- 金融庁が仮想通貨取引所のにおける「審査長期化の要因」を公開
- 仮想通貨交換業者の登録審査に係る質問票は、実に83ページ、総審査項目数395項目に及ぶ。最多項目はマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関する質問で、130項目に達した。
金融庁が仮想通貨取引所のにおける「審査長期化の要因」を公開
金融庁は24日、「審査長期化の要因について」とする書面の公表を行なった。
仮想通貨交換業者の登録審査に係る質問票は、実に83ページ、総審査項目数は395項目に及ぶ。最多項目は、AML/CFT(マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策)に関する質問で、130項目に達した。
認可登録に向けた審査プロセスに関しては、以下の通りだ。
公開した理由について金融庁は、正規の認可登録を申請する「仮想通貨交換業者」に対し、登録審査における論点を予め把握いただくためとしている。
申請内容の不備が多発していることで、「審査落ち→再審査」となるケースを未然に防ぐことにより、登録の遅れに関する”批判の矛先”が金融庁に向かう消費者に理解を促すとともに、審査におけるハードルの高さを知らしめることで明らかに規定水準に満たない業者を事前に篩に掛け、限られたリソースの中で業務効率化を図ることも狙いにあると思われる。
金融庁が仮想通貨取引所のにおける「審査長期化の要因」を公開
新規登録審査については、法令に則り効率的かつ適切に行うとしているが、審査が長期化することになる要因について、参考事例を以下に示している。
金融庁は、「仮想通貨交換業への新規参入を希望する事業者は、掲載した事例を踏まえた登録申請の準備を行うなど、有効に活用していただきたい」とし、円滑な登録審査のための注意喚起を行なっている。
○ 申請関係書類の内容について、形式的不備(無回答、内容の矛盾)が多数認められるなど、適切な経営管理(ガバナンス)が発揮されていないケース
○ 外部専門家に申請関係書類の作成を依頼しており、その外部専門家が作成した雛形に依拠するだけで、自社の事業内容・計画等を踏まえた社内検討を行っていないケース
○ 規程の整備が十分でなく、審査や補正に時間を要するケース
○ 事業計画の妥当性について、合理的に説明できないケース
○ 事業計画の実行にあたり直面しうるリスクの検討を行っておらず、適時・適確に業務を遂行するための態勢整備について、合理的に説明できないケース(例えば、将来の業容拡大を見据えたシステムの拡張性の確保など)
○ 適時・適確に業務を遂行するため法令等で求められている人材・体制が確保できない(又は確保が図られていることが疎明できない)ケース
○ システムの安全性について、システム構成の考え方やウォレット運用管理の具体的な事務手続など、仮想通貨の不正流出等に係るリスクを低減させるための方策を示していないケース
○ マネロン・テロ資金供与対策について、定型的な回答にとどまり、リスク評価書に自社が提供する商品・サービスや、取引形態、取引に係る国・地域、顧客の属性等のリスクを包括的かつ具体的に検証した形跡が見受けられないほか、具体的な取引時確認の手続や疑わしい取引の検知・判断・届出の手法等を示していないケース
○ 分別管理において、自己の固有財産である金銭・仮想通貨と、利用者が預託した金銭・仮想通貨の混蔵するリスクの洗い出しが十分でないほか、日次の照合作業等について、具体的な事務手続を示していないケース
○ 相談者から提示されたスキームに係る法令上の業への該当性について、相談者と当局間での認識共有まで、時間がかかるケース
(例えば、仮想通貨交換業の該当性の判断だけでなく、資金移動業等の登録の必要性など各事業者によって提供されるサービスの内容は様々であり、該当性を一義的に画することが困難であるため、相談者と当局との間で認識が一致するのに時間を要する場合など)
出典:金融庁公式サイト