ビットコインの希少性
米金融大手フィデリティのデジタル部門「Fidelity Digital Asset(FDA)」が、ビットコイン(BTC)は希少性において、次の半減期を迎える2024年にゴールド(金)を上回るとの見解を示していることがわかった。
ゴールドは希少性を測るストック・フロー比率(S2F)で最も高い資産だが、今年5月のBTCの半減期で両資産の差は縮小。次の半減期である2024年の後は、BTCがゴールドよりも希少な資産になると、BTC投資をテーマにした2020年最新版のレポートで説明した。
レポートでは、価値の保存手段をテーマに掲げ、2100万BTCと発行上限が定められているBTCの希少性についても解説を行なった。以下はBTCの全供給量(緑)と年間の発行割合(オレンジ)を示したグラフだ。
FDAは「BTCを価値の保存手段と考えている投資家は多いが、まだその認識は広がっていない」と指摘。希少性は価値の保存手段には重要な特徴で、長期的に資産価値を大きく落とさないために不可欠な要素の一つであるとして、BTCの最も革新的な魅力の1つがこの希少性にあるとした。
希少性の説明する中でFDAが用いたS2Fモデル「S2F=市場に存在する量(ストック)/年間生産量(フロー)」は貴金属(ゴールド等)などの希少性と価値を測るモデルとして利用される。ほとんどの商品(コモディティ)は生産量が急増することで市場流通量も急増し、価格が暴落するのが一般的だ。
一方ゴールドなどの希少性が高い商品は、市場に存在する量に対して年間の生産可能量が少なく、供給過多によって価格が暴落することが比較的低いとされる。一方のビットコインは年間に発行される量が規定されていることで、年間年間生産量が可視化されているのが特徴だ。
PlanBモデルを引用
将来的なBTCの希少性とそれに伴う価格予想においてはアナリストのPlanBが、中長期的な相場推移をS2Fモデルで分析している。BTC価格は2024年までに、1BTCあたり28.8万ドル(約3060万円)に到達するという強気予想は話題になった。
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FDAのレポートではPlanBの分析をもとにしたグラフも掲載。ゴールドやシルバーなどの貴金属と、2019年、2020年、2021年、2025年のBTCの希少性を比較した。
グラフ下の説明では、一般的にゴールドの採掘は最大で2035年まで、BTCの新規発行は2041年ごろまでと概算しているゴールドマンサックスのレポートも引用した。
なおS2Fモデルの理論値は、過去の価格とストック/フロー倍率から事後的に算出されたものにすぎず、このモデルは新規発行という「供給面」のみから分析を行っている。
そのため、資産の価格形成は需要と供給の両面によって成り立つものであり、「需要面」も考慮に入れる必要があるとの指摘があるが、FDAも長期的な価値を保つためには、需要面を考慮することも重要であると結論づけている。
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参考資料 : FDA