はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

証券法違反を巡り争う米SECと仮想通貨発行企業Kik 情報開示手続き書から読む両者の主張

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

2017年に実施された仮想通貨KinのICOが証券法に違反するとして、米国証券取引委員会(SEC)から今年6月に提訴されたメッセージアプリ大手Kik。 SECから提訴された他の仮想通貨企業が、次々に罰金の支払いを受け入れ和解に至る中、Kikは徹底的に法廷で争う姿勢を表明し、8月には「SECは意図的に事実を歪曲した」と批難する反論書類を裁判所に提出していた。

現在、この訴訟は情報開示手続きに関して両者が対立している状態にある。

28日付で裁判所に提出された証拠開示手続き申請で、Kik側がSECの企業財務部門関係者3名に対し、証人召喚令状請求を行っていることが判明した。 それに対し、SECは「Kik側が求めている証言録取を先に進めるべきではなく、証拠開示手続き要求は破棄するべきである」と主張し、この件に関して裁判所の介入を求めた。

KikがSECの証人として挙げたのは、次の三者となっている:

  • William Hinman氏 (SEC企業財務部長)
  • Valarie Szczepanik氏(SEC企業財務副部長)
  • Jonathan Ingram氏(企業財務部副主任弁護士)

Kikは、「SECの仮想通貨に関するガイダンスの曖昧さが無作為な執行をもたらし、Kikから、法が何を規定しているのかに関する公正な通知を受ける憲法上の権利を奪った」と主張。

これに対しSECは、Kikの要求している「証拠開示手続きは不適切」で、「Kikの仮想通貨が未登録証券として分類されるか否か」という訴訟の争点からずれていると述べ、同社は「憲法に違反した曖昧さ」を肯定的弁護の正当性の拠り所としているが、「漠然性の故に無効」の法理は、デジタルトークンに関しては法的価値に欠けると論じた。

さらに、SECは次のようにKikの弁護を批難している。

被告側は、70年以上かけて十分に解決された法理学にもかかわらず、証券法における『投資契約』という用語が、Kikの投資スキームに適用される場合には、漠然性の故に無効であると主張している。 この主張は受け入れられず、却下すべきである。

DAO報告書の公開はSECの曖昧さ回避の盾となるか

Kikは、8月の反論書の中で、Kinを「投資契約」と見なす(=証券として分類される)という「十分な通知」が、SEC側からなされていなかったと主張している。

それに対し、SECは2017年9月に実施されたKikのICOの2か月前となる7月に発表したDAOトークンに関する報告書で、投資契約の基本ルールが明らかにされたことで、Kikには十分な通知がなされたものとみなしているという。

この報告書では、分散型投資プロジェクト「The DAO」で使われるDAOトークンが証券法の対象となる可能性があると指摘。ただし、その内容はDAOトークンに限定されており、全てのICOトークンに該当するものではなかったようだ。

しかし、この報告書をもって、SECは、「Kikに(Kinトークンの)提供と販売が証券法に違反する可能性があるという、憲法上十分な通知をKikに提供した」と捉えているようだと、FisherBroylesのパートナー弁護士であるRebecca Rettig氏は述べている。

