バーチャル会議でCZ氏語る
仮想通貨取引所最大手バイナンスCEOのChangpeng Zhao(CZ)氏は、4月16日、バーチャル・ブロックチェーン会議「BlockDown2020」で、ビットコインや仮想通貨業界の今後の見通しについて語った。
新型コロナウィルスの世界的な感染拡大により、人々の移動が大きく制限され、ブロックチェーン関連イベントの中止が相次ぐ中、このデジタル会議はブロックチェーンコミュニティの人的ネットワーク形成を維持しようと企画された。CZ氏をはじめBitcoin.com会長のロジャー・バー氏、ShapeShiftCEOのErik Voorhees氏など、業界の著名人が参加している。
従来の暴落時とは異なる行動
パンデミックとなった新型コロナ感染拡大で、国際通貨基金(IMF)は、今年の世界経済の見通しを「大恐慌以来の悪化」と予測しているが、CZ氏は世界の経済環境は問題を抱えているものの、仮想通貨取引所の経営は極めて順調だと述べた。
ただし、コロナ危機を受け、3月12日から13日にかけて起こった仮想通貨市場の大暴落に関しては、自身も含めほとんどの投資家が予測していなかった事態だとしている。 経済危機の局面においてはビットコイン価格は上昇すると考えられていたが、株式市場を始め、「有事の金」市場を含む全ての投資市場で資産を現金化する動きが広まり、仮想通貨市場も例外ではなかった。
しかし、大手ベンチマークサイトCryptoCompareが月次報告で指摘しているように、今回の暴落局面(3月13日)では、仮想通貨の現物及びデリバティブ市場において、24時間で759億ドル(約8兆1860億円)という、史上最高の取引高を記録したという。CZ氏は、昨今のビットコイン価格の下落にもかかわらず、取引活動は以前よりも盛んで、主要取引所では3〜5倍の取引が行われていると述べた。
バイナンス幹部によると、従来なら価格が下落し低価格帯に落ち着く際には、取引量自体も減少するとのこと。 CZ氏は現在見られる取引量の急増は、業界への参入者の増加を示唆しているとして、「通常、このような場面では、価格はあまり長くは低迷しない」と述べた。
米国政府の量的緩和措置がビットコインに与える影響
アメリカでは、総額2兆2000億ドル(230兆円相当)というコロナ危機に対する巨額の経済刺激対策法案が成立した。
CZ氏は、ビットコインの供給量は限られているため、法定通貨の供給が増えた場合には、「最終的に数学が機能する」ことになる、つまりビットコインの価格の上昇につながることが考えられると主張した。 ただし、その効果は、多くの市場参加者が望むように今すぐ現れるという訳ではなく、実際にアメリカ市民に現金が行き渡る「数ヶ月」先のことになるのではと予想した。
IEO市場にも期待
さらに、CZ氏は、IEO(取引所が仲介役となる仮想通貨を利用した資金調達)が、有望な市場であるとことに自信を持っているという。ブロックチェーン技術のおかげで、従来の方法に頼らず、グローバルに資金調達が可能となるのは画期的かつ効果的であり、IEOよりも「ブロックチェーン資金調達」という名称の方がふさわしいとした。そして、Binance Launchpadを継続することを表明し、今後10〜20年、IEOプロジェクトとその資金調達額は、毎年増加していくだろうと主張した。