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プログマとは?デジタル証券・ステーブルコインなど対応のブロックチェーン基盤を徹底解説

設立 : 2023年10月
所在地:東京都千代田区
デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC) 参加企業: 292

プログマ(Progmat)は、三菱UFJ信託銀行から派生し2023年10月に独立した、ブロックチェーン基盤のインフラを提供するスタートアップ企業です。「プログラマブルなネットワークで社会を繋ぎ、あらゆる価値をデジタル化する」をミッションに掲げ、主に3つのデジタル資産(セキュリティトークン、ユーティリティトークン、ステーブルコイン)の発行・管理基盤を提供しています。

同社は、大手メガバンクや日本取引所グループ、NTTデータなどから出資を受け、200社以上が参加する「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」を運営。特に不動産セキュリティトークン市場では約7割のシェアを占め、2023年9月時点で運用残高は818億円を超えています。

プログマは、ブロックチェーン技術を活用した、従来は取引が制限されていた資産のデジタル化や、法人間決済・国際貿易での決済システムの効率化を展開。国内外でパートナー企業を拡大しており、デジタル資産取引の標準的なインフラ基盤となることを目指しています。

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基礎情報

近年、各国政府がWeb3(分散型ウェブ)の環境整備を積極的に進める中、デジタル資産への注目が高まっています。特に、ブロックチェーン技術を活用したデジタル証券やステーブルコインは、新たな市場創出の可能性を秘めています。

本記事では、デジタル資産の取引・投資・決済を効率化するインフラ基盤の開発を目指す日本の企業、「株式会社プログマ」に焦点を当て、その事業内容や技術的な側面、今後の展望について詳しく解説します。

目次
  1. ブロックチェーンを駆使したインフラ基盤を提供する「プログマ」
  2. プログマの創設背景と未来への展望
  3. プログマ社のビジネスモデルと技術的側面
  4. プログマ社に関する誤解を解く
  5. デジタル資産の今後の展望
  6. 日本におけるステーブルコイン流通の動向
  7. プログマ社が目指す、あらゆる価値がデジタル化された世界

1. ブロックチェーンを駆使したインフラ基盤を提供する「プログマ」

株式会社プログマ(Progmat)とは、「プログラマブルなネットワークで社会を繋ぎ、あらゆる価値をデジタル化する」というテーマの下に発足された、ブロックチェーン基盤のITインフラを提供するスタートアップ企業です。

出典:Progmat

プログマは三菱UFJ信託銀行内の社内起業として設立されたプロジェクトで、2023年10月に株式会社として独立しました。プログマ社は主に以下3つのデジタル資産・デジタル証券に対するインフラ基盤の提供を事業内容としています。

  • セキュリティトークン(ST)
  • ユーティリティトークン(UT)
  • ステーブルコイン(SC)

なお、「セキュリティトークン」は有価証券などのRWA(リアルワールドアセット)をブロックチェーン上で発行したデジタル証券です。「ユーティリティトークン」は金融資産としての側面より権利・機能を提供する性質が強いデジタルトークン、「ステーブルコイン」は法定通貨や金などの価格と連動するデジタルトークンを指します。

プログマ社のサービスは、これら3つのデジタル資産を発行・管理する標準規格を提供することで、例えば法人決済・貿易などの分野で決済システムなどの大幅な効率化に貢献することが期待されています。

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2. プログマの創設背景と未来への展望

プログマは“デジタル社会に革命をもたらす”可能性を期待され、多くの注目を集めています。

2-1. 会社創設の背景

プログマは元々、三菱UFJ信託銀行からインキュベーションされた、デジタルアセット事業として始まりました。

プログマの代表取締役である齊藤達哉氏が、2016年に「FinTech推進室」という部署の設立と複数の新事業創出を推進し、その中で一番大きく成長した事業が現在のプログマです。

当初より中立性を意識したブランディングで事業化され、市場拡大と共に資本構成も中立化するタイミングが来たと判断し、独立会社としての創設に至ったという経緯があります。

2-2. 未来への展望

プログマは、大手メガバンクや日本取引所グループ、NTTデータなどの名だたる企業からの出資を獲得しており、国内をはじめとしたワールドワイドなサービスの確立を目指しています。

出典:Progmat

CEOの齊藤達哉氏は“ナショナルインフラのような、世界を牽引するプラットフォームで、グローバルスタンダードを目指す”と発言しています。プログマ社は世界のデジタルアセット事業に関係するサービスには以下の二つが必要不可欠であると考え、一企業の枠を超えた大きなビジョンを達成させるために舵を切っています。

  • プログラマブルで利便性の高いシステム
  • 安心して利用できるトラストフルなサービス

ブロックチェーン技術を活用することで証券会社へ上場せずとも取引の安全性を担保しつつ小口化やP2P取引を実現し、より幅広い個人へのリーチが可能となります。プログマのプラットフォームを活用して商品や資産をデジタル化することで、企業は新市場の開拓が可能となるのです。