SECは、トークンの有価証券性の曖昧さを回避する規制策定の一環として、ようやく今年4月に特定のトークンが有価証券に該当するか否かのガイダンスを発表している。

Kinとしては、このような規制の曖昧さを武器に使い、長期にわたってSECからの証言録取を引き出していく戦略を取るものだと思われる。 ICO規制の重要な先例となるとみられ、大きな注目を集めているKik訴訟は、米国における仮想通貨規制の明確さを引き出すきっかけとなるかもしれない。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/17 金曜日
18:53
3メガバンク、円建てステーブルコインを共同発行へ 導入第一弾は三菱商事=報道
三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクが円建てステーブルコインを共同発行。信託型により高い安全性を実現し、クロスボーダー送金のコスト削減を目指す。プログマのシステムを活用し今年度内に実用化予定。
17:56
ファンプラのIEO参加方法と注目ポイント|コインチェックの実績、申込前に知るべき情報まとめ
音楽ファンクラブ運営大手Fanplusと協業するFanplaは14日、暗号資産「Fanpla(FPL)」のIEO(Initial Exchange Offering)をコインチ…
17:12
メタプラネット、ビットコイン複利モデルで反転狙う
メタプラネット株が400円台まで下落しmNAVは0.89に。サイモンCEOは「優先株で希薄化せずBTCを買い増す」方針を再確認。複利モデルの理論と背景を解説。
13:35
コインベース、ステーブルコイン決済プラットフォームを開始 USDC保有で年利4.1%
コインベースが企業向けステーブルコイン決済プラットフォーム「Coinbase Business」を発表。USDC保有で年利4.1%、低手数料・即時決済でB2B決済の課題を解決。会計ソフト連携も対応。
13:20
ユニスワップがソラナ対応開始、非EVMチェーン初の統合実現
ユニスワップが非EVMネットワークとして初めてソラナに対応し、ウェブアプリでSOLトークンの直接スワップが可能になった。100万以上のトークンにアクセスでき、今後はブリッジングやクロスチェーン機能も予定している。
12:50
ビットコイン価格モメンタム弱まるも、クジラの買いは堅調=CryptoQuant
CryptoQuantが仮想通貨ビットコイン市場の近況を分析。短期的な上昇の勢いが弱化しているがデータは大口投資家の買い増しを示唆していると指摘。上昇再開の水準などを分析した。
11:46
ビットコイン11万ドルを割り込み続落、米中首脳会談控え市場の緊張高まる
ビットコインは前日比2.39%安の108,800ドルに下落。トランプ大統領が中国との貿易戦争継続を認め、月内の米中首脳会談を控える中で市場に緊張感が広がっている。VIX指数は5カ月ぶり高水準に急騰し、地銀の融資問題も重なり市場心理が悪化。一方で金価格高騰を背景にトークン化された金の時価総額が34億ドルに達するなど、リスク回避の動きが鮮明となっている。
11:30
米上場Zeta、ビットコイン決済で約350億円私募調達 SolvBTCトークン採用
米上場ZetaがBTC決済で2.3億ドル私募。SolvBTC採用により、ビットコインを受動的保有から利回り創出型の生産的資産へ転換する財務戦略となる。
11:10
リップル、XRPトレジャリー設立で1500億円資金調達を主導
リップルがXRPトレジャリーのため10億ドル規模の資金調達を主導していることが明らかになった。SPAC経由で資金を調達し、XRPに特化した最大級のデジタル資産保有企業を設立する計画だ。
11:00
仮想通貨IEO投資の稼ぎ方 今後の予定、参加方法|2025年版
暗号資産(仮想通貨)投資で公募価格の数倍もの高値付けることもある国内外のIEO事例ですが、初値で公募割れしたケースもあるなどリスクも付き物です。今後の注目IEOにはナナメウエ社の「YAY」、NOT A HOTELの「NAC」をbitFlyerやGMOコインが販売検討しており、口座開設がおすすめです。国内外のIEO成功事例、参加方法まで解説。
10:45
スクエアのビットコイン決済端末、米国のコーヒーショップへ導入
ジャック・ドーシー氏が率いるブロック社のスクエアで、仮想通貨ビットコインの決済事例が報告された。Compass Coffeeがビットコイン決済対応のスクエア端末を設置したとXに投稿している。
10:30
アーサー・ヘイズらがイーサリアムの年末1万ドル予想を維持、大幅下落後も強気姿勢
ビットマインのトム・リー会長とアーサー・ヘイズ氏が、イーサリアムの年末1万ドル到達予測を改めて表明した。現在価格から142%上昇の見込みだが、歴史的平均は21%増に留まっている。
09:40
コインベース、競合バイナンスのBNBを上場の計画 CZ氏は関連トークンの取り扱いも推奨
米コインベースが競合バイナンス関連の仮想通貨BNBを上場予定リストに追加した。CZ氏はBNBエコシステムの成長を背景に、他のBNBチェーン銘柄の上場も推奨している。
08:50
仮想通貨トレジャリー企業のバブル崩壊か、ビットマインのトム・リー会長が指摘
ビットマインのトム・リー会長が、多くの仮想通貨保有企業が純資産価値を下回る取引状況を指摘し、バブル崩壊の可能性に言及した。メタプラネットも企業価値指標が基準を下回る事態となっている。
08:12
ビットマインが押し目買いか、600億円超のイーサリアムを追加購入
トム・リー氏率いるビットマインが押し目買いで10万4336ETHを新規購入した模様。同社は総供給量の5%取得を目標に掲げ、イーサリアム保有を継続的に拡大している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