はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

米政府「仮想通貨マイニングの規制策定は必要」 大統領令に基づくレポート第1弾を遂に提出

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

大統領令のレポート第一弾

アメリカ合衆国科学技術政策局(OSTP)などの米政府機関らは8日、暗号資産(仮想通貨)やマイニングが米政府の気候変動目標に与える影響に関するレポートを発表した。

同レポートは22年3月にバイデン大統領が仮想通貨に関する大統領令に応じて執筆されたもの。6ヶ月後をメドに6以上の項目に関するの調査を指示しており、今後も関係省庁からの発表が予想されている。

今回の報告書は仮想通貨や分散台帳技術が気候変動目標に与える影響の考察に関する内容だ。

関連:米バイデン大統領、仮想通貨に関する大統領令に署名

米政府は2030年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を50%削減する目標と2035年までに二酸化炭素(Co2)汚染ゼロ、そして2050年までの実質排出量ゼロを目標に設定している。

特に、パリ協定を脱退したトランプ政権とは対照的に、バイデン政権では環境目標を主要政策に掲げており、気候変動目標を達成できなかった場合は米国のGDPに3~10%の影響を与えるリスクがあると指摘した。

ただ、仮想通貨、特にマイニングによる集中的な電力消費はこうした米政府の取り組みを妨げる可能性があると懸念。今回のレポートでは以下の4点に焦点を置き、仮想通貨業界の消費電力とその影響、そしてそれを規制する為の方針や政策提言をした。

  1. 仮想通貨業界の電力消費が与える影響
  2. 影響の規模とそれに対応するために必要な規制
  3. ブロックチェーンを利用した気候変動リスクを低下するためのユースケース
  4. 今後必要な規制や監視体制

仮想通貨の電力消費が与える影響

米OSTPは2022年8月時点で仮想通貨業界の年間消費電力は1,200億〜2,400億キロワットにのぼるとする分析を発表。これは国家規模ではアルゼンチンやオーストラリアと同等水準で、世界的には年間の総消費電力の0.4~0.9%に匹敵する。

出典:whitehouse.gov

また、現時点ではPoW(プルーフオブワーク)を採用するビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は仮想通貨市場の時価総額において6割以上を占めると指摘。ただ、2022年8月時点では、ビットコインは仮想通貨業界全体の60〜77%、イーサリアムは20~39%の電力を消耗していると分析した。

なお、イーサリアムは9月中旬に控えるThe MergeのParisアップグレードが完了次第で、PoS(プルーフオブステーク)への移行を控える。PoS移行後は消費電力が99%削減できるとの予測も出ている。

関連:イーサリアム財団「ETH2.0移行後は消費電力が99%削減」

今回のレポートで、PoWの代替ブロックチェーンとしてPoS版イーサリアムやソラナ(SOL)、カルダノといったPoS銘柄が取り上げられている。

関連:Parisアップグレードの注目ポイントとは

「相場に連動して消費電力も変動」

米国では中国政府のマイニング禁止令以降、ハッシュレートが増加しており、2021年には遂に中国を追い越して世界最大のマイニング国家に成長。特に、テキサス州における採掘拠点が目立ち、州の消費電力の3割に相当する25ギガワットも負荷が増える可能性があると考察した。

関連:ビットコイン、採掘シェアは米国1位に=英ケンブリッジ大学の最新データ

しかし、増加する電力消費に反面で仮想通貨市場に応じて消費電力も上下する傾向があると指摘。2021年7月から2022年1月にかけて67%増加したグローバルでの消費電力は22年8月には17%も減少していた。

出典:whitehouse.gov

実際に、ビットコイン・ネットワークのハッシュレート(採掘速度)はBTC価格の下落に連動する形で低下する傾向がある。

関連:難易度調整は1年ぶりの下落幅を観測

仮想通貨の電力消費規模

米政府は仮想通貨業界全体で推定1.4億トンの二酸化炭素(Co2)を排出し、世界のは0.3%に匹敵する規模の影響があると分析。米国においては国家全体の0.4~0.8%と米国における鉄道業界と同等の環境負荷を記録した。

また、温室効果ガス以外にも、データセンター近辺の電力網への影響、騒音や水質への影響、空気質など環境保護への懸念も多数存在すると米政府は指摘。連邦政府が責任ある発展を保証する行動を取り、地元への影響を削減する為の基準を策定すべきだと提言している。

米国においても多数のマイニング拠点の設立が目立ったテキサス州では2021年2月に豪雪で大体的な停電を経るなど、以前から電力網の不安定性が目立っていたが、2022年夏は猛暑でマイニング企業が稼働停止をせざるを得ない状況も発生。

近隣住民の電力コストの高騰も懸念されるなど、実需を考慮した消費電力量などの基準も必要性が高まっている。

関連:米テキサス州、仮想通貨採掘企業が事業を一時停止 電力網を逼迫

ブロックチェーンを利用した気候変動リスク削減のツールは

一方で、マイニングとともに仮想通貨の基盤となるブロックチェーン技術や分散型台帳技術(DLT)を活用して、エネルギー資源やサプライチェーン管理の効率性向上するポテンシャルがある点も認め、米政府は適切な格好でイノベーションを促進すべきと提言。

新たなユースケースはまだ表れていると今後の有望性も認めた格好だ。

関連: 米石油大手企業、ビットコイン採掘業者にフレアガスを提供

必要な規制判断や調査題目

これらの要素を考慮して、米OSTPは仮想通貨規制はクリーンエネルギーへの移行を支援する必要があると指摘。以下の条件を満たす規制方針が必要だと提言した。

  • 温室効果ガスの削減に貢献
  • 近隣住民の電力コスト増加を阻止
  • 電力網を逼迫する運用の回避
  • 近隣地域への環境リスクの低下

また、有識者や業界団体などと連携して、エビデンスに基づいた環境負荷を制限する基準を設けるべきだと助言した。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
06/29 日曜日
11:30
ビットコイン下降チャネル上限届かず、PCE発表控え押し目形成の可能性に注意|bitbankアナリスト寄稿
今週の週次レポート 国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。 目次 ビットコイン・オン…
11:00
週刊仮想通貨ニュース|メキシコ大富豪のBTC価格上昇予測に高い関心
今週はメキシコ大富豪のビットコイン価格上昇予測、米テキサス州のビットコイン準備金設立法案成立、金融庁の仮想通貨規制審議に関するニュースが最も関心を集めた。
06/28 土曜日
14:00
仮想通貨配分を4割まで推奨、米著名金融アドバイザー「従来60-40モデルは時代遅れ」と見解
著名金融アドバイザーのリック・エデルマン氏は最新見解で仮想通貨ポートフォリオ配分を従来の1%から最大40%へ大幅引き上げを推奨。
13:15
米上場Genius Group、ビットコイン買い増し構想 勝訴した際の損害賠償で
NYSE上場のGenius Groupが、訴訟勝利の場合に得られる推定10億ドルの50%をビットコイン購入に充当する計画を発表した。昨年よりビットコイン財務戦略を採用している。
11:26
イーサリアム取引量史上3位、価格低迷でもネットワーク急増
イーサリアムが6月25日に175万件の取引を記録し史上3位を達成。価格は低迷するもネットワーク活動は活発化、従来のアルトシーズン理論に変化の兆しになるか。
10:25
イスラエル当局、仮想通貨報酬によるスパイ容疑で3人逮捕=レポート
イスラエル当局がイラン諜報機関の工作員3人を逮捕。仮想通貨で報酬を受け取り、9000万ドル被害のノビテックス攻撃との時期的関連が注目されている。
09:45
ポリマーケットの評価額10億ドルに達する見込み USDCにも恩恵か=コインベース
分散型予測市場ポリマーケットが2億ドル資金調達しユニコーン企業になる見込みだ。コインベースは、ポリマーケットの台頭はステーブルコインUSDCにも恩恵になると分析している。
08:50
ストラテジー株トークンなど主要銘柄、Gemini EU向株式サービス開始
仮想通貨取引所Geminiが欧州連合でトークン化株式サービスを開始。マイケル・セイラーのストラテジー株を皮切りに、24時間365日取引可能な新金融サービスを提供する。
08:00
ブータン、ビットコイン保有額が13億ドルに到達
ブータンが、仮想通貨ビットコインを13億ドル相当保有していることが注目を集めている。この保有額は同国のGDPの40%に相当する。
07:55
リップル、SEC相手の控訴を取り下げ 5年間の法廷闘争が終結へ
リップル社のガーリングハウスCEOが28日、SEC相手の控訴を取り下げると発表。約5年間続いた法廷闘争が終結し、同社は事業発展に注力する方針を示した。
07:10
米仮想通貨銀行アンカレッジ、USDC等の段階的廃止発表 業界から「利益相反」批判
米仮想通貨カストディ銀行アンカレッジがUSDCとAUSDの段階的廃止を発表、ステーブルコイン安全性評価で業界から自己利益優先との批判を受ける。サークル株価は15%と大幅安。
06:49
韓国カカオペイ株急落、ステーブルコイン規制懸念が背景か=報道
韓国カカオペイ株がステーブルコイン参入期待で急騰後17%下落、投資リスク銘柄指定で売買停止。米サークル株も15%安と波及か。
06:15
ロビンフッド、XRPとソラナのマイクロ先物契約を開始
米デジタル証券大手ロビンフッドがマイクロ先物でXRPとソラナを追加、ビットコイン金曜先物のマイクロ版も提供開始し仮想通貨商品を拡充。
06:00
ビットコイン取引が快適なのは?主要取引所を手数料・板の厚み・ツールの充実度で徹底比較
暗号資産(仮想通貨)ビットコインの売買や送金におすすめの国内取引所について、メリットとデメリットを徹底比較。手数料・スプレッド・送金速度、セキュリティ、積立・レンディング機能などを調査しました
05:55
トランプ大統領発言「ビットコインがドル圧力緩和」仮想通貨産業の雇用創出を評価
トランプ大統領が28日記者会見でビットコインのドル圧力緩和効果を言及、米国の仮想通貨産業構築と雇用創出への前向きな評価を表明。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