3. プログマ社のビジネスモデルと技術的側面

プログマがデジタル資産のインフラ基盤となるとすれば、仮想通貨投資に関わるユーザーにどのような影響があるのかという側面に注目する必要があります。ここからは、プログマ社のビジネスモデルや技術についての詳細を解説しましょう。

3-1. RWAトークン化のメリット

出典:Progmat

プログマが焦点を当てているRWA(リアルワールドアセット:現実世界の資産)のデジタル化には、以下のように複数のメリットがあります。

  • 流動性向上
  • 透明性と信頼性の向上
  • 新たな金融商品の創出

RWAのトークン化は、取引プロセスにおける従来の複雑な手続きを自動化・効率化する効果が見込めます。その結果、従来は流動性が低かった不動産や美術品と言った資産の取引が容易となることで、市場の流動性が向上するでしょう。高額な商品の小口化が可能になる点、中間者の排除による管理コスト・手数料の削減も、流動性の向上をさらに後押しする要因となります。

また、ブロックチェーンを活用することで資産の所有権や取引の記録が明確に管理され、透明性を確保しつつ信頼性の担保が可能です。

さらに、ブロックチェーン技術を活用すればあらゆる価値や権利がトークン化できるため、従来の金融商品にはない新しい金融商品の流通が可能となり、投資機会の拡大をもたらすことが期待されています。

3-2. プログマ社のビジネスモデル

プログマ社は、主にデジタル証券の発行と管理、デジタルアセット管理業務やそれに関連するサービスから収益を得ている企業です。デジタルトークンを発行したい企業などの「発行母体」によるトークン発行や維持管理をサポートする発行・管理基盤として機能します。

ビジネスモデルとしては、主に「TX(トランザクション)フィ」「ライセンスフィ」「コンソーシアム組織」の三層で設計されています。コンソーシアム組織で市場参加者を増やして案件数を拡大し、最安値の固定費で各社のシステムに浸透しつつライセンスフィで安定収益を得ながら、将来的にはトランザクション数の増加に伴う収益の急拡大を図るという構造。

なお、プログマは業界を横断して新たな価値やエコシステムの共創を目的とした枠組み「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」を実施しており、DCCには2023年12月の時点で200を超える企業が参加しています。本コンソーシアムを通じて、過去には不動産などを裏付け資産とするセキュリティトークンやユーティリティトークンの発行が行われました。特にProgmatを活用したセキュリティトークン案件の運用残高は、公式サイトによると2023年9月時点で818億円を超えています。

国内ST市場は1,270億円規模(2023年10月時点)に達しており、世界の中でも日本は”社会実装”が大きく進んでいるといえます。なかでも、2021年夏にローンチした「本邦初の公募型不動産STプロジェクト」をはじめ、Progmatとしては不動産ST市場の成長を最優先に取り組み、約7割の市場シェア(834億円規模)を占めています。

3-3. 基盤となるシステム

出典:Progmat

プログマが提供するデジタルアセットの発行・管理基盤は、主に以下4つの要素で構成されています。

  • 「Progmat ST」:セキュリティトークンを取り扱う基盤。
  • 「Progmat UT」:ユーティリティトークンを取り扱う基盤。
  • 「Progmat Coin」:ステーブルコインを取り扱う基盤。
  • 「Token Manager」「Token Wallet」:各デジタル資産を対象とするウォレットサービス

 

そして、それぞれのデジタルアセットで使用しているブロックチェーンは以下のようになっています。

出典:Progmat

ブロックチェーン技術を利用したこれらのシステムを通じて、プログマはデジタルアセットの発行・管理を可能にしています。

3-4. パブリックチェーン・プライベートチェーンの連携状況

出典:Progmat

続いて、プログマ社のプラットフォームにおけるブロックチェーンの活用状況についても触れましょう。

2023年時点で同社は、「Corda」「Quorum」といったプライベートチェーンやコンソーシアムチェーンだけでなく、Ethereumなどパブリックチェーンの使用も複数拡張していく見込みです。

なお、プライベートチェーン・コンソーシアムチェーンは特定の組織やグループ内でのクローズドな利用に特化したブロックチェーンであり、パブリックチェーンはだれでも参加可能(パーミッションレス)なブロックチェーンです。

プログマ社は海外展開を視野に入れ、より広範なアクセシビリティと透明性を提供可能なパブリックチェーンとの連携を積極的に検討しています。

更に同社は、異なるプライベートチェーン間でステーブルコインをやり取りするクロスチェーン、パブリックチェーンとのトランザクションを可能にするマルチチェーンの構想についても公開。さまざまなブロックチェーン技術との互換性や柔軟性の向上を狙っています。

