockchain Inc.」と提携し、交通データをブロックチェーン上で管理する実験を開始することが分かった。ソウル市の「スマート・シティ」イニシアチブの一環として行われる。
Graph Blockchain Inc.(GBLC)が開発するブロックチェーン・システムは、オープンソース・プロジェクトである「Hyperledger Fabric」を用いて進められる。今回の提携は、韓国政府とソウル市が以前から推し進める「スマートシティ計画」の一環で、同政府は以前にブロックチェーン技術を利用した管理システム(選挙の投票システムや寄付管理など)の導入を検討していることを明かしていた。
スマートシティの建設計画には、これまで約2兆円を超える資金が投じられてきたが、投資先企業が法廷闘争にもつれ込むなど、当初の計画通りに事が進んでいないのが現状だ。韓国政府としては、今回の提携でそうした暗雲を断ち切りたい格好となる。
ソウル市の「スマートシティ」構想
昨年ヨーロッパを訪問した朴 元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長も、スイスの「クリプトバレー」ツークにおける講演にてソウルが目指す、世界的なブロックチェーンのハブ(中枢)となるための計画を以下のように明らかにしていた。
ソウルには、世界でブロックチェーンの中心として認識される都市を目指して、ブロックチェーンエコシステムを創る計画がある。
ツークのように、ブロックチェーン専門家をソウル市に集めたいと考えているが、そのためには、革新的なブロックチェーン企業に友好的な環境を確立する必要がある。
また、未来のICT産業を形作る第4次産業革命の中心となるのは間違いなくブロックチェーンと主張する朴市長は、今後のロードマップを以下のように明らかとしている。
- 2021年までに603億ウォン(約60.3億円)を投じ、市の西部と南西部に、200以上のブロックチェーン企業が入居できる二つのビジネス施設を建設
- 今後5年間で730名の専門家を育成することを目指し、このビジネス施設内で、2つのトレーニングセンターを運営
- ソウル市は、政府と民間共同で、1000億ウォン(約100億円)の基金を設立し、2022年までにブロックチェーンの新興企業へ投資
- 事業の立ち上げが難航しているブロックチェーン関連の中小企業に対する支援基金を創設。適格と判断された企業には、10億ウォン(1億円)まで融資。
ブロックチェーン技術の導入を推し進めるソウル市。ツーク市での発表から5年以内に「スマートシティ」の構築を目指すとした朴市長のビジョンが今後どのような形で実現化していくか注視していきたいところだ。