はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

英商業裁判所、ビットコインを初めて「法的財産」と認める判決を下す

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

英商業裁判所、BTCを初めて「法的財産」と判決
仮想通貨ビットコインのハッキングを巡る訴訟において、イギリスの商業裁判所がBTCについて初めて「法的財産」とみなす判決を下した。

英商業裁判所、BTCを初めて「法的財産」と判決

100万ドル(約1億6百万円)に相当するビットコインがハッキングされたことを巡る訴訟で、イギリスの商業裁判所が、初めてビットコインを法的財産と認める判決を下したことが分かった。

この判決はまだ承認が必要なところだが、新たな法的前例となった。

ハッキングの被害者が、市場で売り買いされて取り戻すことが困難になった仮想通貨についての権利を請求できることを示唆する重要な事例になると見られる。

本件は仮想通貨ファンドAlphabit社のCEOであるLiam Robertson氏の訴えに関わる。Robertson氏はヨーロッパと中東で最大の仮想通貨トレーダーの一人だ。

ハッキング事件の経緯

事件の発端は、今年の7月始めにRobertson氏があるトレード・ファンドの取締役と電話した時に遡る。同氏はこの会社の商品に感銘を受けて、100 ビットコインを投資することを承諾した。

ところが、Robertson氏によるとその電話は盗聴されていたという。ハッカーは同氏がビットコインを当該ファンドの投資部門チーフに送る時に、複雑なスパイウェアを使い、チーフのメールアドレスを複製した。

さらにチーフを装って、Robertson氏に、ハッカーが所有する偽のウォレット・アドレスへとビットコインを送るようにリクエストしたという。トレード・ファンドはハッキング被害に気付き、その翌日7月6日にRobertson氏に警告の電話をしたが、時すでに遅かった。

ブロックチェーン調査企業のChainalysis社の捜索によって、盗まれた資金のうち、80BTCは仮想通貨取引所コインベースUKに、15BTCは、Localbitcoinsへ、そして他の5BTCはコールド・ウォレットに送金されたことが突き止められた。

ロンドンの商業裁判所は『資産保護命令』を出してコインベースUKに盗まれた資金を一時的に凍結するよう命じた。つまりビットコインを初めて法的財産とみなしたことを示した。

これまでのところはイギリスの法律ではビットコインは従来の法的資産の定義には当てはまらない「データ」であるとされていた。そのため誰かに盗まれても、それを取り戻す請求をできなかったという。

今回、Robertson氏の弁護士は、ビットコインは事実上「財産」であると論じた。

ビットコインが盗まれたことは、その資産に対する権利の移行を伴うものではなく、Robertson氏はまだ盗まれたビットコインを所有していると主張したのである。本件では、コインベースUKがハッカーに関する情報を開示できるようにする「Bunkers Trust Order」も発令された。

Robertson氏はコインベースUKから資金を取り戻すことができた。弁護士が追及したところ、ハッカーはパニックに陥って盗んだビットコインを返したという。弁護士らは、Localbitcoinsに送金された15BTCとコールド・ウォレットに送金された5BTCについても、同じような対策を取る計画をしている。

しかし、取引所にないコールド・ウォレットの中のビットコインについて取り戻すのは、より困難であると考えられる。

今回の判例の意味

この裁判所の決定は、まだ暫定的な判決であるが、担当弁護士は、仮想通貨メディアDecryptに「新たな判例」を作ると語った。

もし今後同様の状況が発生した場合、今回の判決を参照して主張することができる。

今回の事例において、イギリスの裁判所は、新しい事例にも進んで取り組もうとしていることが分かったという。裁判所は現在、業界主導の司法特別委員会との協議を待っている状態である。本件に関する報告書は今夏遅くに公表される予定だ。

本件は、仮想通貨は法的財産かどうか、財産の所有権主張や、救済策、差し止め命令の対象となるかどうかを審議したイギリスで最初の判例となった。

判決を詳しく解説したLEXOLOGYによれば、ビットコインが法的財産とみなされるかどうかは、ビットコインだけではなく他の仮想通貨や、分散型台帳に記述された他のデジタル資産にとっても重要である。

ハッキングや詐欺の被害者だけではなく、債務整理の多様な商業案件(課税、資産に対する権利譲渡など)にも影響してくるだろう。

中国でもビットコインを財産と認める判例

なお、最近ではビットコインを含む仮想通貨投資・取引を全面的に禁止している中国でも、ビットコインを合法的な「バーチャル財産」とみなす判例があり話題になった。

中国の名城杭州でのビットコイン横領事件をめぐる裁判において、ビットコインは法律に守られる「バーチャル財産」であるとされ、所有は法的に認められるという初の判決が出たものだ。

