欧州で仮想通貨規制の統一へ
欧州議会は20日、暗号資産市場(MiCA)法案を可決した。これにより、EU全域で暗号資産(仮想通貨)に関する法制が統一される。
MiCA規則は「Market in Crypto Assets」の略で現行のEU法に規制されていない仮想資産の規制を統一化し、ユーザーや投資家を保護することを目的としている。ステーブルコインやその他のデジタル資産取引の規制に重点を置いており、ライセンス制度や消費者保護要件などを定めている。
この規制は、仮想資産サービスプロバイダーや発行者にとって単一のライセンス取得でEU全域で事業展開が可能になる。規制区分としては欧州銀行監督機構(EBA)と欧州証券市場機構(ESMA)の管轄下に置かれる。
関連企業は提供する資産ごとに詳細なホワイトペーパーを作成することを含め、仮想資産の発行や取引に関する透明性や開示要件、及びトラベルルールに準拠する必要がある。
ステーブルコイン発行者は、顧客資金をバックアップするために十分な現金を保有することを含む厳格なルールに従う必要がある。透明性や開示要件において、特性やリスク、価格安定化メカニズム、資産の保管方法を白書やウェブサイトで公開することが求められる。また、資産の流動性や信頼性を確保し、監査やストレステストを定期的に実施し、トークン保有者に対する優先権や償還権を保証する。
MiCA規則はすぐに施行されるわけではなく、欧州理事会によって正式にEU法として承認された後に制定される。その後、EU証券監督機関であるESMAが、MiCAの適用方法に関する詳細なガイダンスを作成することになる。ステーブルコインに関しては2024年7月にも施行され、トラベルルールを含むその他の要件が2025年1月から施行される見通しだ。
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規制の明確化
この法案は賛成517票、反対38票、棄権18票で可決された。業界関係者は規制の明確性を高く評価しており、他の地域も追随することが期待されている。
コインベースのTom Duff Gordon国際政策バイスプレジデントは、MiCA採択を評価し、EUが新興技術の可能性と社会的有望性を認識していると強調した。
バイナンスのRichard Teng欧州・中東地域責任者は、規制状況が前進し、EUがWeb3企業にとってイノベーションと人材獲得の魅力的な場所になったと述べた。また、同社が今後12~18ヶ月の間に、MiCAに完全に準拠するためにビジネスを調整する方針を示した。
なお、MiCA規制は仮想通貨レンディング、分散型金融、NFTには対応していないため、「MiCA 2」の検討を求める声も挙がっている。