はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

欧州連合で新しい仮想通貨規制の動き:ICO基準設定と欧州共通ルールの設立へ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

欧州連合で新しい仮想通貨規制の動き
欧州議会で、ICOに対する新たな規制の基準設定を模索する動きが確認された。影響力の大きい国々のリーダーに対し、ヨーロッパ共通の仮想通貨に対するルールを採用するよう呼びかけるとされている。

欧州連合で新しい仮想通貨規制の動き

9月7日と8日の両日、欧州連合加盟国28カ国の財務大臣が一堂に介し、仮想通貨が社会にもたらす影響を考慮し、全欧州規模での規制の厳格化が必要かどうかを協議する予定であることが、わかりました。 

ブルームバーグの報道によると、オーストリアのウィーンで開催されるこの会合では、仮想通貨の透明性、資金洗浄や脱税及びテロ活動への資金供与等の不正行為に用いられる可能性について議論されるものとされています。 

また、ロイターの報道では、ブリュッセルに拠点を置くシンクタンクBruegelが作成した、この会合で提起される予定のレポートでは、特に影響力の大きい国々のリーダーに対し、ヨーロッパ共通の仮想通貨に対するルールを採用するよう呼びかけるようです。 

しかし現実的には、ヨーロッパ各国で、仮想通貨の取り扱いに対する態度は温度差があり、様々な思惑が絡む中、規制に対する足並みを揃えることは困難で、この会合が具体的な規制設定につながる可能性は低いようです。 

欧州議会は規制基準を策定

一方で、欧州議会の経済金融問題委員会(ECON)では、ICOに対する新たな規制の基準設定を模索する動きがあります。 

去る9月4日、欧州議会内の超党派議員連盟であるイノベーショングループは、会合を開き、より広範囲なクラウドファンディングの枠組みの中で、ICOのルール作りを行うという提案について議論を交わしました。 

この提案は、イギリス選出の欧州議会議員であるAshley Fox氏により作成されたもので、ヨーロッパのクラウドファンディング・プラットフォーム事業者および企業のための規制案のための草案という形をとっています。 

ヨーロッパにおけるクラウドファンディング規制は、昨年より討議されており、3月に欧州委員会が「クラウド及びP2P金融」の枠組み策定を義務付ける正式な提案を行なっています。 

Fox氏によると、この枠組みは、トークンセール(ICO)を規制する機会を与えてくれるものだとして、次のように述べています。

この規制は、規制の要件に準拠する姿勢を証明したいと望むICOに、そのチャンスを与えてくれる。 

ICO市場規制に対する解決策を提示するものではないものの、テクノロジースタートアップ企業にとって、優れた資金調達方法であるICOに対し、基準と保護を課すための、真に望まれているステップとなるだろう。

ICOは「新しく革新的な資金調達方法を提供する」一方で、詐欺の温床となったり、サイバーセキュリティのリスクを高める可能性もあるため、この草案では、800万ユーロ(約10億円)の資金調達額上限を儲けること、また、身元確認や資金洗浄対策を組み入れることを課すことを要件としています。

「立法者として、私たちの目的は、ICOをより実現しやすく、かつ成功するものにしたいということであり、そのための努力をしているということを保証する。」と、Fox氏は、述べています。

また、フランスのスタートアップコミュニティの支援団体である、France Digitaleの代表責任者、Nicolas Brien氏は、この会合の中で、次のように発言しています。

確実性とともに、正当性をもたらすという意味において、私はヨーロッパ全域を対象とした提案を歓迎している。

なぜならこの提案は、人々に自分たちはちゃんと理解しているという確信を与えてくれるからだ。それが「ユーティリティトークンなのか、譲渡可能な証券なのか、また、規制当局がどのような判断するのか」については、はっきりさせなくてはならない。

しかしICOは、異なる部分はあるにせよ、クラウドファンディングの一つの形態であるため、この提案は可能だと思っている。

ネガティブな主張も

このような前向きな姿勢が示される一方で、イギリスの金融行動監督機構(FCA)のLaura Royle氏は、次のように述べています。

仲介業者のコストを払うことなく、企業が幅広い投資家から資金を調達できるという点において、(ICOが) 大きな恩恵をもたらす可能性を持っていることは確かだが、透明性の欠如と、高いボラティリティのため、詐欺などが発生するリスクがある。

Royle氏は、正確な数値を確立することは難しいものの、FCAはICOの25%から81%が詐欺に終わる可能性があると推定しており、より厳格な監視の必要性を強調しています。

今回の会合では、この先の明らかな進路についての合意形成には至らなかったものの、9月11日までに、欧州議会議員が、この提案に対する修正案を提出することで、さらなる議論を重ねる機会を設けることができるとしています。

もし最終的に、欧州議会がこの規制を採択することになった場合、欧州レベルでのICO基準が策定されることとなり、欧州28の加盟国で、スタートアップ企業のプロジェクトが資金を調達し、事業を行うことが可能となる道が開けることになります。 

