はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨の有価証券裁判:米二大業界団体が主張する規制の問題点

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ブロックチェーン推進団体が意見陳述書を提出

来月18日に公判が迫るメッセージアプリ大手「テレグラム」の独自トークンGramの有価証券訴訟に、強力な助っ人が現れた。アメリカの仮想通貨およびブロックチェーン業界を代表する推進団体、デジタル商工会議所(The Chamber of Digital Commerce)とブロックチェーン協会だ。

両団体ともに、1月21日付で米連邦地方裁判所(ニューヨーク南地区)に、アミカス・クリエ意見書(法廷助言書=当事者でない第三者による意見陳述書)を提出し、テレグラム側の主張を支持する意向を表明した。

この訴訟は、米国政府がどのような形でデジタル資産を証券として定義するのかという歴史的判断を仰ぐ判例となるため、世界レベルで大きな注目を集めている。そのため、両団体の陳述書の主張には多少温度差があるものの、ともにSECの訴訟内容に疑問を対し、挑戦する内容となっている。

デジタル商工会議所

デジタル商工会議所(以下CDCと表記)は、2014年に設立されたデジタル資産およびブロックチェーン業界を代表する世界有数の業界団体で、金融機関や投資会社、法律事務所、テクノロジー企業を含む200以上の企業・団体を代表している。 その顧問委員会には、米証券取引委員会(SEC)元委員長や米商品先物取引委員会(CFTC)元委員長も名を連ねている。

主張内容

CDCは陳述書で、「有価証券ではなくても、デジタル資産は投資契約の対象となる可能性がある」としたテレグラム側の主張を支持し、連邦法の下で証券として扱われる一般的な投資契約とデジタル資産との間に明確な境界線を引くよう求めている。

CDCは、テレグラムの独自トークンGramが証券にあたるかどうかを直接議論することを避け、「投資契約の基礎となるデジタル資産に適用される法的枠組みが明確で一貫している」ことの重要性を説いている。

投資契約であると判断された取引と投資契約の対象であるデジタル資産との間の明確な法的区別がない場合、ブロックチェーン技術を利用し初めている多くの業界、例えばソフトウェア開発会社、金融サービス、小売、医療、不動産業などにまで、デジタル資産の有価証券性問題を持ち込み、アメリカにおけるイノベーションを阻害する可能性も指摘した。

その上で、70年以上前の最高裁判所の判例であるHoweyテストの論理を適用し、特定の種類の証券(投資契約)が取引の対象である資産とは異なるという事実を認識することを求めた。つまり、資産そのものの特性ではなく、契約や取引、またはスキームの経済的現実を調査するべきであると主張している。

Howey事例の場合、資産=オレンジ果樹園自体は証券ではないと認識されたことから、「投資契約の対象であるデジタル資産は必ずしも証券そのものであるとは限らない」という前提を提示した上で、コモディティとしての資産は、通常の商取引の対象である可能性を指摘。

「デジタル形式もしくはブロックチェーンデータベースに記録されているという理由だけで、デジタル資産が証券とみなされることがない」ことを支持する法的判断を求めた。

ブロックチェーン協会

米ブロックチェーン協会にはリップル社をはじめ、大手取引所Coinbaseや仮想通貨金融大手のCircle社が加盟しており、金融から証券法などの多くのワーキンググループを通してブロックチェーン技術の啓蒙活動および支援活動を展開している。

主張内容

同協会の主張は、CDCよりもさらに強く、直接テレグラム社を支持する内容で、「SECの基準を満たすために十分な努力をした」テレグラム社に対する訴訟は、同社へ投資した「適格投資家」と市場全体に損害を与える可能性があると主張し、次のように陳述書で述べている。

「裁判所は、長期わたって計画され多くの期待を持たれている製品の発売を、世故にたけた特定の関係者間の契約を妨害することによって、阻止すべきではない。そうすることで、証券法が保護するように設計されている投資家に対し、不必要に害を及ぼすことになるだろう」

陳述書の中で、ブロックチェーン協会は全般的に、デジタル資産が証券であるかどうか、またいつからそう認識されるのかについて、これまでSECは規制上の明確性を提示してこなかったとして、SEC側の落ち度を指摘した。

また、ブロックチェーン技術に対する規制は、個々の法執行活動や「ノーアクションレター」と呼ばれる事前確認作業など「企業にとっては役に立たない曖昧なアプローチ」に終始していたと主張している。

また、業界としては、SECのスピーチ等からしか規制の本意を汲み取る以外方法はなく、密室でのSECスタッフとの協議はガイダンスを提供するには程遠いものだったと、これまでのSECの姿勢を批判している。さらに、このようなSECのアプローチは、イノベーションを阻害していると非難した。

