MakerDAOの概要
MakerDAOとは、イーサリアム上に構築されたDeFi(分散型金融)プロジェクトの一つで、分散型ステーブルコイン「ダイ(DAI)」を発行するメイカープロトコル(Maker Protocol)を管理・運営する分散型自律組織(DAO)です。
Makerには単一の運営および開発主体が存在せず、単一障害点を最大限排除した分散型システムとして先駆的な存在です。
Makerプロトコルは主にDAIとMKRという二つのトークンで構成されています。現在、プロジェクトの効率化のために「Endgameプラン」が進行中で、個別ユニットごとにトークンを持つ可能性があります。
ダイ(DAI)とは
Makerの主要プロダクト「Dai」とは、米ドルに1:1で連動することを目指すステーブルコインです。イーサリアム(ETH)、USDCなど、複数の仮想通貨を担保に追加しています。
ダイは発行量を超える担保資産を確保することで価格を維持します。発行主体は存在せず、スマートコントラクトに資産を預け入れることで誰でも発行可能です。第三者および仲介者を排除したトラストレス(信頼不要)な方法で発行および利用が可能で、検閲耐性があり、透明性が高いとされています。
Daiは、多数のDeFiアプリに統合されており、イールドファーミングやトレードで利用されています。また、その安定した価値から、貯蓄、決済、送金など、ブロックチェーン以外の分野でも様々な用途で実用化が進んでいます。
メイカー(MKR)とは
メイカー(MKR)はガバナンストークンとして機能します。MakerDAOはMKR保有者を中心とした統治機構を有しており、MKRを利用したオンチェーン投票により、新規担保の追加やリスクパラメータの調整などを決定します。MKRの大口保有者には、米VCのa16zやDragonfly Capitalなどがいます。
メイカー(MKR)を扱う暗号資産(仮想通貨)取引所:PR
投資家向け注目点
注目点1. 分散型ステーブルコインとして発行量No.1
2024年7月現在、メイカープロトコルはTVL(預入総額)でステーブルコインとしてトップ、DeFiプロトコルでは第4位の規模です。メイカープロトコルのスマートコントラクトには約1.1兆円もの資金がロックアップされ、その担保に基づいて8,258億円相当のステーブルコインDAIが発行されています。
テーブルコイン市場において、DAIの流通量は中央集権型の「テザー(USDT)」および「USDCoin(USDC)」に次ぐ第3位。DAIはDeFiエコシステムの取引し易さを強化する「流動性」の基盤を担っています。
注目点2. 担保資産の多様化、RWAへの着手
DAIは様々な仮想通貨をスマートコントラクトに預け入れることで発行されます。現在、DAIの担保資産はイーサリアム(ETH)やUSDCが中心で、ユニスワップ(UNI)などの仮想通貨も含まれています。
最近では、米国債やトークン化された預金、請求書、住宅ローン、音楽のロイヤルティなども担保として受け入れています。り「リアルワールドアセット(RWA)」をDeFiに取り入れるゲートウェイとなっています。
注目点3. ダイの運用方法、金利付きの流動性トークン「sDAI」
メイカープロトコルは、DAIを表す利回りトークン「sDAI(Savings DAI)」を導入し、その規模をさらに拡大しました。ユーザーはDAIを預けることでsDAIを受け取り、利回りを得ながら様々なDeFiアプリケーションで利用することができます。利回りはメイカープロトコルによって発生する借入手数料から生成されます。
注目点4. DAOとしての進化、組織編成「Endgameプラン」を進行
メイカーDAOは現在、プロジェクトの効率化のために個別ユニットへの編成(SubDAO)の導入に取り組んでいます。SubDAOはメイカーガバナンスと連携した個別のDAOです。代表的なSubDAOに「Spark」があり、これはDAIエコシステムを強化するため、イーサリアムネットワーク上のレンディングプラットフォームとしてトークンの貸し借りサービスを展開しています。最近では、日本に特化した「SakuraDAO」の立ち上げも行われており、SubDAOに関しても今後の動向が注目されています。