スターバックスの仮想通貨進出
大手コーヒーチェーン店「スターバックス」の仮想通貨導入は、日本で語られるより、大きなマーケットインパクトがある可能性が浮上した。
韓国有識者は仮想通貨の利用で、巨大シェアを有する「スタバプリペイドカード」を管理する可能性を指摘し、金融領域進出による影響を解説した。韓国の有力紙The Korea Timesが報じた。
報道によると、スターバックスが金融領域に進出することによる金融市場の混乱を懸念する韓国の銀行責任者が増えつつあり、スターバックスの発行するこの「プリペイドカード」の国内利用率の高さがその理由にあるという。
韓国の利用率を示す具体的な数字では、推定額6億ドル相当が韓国ウォンの入金額(デポジット)。この利用率は米国でも同様で、2016年のWSJ統計では、カードシステムが預かる金額は12億ドルに上り、米国の主要地方銀行の現金デポジットを超えるほどの普及状況が報告されている。
これは、「米国で最も利用されているモバイル決済アプリはアップルペイでもグーグルペイでもなく、スタバのアプリ(40%シェア)だ」と金融関係者が語るほどだという。
銀行関係者が懸念を示す理由には、スターバックスのカードはデポジットには金利は発生せず、金融当局によって規制されていないことが理由にある。韓国の大手金融企業Hana Financial Groupはこの状況を「規制されていない銀行」と例えた。
有識者らが具体例として挙げたスターバックスの金融領域の予想ケースとしては、世界でプリペイドカードを介する資産管理事業のほか、為替やローン、保険市場に進出すると分析。仮想通貨についても、様々な法定通貨の変換などの管理を行う点を可能性として挙げた。
記事冒頭でも取り上げた様に、仮想通貨についてはプリペイドカードや決済アプリに導入される可能性を指摘している。
その根拠と考えられるのが、Bakktとスターバックスの仮想通貨決済領域の取り組みだ。電子マネーの技術だけでなく、仮想通貨の利用とブロックチェーン分野にも目を向けているスターバックスは、米Bakktと提携関係を締結、2020年内には米国のスターバックスでビットコイン(BTC)での店舗決済を実装すると計画している。
コーヒー市場だけでなく、様々な国でライフスタイルとして好まれているスターバックスが仮想通貨の決済だけではく、資産管理領域での利用にも取り組むことで、仮想通貨の利用普及および資産価値の向上にとっても追い風になり得る。
特に、日本では想像に難しいスターバックスカードの普及率やその影響にも、新たな注目が集まりそうだ。
なお、国内における規制方針などで把握しておきたい国内関係者の見解については、韓国の金融産業と金融当局は、今後金融業界のライバルになり得るスターバックスへの懸念を示しつつも、デジタルシステムの導入など、革新的技術へ柔軟かつ新たな取り組みに対し、好意的に見ている側面もあるとしている。