ブロックチェーン協会は、「生産的で合法的な投資とイノベーションを妨げる可能性のある広範囲にわたる裁定を回避」し、「いまだ存在していないGramは購入契約時に証券にあたる」とのSEC側の主張を却下するよう、裁判所に求めている。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/17 水曜日
18:51
仮想通貨の分離課税、2028年1月からの見通しか
暗号資産の申告分離課税の施行時期について、2028年1月からの案が浮上。金商法への移行や投資者保護体制の整備が条件とされ、当初想定の2027年より遅れる見通しだ。
18:00
Progmat, Inc.、次世代金融カンファレンスMoneyX 2026の企画・運営として参画決定
Progmat, Inc.が、2026年2月27日に東京で開催される次世代金融カンファレンス「MoneyX」に共催企業として参画。ステーブルコインやデジタル証券など通貨のデジタル化と社会実装をテーマに議論する。
17:51
GMOフィナンシャルHD、株主優待にビットコイン導入へ
上限1万円相当のBTC GMOフィナンシャルホールディングスは12月16日、2025年12月31日を基準日とする新たな株主優待を発表した。 新制度では、GMOクリック証券におけ…
17:45
トランプ大統領、仮想通貨支持派ウォーラー理事を次期FRB議長候補に面接へ=WSJ報道
トランプ大統領が仮想通貨支持派のウォーラーFRB理事を次期議長候補として18日に面接。ステーブルコインやDeFiに積極的で、利下げを主張する同氏は、エコノミストから高評価を得ているが、トランプ氏との個人的関係の薄さから「大穴候補」との見方も。
17:00
イーサリアム「フサカ」のメリット一覧|恩恵を受けるのは誰?
仮想通貨イーサリアムはフサカのアップグレードを完了しました。本記事では主にフサカによってどのようなメリットが生まれ、どんな主体が恩恵を受けるのかを考察します。
16:12
アニモカ・ブランズ・ジャパン、BTCFi事業者2社と相次ぎ提携 
Animoca Brands Japanは、Babylon LabsおよびBifrostとBTCFi分野で戦略的提携を締結。自己管理型ビットコイン運用ソリューションの日本市場展開を目指し、上場企業向けDAT支援事業を強化する。
15:52
トランプ一族関連のアメリカン・ビットコイン、BTC保有量で世界20位と発表
トランプ大統領次男エリック・トランプ氏が支援するアメリカン・ビットコインが、39日間で4社を追い抜き世界20位の上場企業BTC保有量を達成。2025年に企業のビットコイン保有が急拡大する中、同社は5,098BTCを保有し急成長を遂げている。
14:58
パンプ・ファンとソラナへの55億ドル訴訟、5000件の内部チャット提出へ
パンプ・ファンとソラナを相手取った集団訴訟で、裁判所が第二次修正訴状を許可。内部告発者から入手した5000件のチャット記録を新証拠として提出へ。40億~55億ドルの不正搾取疑惑でRICO法違反を主張。
13:45
ロシア下院委員長が仮想通貨の国内決済利用を否定、投資手段に限定
ロシア下院金融市場委員会のアクサコフ委員長が仮想通貨の国内決済利用を否定し、投資手段としてのみ認めると表明した。
11:50
JPYC EX、累計口座開設1万件・発行額5億円を突破
JPYC株式会社は、日本円建てステーブルコイン「JPYC」の発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」において、累計口座開設数1万件、累計発行額5億円を突破したと発表。10月のリリースから約2か月での達成となった。
11:45
「ビットコインは最高値更新へ」Bitwise、2026年の3つの予測を公開
Bitwiseは仮想通貨投資家にとって特に重要な2026年の3つの予測を公開。その1つとしてビットコインは最高値を更新すると予測し、根拠を説明している。
11:40
セキュリタイズが来年トークン化株式取引開始、24時間オンチェーン取引を実現
証券トークン化プラットフォームのセキュリタイズが2026年第1四半期にトークン化された上場株式の取引を開始する。合成商品ではなく実際の規制された株式をオンチェーンで発行・取引し、24時間365日の流動性を提供へ。
09:45
ソラナに大規模なDDoS攻撃、ネットワークは現時点で影響受けず
仮想通貨ソラナが過去最大級の6TbpsのDDoS攻撃を受けたが、現在トランザクション処理は正常に稼働している。市場の下落を受けビットワイズのソラナETFは初の純流出を記録した。
09:40
マーシャル諸島、ステラでベーシックインカム支給
マーシャル諸島共和国がブロックチェーンを利用した世界初のベーシックインカムのオンチェーン支給を完了した。ステラーブロックチェーン上の主権債USDM1を使い、四半期ごとの現金配送をデジタル送金に置き換えた。
09:00
ビットコイン、2026年に過去最高値更新は可能か=グレースケールの最新予測
グレースケールは最新レポートで、ビットコイン価格の30%下落について歴史的には平均的な調整範囲内で、強気相場中の典型的な変動に過ぎないとの見解を示した。また、2026年には最高値を更新する可能性があると主張している。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