Swell2020開幕
米リップル社が日本時間14日午後4時より、最大級の年次グローバルカンファレンス「Swell2020」の幕を開けた。今年は新型コロナの世界的感染の影響で、初のバーチャル開催となった。
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Swellについて
Swellは、リップル社が2017年から毎年1度主催する大型カンファレンスだ。リップル社に関する新規プロダクトや今後の事業展開の発表に加え、世界的著名人の招へい等を例年行っており、内容についても注目される。
今年のSwellカンファレンスは、本家開催となる今回のグローバルカンファレンス版以外、7月〜9月にかけて、5つの地域で地域型カンファレンス「Swell Regionals」が開催された。
7月29日にNorth America(北米)、8月13日にMENA(中東と北アフリカ)、同26日にAPAC(アジア太平洋)。また、9月2日にLATAM(ラテンアメリカ)、16日にEurope(欧州)で計5回の開催が行なわれた。
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世界銀行責任者が語る「金融包摂」
フィンテック・金融包摂のセッションで、世界銀行グループの「金融包摂・インフラ・アクセス」のプラクティスマネージャーを務めるMahesh Uttamchandani氏は、自身が担当する「金融包摂」に関する職務や、金融包摂の重要性について語った。金融包摂はリップル社がRippleNetを通して推進してきたメインテーマでもある。
世界銀行グループでは、主に決済、金融プロテクション、債務再建や金融包摂、デジタル金融サービスなどの金融インフラを担当し、「金融システムの配管作業」と喩えた。
金融包摂については、以下のように説明している。
金融包摂を目指す上で大きな目標として掲げたのは、「極度の貧困の撲滅」、及び「繁栄の共有促進」の2点であり、こちらは世界銀行グループの2つの目標でもある。
金融包摂が実現するのは、すべての基礎的な金融サービスにアクセスできることだ。
それに関して、極度の貧困にあたる人にとって貯金や送金、投資を可能にすることは、金融的レジリエンス(立ち返る力)を与えると指摘。実際にケニアで導入されたMペサ(非接触型決済、送金、マイクロファイナンスなどを提供するサービス)を例に挙げ、同システムを利用した人々の方がMペサを利用しなかった人に比べ、金融ショックに対するレジリエンス能力が高かったと述べた。
こうして徐々に金融的なサービスを構築することにより、医療や教育などの重要な分野においても個人の投資を可能にすると、Uttamchandani氏は考えているという。
金融包摂の課題点と改善
一般的に貧困層に金融サービスの提供がこれまで避けられてきた要因の一つとして、Uttamchandani氏はサービスプロバイダ側に利益(ビジネスチャンスなど)が少ないことが課題だったと説明。しかしデジタル化によりコスト単価を抑えながら、貧困層に金融サービスを提供できるようになった。また同時に取引の速度と透明性も向上し、ユーザー層のニーズにあったサービスの提供は可能になっている。
実際2014年から2017年の間で、サブサハラ・アフリカ地域では一般的に銀行などの伝統的な金融サービスにアクセスできるエリアと比べて、口座を作ったユーザー数が2倍増えたという。またこれらのユーザーの地域データーを参照すると最寄りの銀行が数日かけて移動しないといけない距離だったため、デジタル化によって金融包摂は大きく進んでいる、とUttamchandani氏は述べた。
「カスタマーインパクト賞」
リップル社のSVP(上席副社長)Marcus Treacher氏が登壇しエンドユーザーへの価値を提供した企業を表する「カスタマーインパクト賞」の受賞者を発表した。
まずはエンドユーザーに価値、速度と確実性を提供した企業を表する「カスタマーインパクト賞」の受賞者を発表し、2020年はベトナムのTPバンクとサウジアラビアのSABBが選ばれた。
TPバンクはベトナムの著名銀行で、デジタル面における変革とイノベーションで知られており、2019年にはベトナムで初めてブロックチェーン技術およびRippleNetのクロスボーダーペイメント(国際送金)を導入した。ベトナムでは移民労働者の数が年々増加しており、TPバンクはこの層に効率的で速い送金取引を提供することで社会貢献を果たした。
また、SABB(サウジ・ブリティッシュ・バンク)はサウジアラビアで3番目の著名銀行で送金サービスのスピードで認知されている。リップル社の技術を導入し小売銀行にコストを抑えた送金を提供を実現。結果的により優れたカスタマー体験がマーケットシェアの拡大につながった、とTreacher氏は述べた。