CoinPostで今最も読まれています

V20で財務省とFATFが仮想通貨規制に言及「消費者保護と技術革新を」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

財務省とFATF、Q&A
大阪でG20と並行開催された「V20」にて、日本の財務省副財務官三村氏と、FATFの書記官Tom Neylan氏などが登壇する重要セッションが行われた。参加者が提起したFATFのガイダンスの実施や「リブラ」などに関する質問を受け、様々な意見を述べた。

財務省とFATF、Q&A実施

大阪にてG20と並行開催された「V20サミット」にて、日本の財務省副財務官三村 淳氏、FATFの書記官Tom Neylan氏、FATF元理事長 Roger Wilkins氏が1セッションで登壇。参加者が提起したFATFのガイダンス実施やAML規制などの質問を受け、自身の見解を述べた。

V20は、Virtual Asset Service Provider(VASP)が主体となるサミットであり、今後の国際的な仮想通貨エコシステム(送金や決済領域など)を踏まえた上で、業界の展望で重要となる動きの一つだ。特にこのセッションは日本の財務省とFATFの方々が話したセッションとして注目を集めた。

CoinPostもこのサミットに参加、今回はQ&Aにおける最重要な内容を以下のように掲載する。

Coinpost撮影

FAFTの専門知識とその収集手段

FATF(金融活動作業部会)の加盟国である日本が今年のG20主催国を務める。V20にも登壇した副財務官の三村氏は、FATFの持つ仮想通貨業界に関する専門知識の収集手段について、説明を行なった。

三村氏は、G20を中心に先進的な政策作りを求めているが、まずはG20がメンバー国にどのような課題があるか明確化する必要があると語った。

現在、金融セクターにおける資金洗浄(AML)とテロ資金対策(CTF)を取り巻く新たな技術(仮想通貨やブロックチェーンなどのフィンテック)と見られた時点で、FATF側が専門機関へリサーチを依頼。その結果をG20に報告するという。

2018年のG20が終了したのち、グローバルな仮想通貨業界に対する規制整備の促進が必要とされた状況の中で、FATFはそれら第三者民間企業と連携し、様々なソリューションを模索している。

民間企業との連携を取り組んでいる理由としては、「FATFは勧告する規制の基礎が業界、規制側にとっても有意義になるためには、業界の最新状況を常にアップデートする必要性がある」と、FATFが業界とともに歩んでいく姿勢を三村氏が示した。

「仮想通貨業界と伝統金融が一致する」

次に、三村氏は日本に関する仮想通貨の規制環境に関する質問に答えた。

日本の仮想通貨に関する規制が整っている理由について、以前より巨額資金流出事件などが起きた結果だとみる意見もあるが、国内における厳格なAML/CFT水準を遵守するために、仮想通貨業にも携わっている大手金融機関の参入が世界に先駆けてあった点が大きかったとして、質問を行なった参加者はその一例にSBIホールディングスを取りあげた。

そのなかで、仮想通貨業界に参入する日本の大手金融企業の他にも、「SBIのようにAML/CFTのツールを運用している金融企業はごくわずかであると前提を話したうえで、「未だ伝統金融においてもAML/CFTが企業を悩ます課題に対して、日本政府側はどのように対応するのか?」について、三村氏が回答した。

この質問に対して、三村氏は「厳しい金融規制は任意でなく、必然的である。仮想通貨ビジネスが伝統金融と同じような規制条件を守るのは、むしろこの2つのセクターのコンプライアンスと信頼度が一致することだ。業界の健全化には前向きな動きである。」と解釈した。

FATFのガイダンス拘束力について

FATFは直接的な規制者でなく、規制のフレームワークに関わるリサーチと勧告の発表を行う国際機関である。日本などの加盟国は、そのFATF勧告に対して取り組み自国の法的規制に反映する。

6月21日に発表された「暗号資産監督ガイダンス」では、具体的な勧告内容が公開された。この勧告案に関して、加盟する国が仮に実施を遅らせることや、実施しない場合はどうなるのか?「FATFは警告を通達するか否か」との質問が参加者から提起された。

