YFIが1ヶ月で1万ドル突破
ビットコイン(BTC)が18日に12,500ドルに到達し、年初来高値を更新する中、市場価格でBTCに並ぶ仮想通貨銘柄が出てきた。
DeFiプラットフォームyearn.financeのガバナンストークン『YFI』は18日、12,000ドルにまで上昇し、取引開始からわずか1ヶ月で市場価格がビットコインに並んだ。7月18日に取引が開始した際、わずか32ドルだったYFIはここ1ヶ月で価格が32,000%上昇している。
YFIは19日時点の時価総額基準のランキングで51位、発行済みのトークン数が29,961YFI(発行上限3万)と少なく、高値を更新し続けたことで、市場価格が1万ドルを超える状況となった。
YFIの指数関数的な価格上昇は、仮想通貨業界でも稀に見る例だ。取引開始当日、32ドル(Coingeckoデータ)から1,000ドルに高騰し、8月1日にはすでに4,000ドルに到達。18日に12,000ドルの大台に達し、現在1万ドルの水準を推移している。
YFIとは
CompoundのCOMPトークンから始まった『イールド・ファーミング』ブームを背景に、yearn.financeはCompound、Aave、Dydx、Fulcrumなどの人気レンディングサービスを利用してトークンの貸し出しを最適化する分散型のアグリゲータサービスを提供。yearn.financeに預け入れた対象トークンは、利子が付く『yToken』に変換され、最も収益性の高いレンディングサービスを利用できるよう、定期的にリバランスされる仕組みが設計されている。
しかしなぜYFIトークンがほかの人気DeFi関連銘柄よりも驚異的なパフォーマンスを遂げているのか、理由はyearn.financeのガバナンス方法にあると見られる。
YFIは他のアルト銘柄と異なり、プレマイン(仮想通貨公開前のマイニング)も、セールもなく、買うこともできない。界隈はビットコインが誕生して以来、初めて見られた純正な分散型ネットワークとしている。開発者のAndre Cronjeは7月に自らプロトコルの管理をすべてのYFI所有者に移し、資金管理の権限を完全に放棄している。
また、YFIは発行上限があり、わずか3万YFIと設定されており、ビットコインで再認識されるトークンの希少性も価格高騰を後押しする。この数はほかのDeFiガバナンストークンに比べ非常に少ない枚数だ。(例:COMPの上限は1000万トークン)
CronjeはCoinDeskに対し、価格の上昇について、YFIの希少性と他のDeFiプロトコルでも利用できる点が追い風になった可能性が高いとコメントしている。
しかし、投機性も強いマーケット環境から市場価格が乱高下する可能性があり、高値掴みのリスクを警戒する声もある。
yearn.financeその他の動向
YFIの高騰要因を読み解くと、上述の希少価値のほかにもyearn.financeに関連する動きがあった。
17日、同プラットフォームはユーザーの資金を保護する目的で、トークン化される保険プラットフォーム「yInsure Finance」を発表。現在yearn.financeにロックされている資金の総価値が6億ドルを超えている規模であるため、保険の提供は多くのユーザーから求められている。
開発者Cronjeは「yInsure Finance」について、「これから数週間、新たなトークン化された保険を系統的にリリースする」と説明した。
BitMEXのCEOもYFIイールド・ファーミング
yearn.financeで提供される利子の高いイールド・ファーミングは既存のDeFiユーザーだけでなく、BitMEXのアーサーCEOも関心を示したことで話題になった。
アーサーCEOはここ数週間DeFiのイールド・ファーミングを研究し、YamやBasedなどのプロトコルについても探っていたという。17日に、「今朝からメタマスクウォレットを忙しく操作し、YFIのファーミングをしている」と、yearn.financeのスクリーンショットをSNSに掲載した。
My metamask and I are busy this morning. Yearn, bitches. Let's go, $YFI to da fucking moon! pic.twitter.com/tKaOfXL0kb
— Arthur Hayes (@CryptoHayes) August 17, 2020
Yamで問題発生
アーサーCEOも関心を示した実験的な色の強いDeFiトークンYam(サツマイモ)は11日(初日)、約5億ドルのトークンがロックされ一時的にYamのファーミングが人気急上昇していたものの、のちにスマートコントラクトのバグが発覚し、99%以上の市場価格の急落が観測された。
事前に発行されたトークン(創業者の保有)、VCの出資やコードの正式な監査も無く、開発チームが10日間で作り上げた実験的プロジェクトであるとリスクについて公式ブログで事前に告知されたが、1つの失敗例として問題化している。