はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

カナダ中銀「金融リテラシーの低い層ほど高い仮想通貨保有率」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

カナダ中銀の仮想通貨調査

カナダの中央銀行が発表したレポートで、金融リテラシーが低い方が、暗号資産(仮想通貨)を保有する率が高いという結果が示され、論議を呼んでいる。

このレポート(CAS=Cash Alternative Survey Results、現金代替調査結果)は、急激に決済のデジタル化が進む中、中央銀行であるカナダ銀行が、カナダ人の現金利用に関する実態に関する調査結果をまとめたもの。レポートの大半は現金の利用状況とキャッシュレス社会に対する認識に割かれているが、仮想通貨がデジタル決済手段の一つであること、また、中銀発行のデジタル通貨(CBDC)に関する研究の一環として、CASでは、仮想通貨の採用動向にも注目している。

調査方法とその内容

CASは2019年の8月と9月に実施され、回答者は現金の利用、デジタル決済手段の採用、そして経済から現金が消失することの影響に対する見解についてのアンケートに答えた。ただし、回答者の性別や所得、教育、雇用状況などにおける偏りを軽減するため、国勢調査に基づいた人口統計の分布と一致するように結果を校正したという。

仮想通貨の認知度と金融リテラシーの関係

2019年のCASに先立って行われた、2017年の決算手段調査では、金融リテラシーのレベルによって、カナダ人の決済利用の方法が異なることがわかっていた。

さらに、2018年のビットコインに関する包括的調査では、ビットコインの認知度は金融リテラシーのレベルに応じて高まるのに対し、ビットコインを保有する可能性は金融リテラシーのレベルが上がるにつれ、減少する逆相関となることが指摘されていた。

CASでは、経済学者Annamaria LusardiとOlivia Mitchellによって作られた「三つの質問」(注1)を用いて、金融リテラシーを測定した。その結果、回答者の47%を高度、35%を中度、そして18%を低度の金融リテラシーを有すると推定した。この結果は上記の二つの調査結果と非常に類似しているとのことだ。

そして、前述のビットコイン調査同様、金融リテラシーは仮想通貨の認知度と正の相関があるが、保有率とは負の相関があるという傾向があることがわかったという。その具体的な割合は以下の通り:

認識率 保有率
金融リテラシーが高いグループ 93% 4%
金融リテラシーが低いグループ 72% 8%

つまり、金融リテラシーの低い層は、高い層の倍の確率で、仮想通貨に投資していることになるが、レポートでは暗に金融投資についての理解が不足しているグループほど、仮想通貨に投資する傾向があると示唆しているようにも思える。

(注1)三つの質問 

1.普通預金口座に100ドルあり、金利は年2%と仮定する。5年間、口座を放置すると、その口座の残高はいくら? (102ドル以上、きっちり102ドル、102ドル未満、わからない、答えたくない)

2.普通預金口座の金利が年1%で、インフレ率が年2%だったと仮定する。1年後、この口座の残高で買うことができるのは?(今日以上、全く同じ、今日より少ない、わからない、答えたくない)

3.次の文章は正しいか誤りか。「株式投資信託より、一つの会社の株を買った方が、通常は安全なリターンが得られる」

その他の調査結果

一方、レポートは、カナダ人の84%が仮想通貨を認知しており、5%が仮想通貨を保有していると推定。人口統計学的に調査結果を分析した結果、仮想通貨の認知度と保有率が最も高い傾向にあるのは、若年、男性、大学教育を受けている、もしくは高収入の層であると判断している。

ある意味、金融リテラシーのレベルだけでは、仮想通貨投資の傾向を判断することは難しいのではないだろうか。世代によって選択する投資対象の傾向が異なることは頻繁に指摘されている。また、仮想通貨投資をきっかけとして、金融に対する理解を深めていくユーザーも多いと推測される。

今年に入り、コロナ禍で世界経済の先行きが不透明な中、「金融リテラシーが非常に高い」と推測される、著名投資家や機関投資家による仮想通貨投資への参入が、次々に報道されている。