この質問に対して答えたFATFのNeylan氏は、日本のフルコンプライアンスの意思とその行動を肯定しながら、今秋に実行される予定の対日第4次相互審査については、仮想通貨領域に関してG20の主催国を務める日本が良い例を示すことに期待感を示した。

FATFは加盟国と地域で、AML/CFTの実施状況に関して、約10年ごとに相互審査を行うことになっている。日本では5月に成立した「改正資金決済法」の法改正は、金融庁の立入検査による業務改善命令や、この相互審査予定を踏まえたものであることから、FATFから低評価を受けないための複数の対策を行なっている。

一方、Neylan氏は、FATFのガイダンスが「規制評価、技術評価などの項目をカバーしているため」、全ての加盟国が同時に採用する可能性は低いと見ているという。しかし、FATFがそれら遅れる国を突き放すのでなく、ガイダンスの採用準備期限が経った5年後(2025年)に再びそのコンプライアンスの審査を行い、評価すると、包括的かつ前向きな方針を示した。

FATFにおける「リブラ」の見方とは

フェイスブック主導で開発されている仮想通貨「リブラ」は、ホワイトペーパーが先日公開さればかりであるが、複数の国の中央銀行や財務省、あるいは国会によって、自国のみならずグローバル金融安定を揺るがす脅威として不安視または、調査が示唆されている状況にある。

日本では、日銀の黒田総裁も先日リブラについて記者に質問を行い、「リブラの報道自体は認識しているが、内容は十分承知しておらず、具体的なコメントは差し控える。」と言及。「日銀としては、どのようなものであれ、支払い決済手段として人々の信任を十分確保し得るのか。金融システムにどのような影響を及ぼし得るのか。内外の関係当局と連携しながら、動向について注意深く見ていきたいと考えている。」と、引き続き注視する必要性を示している。

今回のQ&Aの中でリブラについて質問された財務省の三村氏は、財務省では未だ「リブラ」について具体的なレビューを行なっておらず、G20とFATFもリブラに関する報告は未だ無いと明かしながらも、個人的見解を述べた。

今、リブラは世界各国の規制者に注目されているが、FATFとしてはAMLとCTFにおけるハイ・スタンダードのフレームワークを構築したが、リブラに関しては、適用する一般基準は規定していない。

いずれはレビューし、対応する基準も検討する可能性はあるが、消費者を保護すると同時に、技術革新も推進したいと考えている。

V20の模様に関しては、仮想通貨メディアCoinPostとして参加している編集長の各務(@coinpost_kagami )が最新情報や現地の雰囲気をお届けする。

