62億円以上のビットコインを押収
アイルランドの法執行機関である犯罪資産局が、麻薬の売人から5200万ユーロ(約62.5億円)におよぶ仮想通貨(暗号資産)ビットコインを押収した。
地元メディアによると、裁判所が被告クリフトン・コリンズが麻薬の販売と供給に関与していることを認めた後、犯罪資産局はアイルランド高等法院から、売人の資産凍結命令を受け取った。
49歳のコリンズは、初期段階でビットコインに投資して巨額の利益を得たと考えられている。この投資はおそらく違法薬物販売により得た資金で行われたものであり、裁判所は犯罪収益と見なすことを決定。犯罪資産局は「裁判所の承認なしに対象となる仮想通貨をウォレットから取り出せないようにする」という命令を受けたという。
交通渋滞中に、警察が売人の車に大量の大麻を発見し、アイルランド当局は捜査を開始。警察はある住所でコリンズと関係があるとみなされる大麻を大量に発見した。
今回のビットコイン押収額によって、犯罪資産局(CAB)によって押収された犯罪資産は記録的に多額となり、合計で6200万ユーロ(約75億円)に達するという。
近年、ブロックチェーン関連の捜査技術も向上
仮想通貨は資金が個人のIDにリンクされていない暗号アドレスによって保持されるため、犯罪に悪用されることも少なくない。
昨年8月末、国連麻薬犯罪グローバルサイバー犯罪プログラム室のニールウォルス事務局長は、仮想通貨がマネーロンダリングとの戦いを著しく困難にしていると警告した。
一方、捜査側でも仮想通貨のトラッキング技術が発展し、各取引所も資金洗浄対策のツールを導入することが増えており、ハッキングなどの犯罪者ウォレットや匿名化を図るミキシングサービスを経由した通貨への対策が世界的に整備されてきている。
例えば、米国当局は、約20億円相当のビットコインを資金洗浄したとして、昨年容疑者を逮捕、資金を押収している。
その際、国土安全保障調査団(HSI)の特別捜査官は、証拠と資金の押収のためにブロックチェーン分析家を雇用し、ブロックチェーンデータを用いた犯罪利用の流れを分析したと明かした。
こうした技術向上が、犯罪利用の抑制を行い、市場健全化をしていくことが期待される。