2019年の調査に基づいたCASレポートは、特に変化と進化の著しい仮想通貨投資の、ごく限られた一面を映し出しているのではないだろうか。

出典:Bank of Canada

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/01 月曜日
09:15
中国人民銀行、仮想通貨取引の厳格取締を改めて要請、ステーブルコインも警戒対象
中国人民銀行が仮想通貨取引の取締強化を改めて各当局に要請した。仮想通貨関連活動の再活発化が背景にあるとみられ、ステーブルコインも警戒対象としている。
09:03
コインシェアーズ、XRP・ソラナ・ライトコインのETF申請を取り下げ
欧州大手のコインシェアーズが、XRP・ソラナ・ライトコインのETF申請を取り下げた。米国市場での大手運用会社への集中により、差別化や利益率確保が困難になるとの懸念を示し、ナスダック上場を控え、仮想通貨関連株式やアクティブ運用戦略など新商品の投入を計画している。
11/30 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、金持ち父さん著者キヨサキのBTC売却やソラナとXRPのETFの好調など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
12:00
DeFiで株式市場はどう変わる? Progmat齊藤達哉氏が語るオンチェーン金融の未来|独占インタビュー【後編】
Progmat齊藤達哉氏インタビュー後編。議決権付きトークン化株式で日本が世界初となる理由、2028年施行を目指すトークン化法のロードマップ、DeFi・AIエージェントを見据えた将来ビジョンを聞いた。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|個人マイナーのビットコイン採掘成功に高い関心
今週は、個人マイナーのビットコイン採掘成功、JPモルガンによる仮想通貨業界関係者の口座の連続閉鎖、アップビットの約48億円の不正流出に関する記事が関心を集めた。
11/29 土曜日
13:50
米賭けサイトカルシ、無免許スポーツ賭博運営で提訴
ブルームバーグによると米賭け市場のカルシが無免許でスポーツ賭博を運営し、マーケットメイキング手法について顧客を誤解させたとして集団訴訟を起こされた。共同創設者は主張を否定。
13:10
ブラックロック、債券ファンドでビットコインETF「IBIT」を買い増し
ブラックロックが7~9月期に債券ファンドで自社ビットコインETF「IBIT」を買い増していた。9月末時点で1.5億ドル相当を保有。ビットコイン現物ETFへの流入はここ数日復活傾向だ。
12:03
仮想通貨のバイバックとは?2025年注目の6銘柄を解説
2025年、仮想通貨業界で総額14億ドル規模に達したバイバック。ハイパーリキッド(HYPE)やパンプファン(PUMP)など、実際にバイバックを実施している6銘柄を徹底解説。株式の自社株買いとの違いや投資リスクもわかりやすく紹介します。
12:00
24時間・1円から取引可能に Progmat齊藤達哉氏が語る「トークン化株式」の全貌|独占インタビュー【前編】
Progmat代表・齊藤達哉氏に独占取材。1円単位・24時間取引可能な「トークン化株式」の仕組みと、議決権や優待も得られる投資家メリット、リアルタイム株主把握など発行企業メリットを聞いた。
11:30
アーサー・ヘイズがビットコイン年末25万ドル予測維持、流動性底打ちと量的引き締め終了を根拠に
ビットメックス共同創設者アーサー・ヘイズ氏が11月27日、ビットコインの年末25万ドル到達予測を堅持した。先週の8万600ドルを底値とみており、米ドル流動性の底打ちと量的引き締め終了が上昇を牽引すると分析。
11:00
税率10〜45%の差、アフリカ5カ国の仮想通貨課税の現状を探る
サハラ以南アフリカで年間30兆円超のオンチェーン取引が発生する中、各国が独自の仮想通貨税制を整備。南アフリカの18〜45%累進課税、ナイジェリアの15%一律課税、ケニアの10%物品税など、主要5カ国の税制アプローチを詳細解説。日本の税制改革案(55%→20%)との比較から見える、成長と規制のバランスとは。
10:10
IMF、資産トークン化のリスクを指摘 「フラッシュクラッシュ」の可能性を警告
国際通貨基金が資産トークン化のメリットとリスクを解説。自動取引による「フラッシュクラッシュ」の可能性や断片化の問題を指摘した。米SECなどの当局も規制を協議中だ。
09:35
テザー、中央銀行級の116トンの金を保有 世界最大の民間保有者に
世界最大のステーブルコイン発行企業テザーが116トンの金を保有し、中央銀行以外で世界最大の金保有者となった。第3四半期に26トンの金を購入し、韓国やハンガリーの国家準備金に匹敵する規模に。
07:55
米司法委員会、トランプ氏の仮想通貨関連事業を問題視
米下院司法委員会は、ドナルド・トランプ大統領の仮想通貨関連事業を問題視。大統領職の責任や健全性を取り戻すために、議会による改革を早急に行う必要があると主張している。
07:20
スイス、仮想通貨税務情報交換を2027年に延期 OECD基準の実施を先送り
スイス連邦参事会が26日、仮想通貨税務情報の国際自動交換開始を2027年に延期すると発表した。法的枠組みは2026年1月に施行されるが、パートナー国との調整が完了していないため実施は見送られる。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