欧州でデジタル通貨発行か
欧州連合(EU)が、欧州中央銀行(ECB)とメンバー国の中央銀行に、デジタル通貨発行(CBDC)の検討を促す草案を公表したことが分かった。
「ECBとメンバー国の中央銀行はCBDCの発行における機会と挑戦を検討することを推薦する。」としている。中国習近平主席のブロックチェーン推進発言とデジタル人民元の発行準備を警戒している可能性があると見られる。
なお今回の草案には、EUは仮想通貨業界へアプローチし、リスクの高いプロジェクトは禁止すべきだという考えも記されているという。EU全域で仮想通貨に対する規制強化を促す内容だ。
EU議会の金融担当であるドイツのMarkus Ferber氏は、「少なくとも仮想通貨に対する健全な規制の枠組みが必要だ。EUの取り組みは遅れている。リブラの計画が明らかになった今こそ行動を起こす時だ」と語っている。
欧州のデジタル通貨の発行と仮想通貨への規制強化が記された本草案は、8日にもEUの財務相の下で議論され、次は採択に向けて12月5日に集会が開かれる予定だ。
今年の6月、米フェイスブックが仮想通貨リブラの事業計画書(ホワイトペーパー)を発表して以来、各国・地域で、中央銀行のデジタル通貨発行に関する動きが活発になっている。米国の中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)は4日、デジタル通貨や仮想通貨のステーブルコイン、分散型台帳技術の研究を推進できるマネージャーの募集を開始した。
リブラについては、現在の金融システムの影響やマネーロンダリング等に悪用される可能性を懸念し、欧州各国も批判的な姿勢を示してきた。それに合わせてデジタル版ユーロの発行を求める声も上がっている。先月末には、EUの5カ国が、リブラのローンチ阻止に向け、連携することが明らかになった。
参考:ロイター報道