CoinPostの関連記事

仮想通貨ICOの資金調達額が2018年最低記録を更新|その背景とは
ICOBoxが仮想通貨のトークンセールやICOで調達された資金額が8月に1週間での合計の最低額を更新した。ICOの状況や各国の規制体制にも触れる。
ICOの新規制法案が欧州議会に提出される、約10億円(800万ユーロ)以下のICOが対象に
欧州の経済通貨問題委員会にICOの新たな規制を定める草案が提出された。現在のICO市場は無法地帯であり詐欺行為を受けるリスクが大きいといった指摘を受け、ヨーロッパ全体でICOの枠組みを定めるに至った。
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
05/18 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、企業のETH大量購入やアーサー・ヘイズのBTC100万ドル到達予測など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
12:49
UPCXが2025 Tokyo E-Prixスポンサーに 次世代決済とFanlinkの可能性を解説
UPCXが「2025 Tokyo E-Prix」のスポンサー契約を発表。世界標準決済を目指すブロックチェーンプラットフォーム「UPCX」と、ファン支援サービス「Fanlink」の特徴をCEO中野誠氏が解説した。秒間10万件の処理能力やグローバル展開の展望とは?
11:00
週刊仮想通貨ニュース|メタプラネット株価1340円到達の可能性に高い関心
今週は、仮想通貨ビットコインの専門家アダム・バック氏によるメタプラネットの株価試算、資産運用会社によるイーサリアム価格急騰の要因分析、空売り投資家ジム・チェイノス氏の投資戦略に関するニュースが最も関心を集めた。
05/17 土曜日
14:00
アブダビ政府系ファンド、ビットコインETF買い増しで保有額750億円突破
アブダビのムバダラ・インベストメントが第1四半期にブラックロックのビットコインETFを49万株追加購入。ゴールドマン・サックスは最大保有者として3000万株を保有。
13:05
ビットコインETFフェイクニュース事件、犯人に懲役14か月の判決
米SEC公式Xアカウントを乗っ取り、ビットコインETFについてのフェイクニュースを流した26歳の被告に懲役14か月の判決が下りた。偽情報で仮想通貨市場を混乱させたことが重大視された。
12:43
史上最高値を試すのは時間の問題か、米中貿易緩和も上値トライ失敗|bitbankアナリスト寄稿
米中関税115%引き下げ合意やインフレ指標下振れもビットコイン上値を抑える展開。アリゾナ州知事の暗号資産準備金法案への拒否権行使も影響。短期筋による損切り送金増加で売りをこなした可能性。史上最高値トライは時間の問題か。bitbank長谷川アナリストが週次相場分析を解説。
11:00
ビットコイン長期保有数1437万BTCに到達も、利確売り強まる=アナリスト分析
ビットコインの長期保有者が3月から5月にかけて利益確定を加速。支出利益率は71%増加し227%の平均リターンを記録。長期保有量は1437万BTCに達するも、市場サイクルの分配フェーズへの移行を示唆。
10:10
トランプ家のWLFI、民主党議員による調査要請を正式拒否
トランプ一族の金融企業WLFIが上院による調査を拒否した。政治的動機と批判し、同社は説明責任や米ドル優位性を指針としていると主張。倫理規定違反の疑惑なども否定している。
09:02
ETH・BTC比率が5年ぶり急騰、アルトシーズンの到来示唆か
イーサリアム/ビットコイン(ETH・BTC)価格比率が過去5年最低水準から38%急反発。ETFによる買い増し、取引所流入減少などの指標から需要増加・売却圧力低下が鮮明に。「極端な過小評価ゾーン」からの回復が示すアルトコインシーズン到来の可能性を分析。
07:50
ビットコインで利回り獲得、Solvがアバランチ基盤の新トークン発表
仮想通貨ビットコインの保有者にRWAの利回り獲得手段を提供するため、Solv Protocolはアバランチ上にSolvBTC.AVAXをローンチ。ローンチの目的や仕組みを説明した。
07:30
10億ドルのビットコイン投資を検討、米上場のシンガポール医療企業
シンガポールの医療企業バーゼル・メディカル・グループが10億ドル規模のビットコイン投資に関する交渉を開始。ストラテジー社に続く大規模企業BTC投資の新事例として注目される中、「革新的な株式交換契約」を通じてアジア医療企業最強の財務体質構築を目指す。
06:45
米裁判所、SECとリップルの和解案を「手続き上不適切」として却下 再申請へ
米連邦地裁がSECとリップルの和解申請を「手続き上不適切」として却下。民事訴訟規則違反が原因で、両者は適切な手続きでの再申請を迫られる状況に。
06:25
イーロン・マスクの『Kekius Maximus』切り替えでミームコインが2倍以上急騰
イーロン・マスク氏がツイッターのプロフィール画像とユーザー名をミームトークン「Kekius Maximus」に変更し、関連トークンが2倍以上急騰。昨年の900%上昇・急落事例に続くマスク氏のSNS活動による仮想通貨市場への影響力を示す展開に。
06:05
サウジ中央銀行、15億円相当のストラテジー株保有でビットコインに間接投資
サウジ中央銀行がセイラーのストラテジー社の株を25656株取得し仮想通貨ビットコインへの間接投資を開始したことが確認された。
05/16 金曜日
17:00
マスクネットワークとは?仮想通貨MASKの買い方・取引所まで徹底解説
Mask NetworkはSNS×Web3をシームレスに接続するSocial-Fiプラットフォーム。本記事では特徴とMASKトークンの買い方を初心者向けに解説します。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