V20関連記事

【V20速報】他国納税など仮想通貨の規制逃れを防ぐために|JBA会長の加納氏が世界基準の必要性を強調
本日開幕した仮想通貨サミットV20に、bitFlyer Blockchain代表の加納氏が登壇。仮想通貨に係る規制の一貫した基準の制定を重視しながら、日本の規制体制について独自の見解を述べた。
【大阪V20速報】FATFの書記官が発言「仮想通貨業界の規制は怪物ではない」
仮想通貨業界サミット「V20」は現在大阪で開催中。先日発表されたFATFのガイダンスについて、初めて同機関からの解説が行われた。最適な規制ガイダンスは未だ模索中という。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/20 月曜日
17:07
コインチェック、ブリリアンクリプトトークン(BRIL)のIEO予定を発表
コインチェックは20日、「Coincheck IEO」において、暗号資産(仮想通貨)ブリリアンクリプトトークン(BRIL)のIEO予定を発表した。本IEOは国内における6例目で、上場企業100%子会社による初のIEO。
16:39
仮想通貨企業の資金調達、2024年第1四半期に急増=レポート
大手投資データプロバイダー「PitchBook」は、2024年第1四半期の仮想通貨市場レポートを発表。ビットコインETFの承認を背景にスタートアップ企業が518件の取引で総額3,741億円の資金調達に成功したことが明らかになった。
14:03
米国の経済制裁対象国ベネズエラ、仮想通貨マイニングファームへの電力供給停止へ
ベネズエラ政府は、電力需要への影響を避けるため国内すべての仮想通貨マイニングファームを電力システムから切り離すと発表した。
11:46
ビットコインの週末相場は高止まり、オンチェーンデータは「利確フェーズ」の終焉を示唆
FRBの利下げ期待を背景にNYダウが史上初の4万ドルに達するなど米国株指数が好調に推移する中、オンチェーンアナリストはSOPR指標を分析。2ヶ月間の利確フェーズが終わりつつあることを指摘した。
11:19
仮想通貨ウォレットのファントム、米国のApple Storeユーティリティランキング3位に浮上
ソラナ基盤の代表的な仮想通貨ウォレットとして普及した「Phantom Wallet (ファントムウォレット)」(現在はマルチチェーン対応)が、米Apple Storeのユーティリティ・アプリで3位にランクインした。
05/19 日曜日
12:00
ビットトレードのビットコイン・ピザ・デー記念キャンペーン シバイヌなどが当たるチャンス
暗号資産(仮想通貨)取引所ビットトレードの特別企画。ビットコイン・ピザ・デーを記念して、シバイヌ(SHIB)やドージコイン(DOGE)も含む豪華景品が当たるラッキールーレットキャンペーンが開催される。2024年5月20日から24日までの期間限定。
11:30
オプション市場では6.5万ドルと7万ドルストライクに建玉集中、翌週の展望は?|bitbankアナリスト寄稿
CPI発表後のテクニカル分析や6.5万ドルと7万ドルストライクに建玉集中するオプション市場を踏まえ、bitbankのアナリスト長谷川氏がビットコインチャートを図解。今週の暗号資産(仮想通貨)相場考察と翌週の展望を探る。
11:00
週刊ニュース|金持ち父さん著者キヨサキ氏のBTC投資推奨に高い関心
今週は、金持ち父さん著者ロバート・キヨサキ氏による仮想通貨ビットコイン・金・銀投資の推奨、ジャック・ドーシー氏のビットコインについての発言、GameStop株やミームコインの暴騰に関するニュースが最も関心を集めた。
05/18 土曜日
21:00
Clearpool Prime、アバランチでデビュー RWA対応のプライベート・クレジット市場
Clearpool Primeがアバランチでローンチし、RWA分野に新たな進展。機関投資家向けに安全かつ効率的な取引環境を提供するプライベート・クレジット市場。
17:20
バイナンス上場銘柄の80%が価値低下、ミームコインは異例の上昇 過去6か月の分析
31トークン分析が示す課題 暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(グローバル版)で、過去6か月に新規上場したトークンの80%以上が、その後に価値を落としていることがわかった。ミ…
13:00
米国のビットコイン現物ETFへの5月の流入額、4月の流出上回る
ブルームバーグのETFアナリストは、5月に入ってからの米国ビットコイン現物ETFへの流入は、4月の流出を埋め合わせたと指摘した。
11:10
米下院、SECの仮想通貨規制役割明確化の「FIT21法案」を採決へ
米国下院は、仮想通貨に対する規制を明確化し、CFTCに追加権限を与える「21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法」の採決を行う。
10:15
米コインベース、「来週イーサリアム現物ETF承認確率は30~40%」
米仮想通貨取引所コインベースはイーサリアムの今後を予測するレポートを発表した。ETH現物ETFが承認される時期などについて分析している。
08:50
仮想通貨取引所クラーケン、欧州でUSDT非対応を検討
テザーCEOは最近、MiCA規制を批判し、仮想通貨USDTで規制を受けるつもりはないと述べた。この姿勢が、欧州で事業を行っているクラーケンが、それらの通貨ペアの提供を停止する理由と見られる。
08:00
「仮想通貨上昇の鍵はマクロ経済」コインベース分析
仮想通貨相場上昇の鍵は今もマクロ経済であるとコインベースは分析。他にも、イーサリアム現物ETFの審査など規制動向も注視すべきだとした。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア