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高い投機性のDeFi(分散型金融)ブーム、中国市場から読み解く新たな風潮

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

中国の最新トレンド

6月〜8月、DeFi(分散型金融)のイールドファーミングが仮想通貨セクターを席巻していた頃、水面下で仮想通貨関連活動が活発に行われる中国コミュニティでは、グローバルとの相違が明らかになっていった。

中国・中華圏の仮想通貨コミュニティが活用するSNSアプリのWeChat(微信)でのキーワード検索の3ヶ月データによると、中国ではグローバルコミュニティに遅れて、9月2日に「DeFi」の関連検索がピークを迎えた。

検索結果を見ると、WeChat上の全体的なDeFi検索トレンドとして、およそ8月10日より検索数が大幅に増加し、8月29日に一時急落したものの、9月2日に期間内の最高検索数を記録した。

9月2日に記録された検索数が、839,932回で、同日のBitcoin(5,817回)とETH(108,436回)を大幅に上回っていた。しかし、その後検索は急落し、8月22日の水準(約24万回)に戻っている。

出典:WeChat

9月2日は、新興DeFi関連銘柄の「SUSHI(寿司)」トークンが、創業者の売り抜け騒動を発端に前日高値から一転して急落。キムチコインなどいわゆるフードシリーズのイールドファーミングブームに連れられる形で、バブル気味だったセクター崩壊を招いた。

出典:TradingView

DeFi主導の相場下落に伴い、DeFiプロトコルにロックアップされている資産総額も大幅に減少。2日の最高値の96億ドルから一時68億ドルに低下したが、余韻は残っており、再び77億ドルへと回復しつつある。

出典:DeFiPulse

このように、WeChat上の「DeFi」関連検索の減少は、DeFiセクターの失速による関心度の変化を反映している。

中国DeFiブームの始まり

「DeFi」関連検索は、価格調整に伴い大幅に減ってきているものの、中国におけるDeFiセクターへの関心度は始まったばかりとの見解も見られる。

7月上旬、DeFiエコシステムに詳しいVC投資家兼アナリストのAndrew Kangは、「DeFiの認知度が一般的に広まっておらず、中国人投資家の注目度も低い」と指摘。中華マネーが本格的に流入していない点を挙げ、DeFiがまだバブルには至っていないと論じた。

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中国勢が大挙して参入し始めたのは7月中旬頃で、新興イールドファーミング戦略プラットフォーム「yearn.finance(YFI)」のハイリターンのイールド戦略が起爆剤となったと言える。

イールドファーミングとは、需給バランスによって常に変化する利率に応じて流動性の提供先を変え、最も大きなリターンを得る取り組みのこと。

流動性マイニングはイールドファーミングを行う人達を惹き付けるために、流動性提供の対価として利息の他にガバナンストークン(ガバナンスへの参加権を表現するトークン)が付与されることを指す。

YFIのハードフォーク版プラットフォーム「YFII」は、YFIトークンの取引開始から約1週間後に中国デベロッパーによって立ち上げられた。UIが重視される中華圏ユーザーに向けて、YFIIはスマホのアプリもリリースされた。以下は、中国事情通のDovey Wanが掲載したYFIIのアプリ画像だ。

また8月中旬には、中華圏で人気の高い仮想通貨銘柄トロン(TRX)が、独自DEX(分散型取引所)「JustSwap」をローンチ。

中華圏ユーザーから不動の人気を誇る仮想通貨取引所バイナンスでも、JustSwapの独自トークンJST、YFII、およびその他複数DeFi関連銘柄を相次いで上場させたことも、中華圏のDeFi認知度を大幅に高めた要因の一つと見られる。

中華圏DeFiでは、これまで「ビットコイナー」といった仮想通貨の古参投資家の参入もコミュニティを拡大した要素だ。Doveyによると、F2Poolの共同創設者@bitfish1などの初期ユーザーもイールドファーミングに身を投じ、「ビットコインを増やすために、ファーミングに努めていた」という。

同時期を境に、SushiSwapの中華圏コミュニティも急拡大している。

中国仮想通貨メディアの変化

中国語の仮想通貨メディアでも、DeFi関連のニュースの報道頻度にも変化が見られる。8BTCや金色財経などの大手中華系仮想通貨メディアでは、直近2ヶ月ほどでDeFi関連のトピックを頻繁に取り上げており、幅広い層への認知につながった。

中華圏でも、やはり発端は今年6月より始まった「COMP」トークンの流動性マイニングであり、価格高騰に伴い関心度も急速に高まっていったとされる。

出典:金色財経

WeChatでの「DeFi」検索数は、相場一服に伴い減少しつつあるが、一定のユーザーに浸透・主要取引所で普及し始めていることから、今後もイールドファーミングを行なう業者、及びユーザーは、形を変えつつ継続するものと思われる。

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