余剰ガスを採掘企業に提供
米国の大手石油企業ConocoPhillipsは15日、試験的な取り組みとして、余剰ガスを暗号資産(仮想通貨)採掘企業に提供していることを明らかにした。企業担当者の話としてCNBCが報じた。
ConocoPhillips(コノコフィリップス)社は、米テキサス州に本拠地を置く世界的石油企業。2020年より環境負荷を減らす「気候リスク戦略」を掲げており、2050年までのグリーンハウスガス排出量実質ゼロ、2030年までのフレアガス排出量ゼロを目指している。
フレアガスの仕組み
フレアガスは石油の精製時に発生するガスを処分するために行われるプロセス。メタン以外の物質が混合していたり、需要が供給量に追いつかない場合などには余剰ガスを燃焼(フレア)して処分する。
そこで余剰ガスを再利用する手段として着目を集めているのが仮想通貨のマイニングだ。コノコフィリップス社は余剰分のガスを第三者企業に売却して、その企業がビットコイン(BTC)などの仮想通貨採掘に利用していると関係者は説明した。
採掘企業はマイニングASICを搭載したトレーラーを油井付近に移動、その場でガスを電力に変換して仮想通貨マイニングを行う格好だ。
なお、コノコフィリップス社の担当者はどのマイニング企業にエネルギーを提供しているかや、取り組みをどれくらい続けているかは明らかにしていない。
米国のマイニング業界
だが、昨年5月に中国政府が仮想通貨マイニングに対して禁止令を発令して以降、米国におけるマイニング企業の存在は強まりつつある。
ケンブリッジ大学の統計によれば、21年夏以降は米国がビットコインネットワークにおけるハッシュレート(採掘速度)の世界1位(35%)に浮上。特にテキサス州などがデータセンターの拠点として注目を集めている。
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また、再生可能エネルギーなど、環境負荷を考慮した取り組みも主流化。水力発電や火山熱を利用した地熱発電など、国連の掲げる持続可能な開発目標(SDGs)に沿った取り組みが普及しつつある。
持続可能な開発目標(SDGs)とは
国際連合が提唱する2030年までの国際目標。「誰1人取り残さない」持続可能(サスティナブル)で多様性と包摂性のある社会実現を目指す為、17の目標やターゲットと指標を定めている。
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他にも、北米大陸の先住民であるナバホ族も近年太陽光発電に着手していたものの、余剰電力を消費できない事態が発生。カナダの仮想通貨企業と連携して、消費されていなかった電力でビットコイン・マイニングを開始することができた。
なお、北米の大手マイナー企業らが設立した業界団体「ビットコインマイニング評議会(BMC)」によれば、持続可能エネルギーの利用率はドイツやEU圏など多くの国々を上回る66%を記録した。
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