なお、Progmat STにはコンソーシアムチェーン、Progmat UTにはプライベートチェーンが用いられている一方、ステーブルコイン発行基盤である「Progmat Coin」にはパブリックチェーンが使用されています。これは、ステーブルコインはSTやUTとは異なり、不特定者間の使用・売買が可能であることが前提となり、パーミッションレスなパブリックチェーン上での発行が必要となるためです。

出典:Progmat

さらにプログマ社はProgmat Coinに関して、Ethereumの実装と同時並行で対応チェーンを複数拡張して行く予定であることを明かしています。その背景には、パブリックチェーンのエコシステムの性質上、1種類のチェーンのみに対応するシステムでは全てのニーズを充足できるとは限らないためです。

そこで同社は、複数のパブリックチェーンに直接対応したうえで各チェーン間でのスムーズなトランザクションを可能にし、その上で多様なDappsやプロジェクトを利用できる体制を整えることを目指しています。

4. プログマ社に関する誤解を解く

プログマが企業として知名度をあげるにつれ、プログマ社に関する誤解が生まれ、事実と異なる解釈をされている場合があります。

  • プログマコイン(Progmat Coin)というワードの意味
  • なぜプログマは分社化したのか

この二点について正確に理解しておきましょう。

4-1. プログマコイン(Progmat Coin)とは

ステーブルコインを発行・管理するサービス」の名称であり、「Progmat Coin」という名の「独自コイン」が出てくる予定はありません。

「Progmat Coin(プログマコイン)」とは「ステーブルコインを発行・管理するプログマ上のサービス」の名称で、スキームを問わずSCを発行/管理可能にするためのシステムです。

顧客ニーズに基づき、最優先の対応チェーンはEthereumです。Progmat Coinにおけるステーブルコインの発行は直接Ethereum上で実行され、Corda上で発行したSCをクロスチェーンでEthereumに移行するわけではありません。

4-2. 三菱UFJ信託銀行からの分社化の狙い

プログマ社が三菱UFJ信託銀行の子会社として法人化するのではなく、あえて分社化・独立した狙いについても簡単に触れましょう。

プログマ社は、あらゆる価値をデジタル化するインフラ基盤サービスを実現するためには、一企業の枠を超えた大規模な「共創」が必要だと考えています。実際に、プログマの分社化が正式発表された際、三菱UFJ信託銀行は以下のように述べています。

「グループを超えて手を携えるために、三菱UFJ信託銀行個人ではなく、より中立性の高い『共同事業体』を中核に据えることとしました。」

5. デジタル資産の今後の展望

続いて、デジタル資産市場における外観や、今後の展望についても考察しましょう。

デジタル資産には前述したセキュリティトークン、ユーティリティトークン、ステーブルコインの他にも、一般的な仮想通貨・NFTが含まれます。用途としては、一般的にデジタル資産は投資や決済、データ所有権の確定などの目的で用いられています。

特にステーブルコインは、貿易決済などを効率化する効果が期待されており、今後法人決済などで積極的に活用する企業が増えていくでしょう。具体的には、ブロックチェーン技術の活用による国境を超えた取引の時間短縮や簡素化、通貨間の変換(両替)の必要性が排除されることによる取引手数料の大幅削減が実現可能です。加えて、詐欺やシステムエラーのリスクを低減し、取引のセキュリティと透明性を向上させる効果も見込めます。

6. 日本におけるステーブルコイン流通の動向

2023年6月に施行された改正資金決済法では、ステーブルコインの発行、流通が可能になりました。

発行元は、銀行や資金移動業者などに限られており、プログマのようなインフラ基盤を利用して独自のコインを発行することができます。 

6-1. 「ドル連動型」ステーブルコインが日本から登場する可能性も

以上のような法規制の変更に伴い、国内でも日本円との連動型だけでなく「ドル連動型」のステーブルコインが日本から誕生する可能性が高まっています。

世界の主要通貨である米ドルは法定通貨の中でも特に価値の安定性が高く、グローバル市場での取引に用いられています。そのため、日本国内で米ドル連動型のステーブルコインが登場する場合、国内での国債取引や海外送金の活性化へ貢献する可能性があるでしょう。

また、日本国内での米ドル連動型ステーブルコインの流通が増えれば、国内金融市場や企業間取引における新たな通貨として活用されるケースも考えられます。

7. プログマ社が目指す、あらゆる価値がデジタル化された世界

今後のデジタル資産市場を予測する上で、セキュリティトークンや国内ステーブルコイン共通インフラとなりうるプログマ社の存在は大きなファクターの一つと言えるでしょう。

今後国内から発行されるプログマ社の動向に最新の注意を払い、自身の資産運用にどのように取り入れることができるかを考えることをお勧めします。

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