関連中国の裁判で初めてBTCが合法なバーチャル財産に

CoinPostの注目記事

1.2兆円相当のビットコインを巡る裁判 クレイグ・ライト氏の訴訟取り下げ要求を裁判所が棄却
故クレイマン氏と共同でマイニングして得た110万BTC(1兆2000億円相当)を巡る訴訟で、クレイグ氏が行なっていた訴訟の取り下げ要求を裁判所が棄却した。
仮想通貨市場に影響を及ぼす「重要ファンダ」一覧表|ビットコイン、リップルなど【3/7更新】
ビットコイン(BTC)やリップル(XRP)など、仮想通貨市場に影響を与え得る重要ファンダ一覧はこちら。あらかじめイベントをチェックしておくことで、トレードの投資判断に役立てることができる。
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
04/02 水曜日
16:57
三菱UFJ信託銀行、電子決済手段としては国内初のステーブルコイン発行へ=報道
三菱UFJ信託銀行が近日中に「電子決済手段」としてのステーブルコイン事業を開始する。カーボンクレジット取引から始め、貿易決済への拡大も視野に。
14:30
ソニー・シンガポール、オンラインストアでステーブルコインUSDC決済に対応
ソニー・シンガポールが仮想通貨取引所と提携し、オンラインストアでステーブルコインUSDCによる決済サービスを開始。シンガポール初の仮想通貨決済対応家電ブランドとなり、ソニーグループの分散型技術戦略と連動した取り組みとなった。
13:25
エリック・トランプ氏「仮想通貨事業参入のきっかけは不当な銀行口座閉鎖」
トランプ大統領の次男エリック氏は、大手銀行による突然の口座閉鎖が仮想通貨事業参入のきっかけとなったと明かした。同氏は、ブロックチェーン技術により今後10年で金融や銀行の在り方は大きく変わると予想している。
12:56
メタプラネット、ビットコイン追加購入で累計4,206BTCに
メタプラネットが4月2日に仮想通貨ビットコインを160BTC、約20億円分追加購入し、累計4,206BTCに保有量を伸ばした。2025年末1万BTC・2026年末2万1,000BTCを目指し、独自財務戦略を進める。
12:05
ビットバンク、村上信五さん起用の新CM放映開始へ
国内暗号資産取引所の大手ビットバンク株式会社は4月2日、バラエティ番組の司会などで活躍する村上信五さんを起用した新CM「Everybody bitbank」シリーズの放映を4月3日から開始すると発表した
11:44
米グレースケール、バスケット型仮想通貨ETF申請 XRP・ソラナ・ADA含む5銘柄で
米グレースケールがビットコイン他複数の仮想通貨に投資する「デジタル・ラージキャップ・ファンド」のETF転換をSECに申請した。承認されれば一般投資家にも開放される見込みだ。
11:00
「決済用ステーブルコインは利子提供不可」米ヒル議員が強調 コインベースらの嘆願却下
米下院金融委員長が決済用ステーブルコインの利子提供は認められない計画だと強調。コインベースなど仮想通貨業界からの要望を却下した。法案にも禁止条項が盛り込まれている。
10:30
国内上場のenish、1億円相当のビットコイン購入へ Web3事業強化で
株式会社エニッシュが1億円相当のビットコインを4月1日から4日にかけて取得すると発表。ブロックチェーンゲーム開発を手がけながら、Web3領域での事業展開強化と財務戦略の一環としてビットコインを活用へ。
10:15
バックパック、FTX EUの顧客へのユーロ返還手続きを開始
仮想通貨取引所バックパックは、FTX EUの顧客にユーロを返還するための手続きを開始。FTX自体は現金での返還をすでに開始しており、仮想通貨の買い圧につながるのではないかとの見方も上がっている。
08:20
バリュークリエーション、2度目の1億円分のビットコイン購入を実施
東証グロース上場のバリュークリエーション株式会社が3月31日、1億円で7.8BTCの追加購入を発表。3月17日の初回購入から2週間で2回目の投資を実施した。
08:15
ビットコイン一時50万円上昇、米経済指標とトランプ関税政策が影響|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは前日比で一時50万円の上昇となった。現在、市場の最大の注目材料はトランプ大統領による関税政策であり、ビットコインはリスク資産である米国株価指数との相関性が非常に高くなっている。
07:50
『ビットボンド』提案、トランプ政権のビットコイン準備金戦略、年間10兆円の財政削減効果も
ビットコイン政策研究所が「ビットボンド」提案を発表。米国債の金利負担軽減と仮想通貨ビットコイン保有増加を同時実現する戦略で、2兆ドル規模で導入した場合、年間700億ドルの節約効果と推算。
07:20
ビットコイン購入準備のゲームストップ、2200億円調達済み
米ゲーム小売大手ゲームストップが15億ドルの無利子転換社債発行を完了し、ビットコイン購入計画を進行。マイクロストラテジーの戦略に類似する企業の仮想通貨投資の新たな展開に。
06:55
三井住友FG、アバランチらとステーブルコインを共同開発
三井住友FGは、ステーブルコインの開発を行うことがわかった。仮想通貨アバランチを開発するAva Labsら3社と協業し、26年度を目処にした発行を検討している。
06:35
トランプ家支援のAmerican Bitcoin、二社統合モデルでIPO計画
トランプ家支援のAmerican Data CentersとビットコインマイナーHut 8が設立した合弁会社American Bitcoinが上場計画を発表。エネルギー・インフラとマイニング事業を二社統合モデルで展開していく。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