はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

現在の仮想通貨に対する課税方法が不適切とされる「8の理由」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨の革新性に相応しい新税制を
仮想通貨は、これまでに前例のない革新的な特性を有しており、旧来の金融インフラと同様の”税制及び課税スキーム”は不適切とされています。本稿では、「8つの理由」を挙げています。

課税に対する論争が白熱

仮想通貨取引への課税に関しては、数多くの論争を生んできました。

確定申告の統計を見ると、大勢の投資家が取引に関する利益の一部、あるいはその全てを申告していないのは明白です。

はたして、「既存の枠組み」で仮想通貨に課税するのは、本当に公平と言えるのでしょうか?

大きな問題は、”時代遅れ”とも言える旧来の税金システムを、仮想通貨というある意味”不釣り合いな資産”に対して、そのまま採用してしまっていることでしょう。

仮に法定通貨が仮想通貨と同様の課税方法で課税されたとしたら、どんなに小さな取引であっても、毎回課税されてしまうことになります。

例えば、以下のケースでは全て税金を支払わなければなりません。

  • 飲料水を自動販売機で購入した場合
  • 職場までタクシーを使って向かった場合
  • ドン・キホーテのレジにある1円ボックスなどを使用した場合
  • 5,000円札を1,000円札5枚に両替した場合

法定通貨において、この課税方法がいかに不適切であるかを理解した時、仮想通貨にとってはなおさら不適切であると気付くはずです。

仮想通貨取引において、”現行の課税方法がいかに不適切であるか”を8つの理由から考察しました。

1. 直接取引ができない

これは、単純ながら大切なことです。

例えば、ドルや円などの法定通貨でビットコインやイーサリアムを購入、その後に投資対象として選んだアルトコインを購入したとすると、そこに一定のタイムラグが生じます。

その間にも通貨の価値は変動し続けていますので、「仮に価値が上昇した場合、価格の差額が課税対象になってしまう」のです。

2. 狡猾なトレーダーの秘匿行為を助長しかねない

一部投資家は、主な活動をサイト上に留め、資産はコールドウォレット内に保管しています。

そのほかは、海外の取引所を利用することで、税務調査官による取引調査を困難にしています。

3. 富裕層はタックスヘイブンに退避している

もっとも利益を得た人々は、その財産を安全なところに隠しています。

元々、莫大な量のビットコインを購入可能な資産を保有していたいわゆる”富裕層”は、効率的な節税方法にも精通しています。

つまり結局のところ、税金の矢面に立たされるのは、普通のサラリーマン、家族で投資している一般人、初期から投資している人や仮想通貨の愛好家、技術に精通した人々など、少額投資で利益を得た庶民なのです。

4. 無価値のものに対する課税はナンセンス

計画に失敗したICO、ハッキングや詐欺などの被害者など、投資した通貨の実態が無価値になってしまった人々の例を考えてみてください。

現状の税制では、このような「投資金を失ってしまったケース」でさえ、課税対象になってしまいます。

ドルや円などの「法定通貨」や、会社の給料、既存の資産などは、何か起きた場合でも容易に追跡・特定することで取り戻すことが可能です。

このような、既存の仕組みを基に設計された課税方法を、新しい仕組みに対してそのまま適応するのは、公平であると言えるのでしょうか?

2017年末に投資を始めた大勢の投資家の資産評価額は、初期投資額を下回っています。

それでも彼らは、税金を払わなければならない義務を課せられているのです。

5. 確定申告書類の煩雑さ

大半の仮想通貨トレーダーは、さまざまなウォレットや、複数の仮想通貨取引所を駆使して、膨大な数の取引を行っています。

しかし税金を払うためには、一つ一つの取引を追跡・評価する必要が生じます。

それだけではなく、課税標準や利益の問題も出てきます。

課税標準とは、税金において、税額を算出する上で基礎となる課税対象を指す用語を指しており、利益は蓄積された差額のことを指しています。

この価格変動により、仮想通貨取引を日々行っている人々は、大きな会計上の問題を引き起こします。

仮想通貨決済を取り入れているビジネスにとって、この問題はより顕著に顕れることになるでしょう。

6. 仮想通貨専門の税理士はまず見つからない

あなたが確定申告に関する書類をまとめる過程で、全ての取引履歴、課税標準価格、一連の損益などを把握しきれていなかった場合、専門家への相談が必要となる場合があります。

しかし、仮想通貨に詳しい税理士などの専門家を探すのは容易ではなく、彼らもそれを重々承知しているため、手数料が高額になることで多くの利益を持って行かれてしまう可能性もあります。

7. プライバシーの強化や非中央集権化は税制と相反する

ビットコインの本質である非中央集権的な理念は、DEXなどの非中央集権型暗号通貨取引所の作成を後押しする可能性があります。

DEXとは

分散型暗号通貨取引所(Decentralized EXchange)のこと。

ブロックチェーン上の非中央集権型取引所であることで、高い安全性がメリットになる反面、割高な手数料や法定通貨が使用できない点、流動性及び利便性の低さがデメリット。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

今後、完全な「非中央集権型取引所」が台頭した場合、税金徴収する機関に取っては、ユーザーの取引データを申請する媒体そのものが消失するおそれがあります。

仮想通貨投資家も、取引が追跡不能で、ウォレットも特定不可能な「Monero」のような匿名性通貨を使用する傾向が高まるかもしれません。

CoinPostの関連記事

仮想通貨 モネロ(Monero)とは?
リング署名により取引履歴のトラッキングが困難な匿名通貨 ミキシングと同等の効果を得られる技術によって取引に...

8. 課税はイノベーションの弊害になり得る

すべての取引を追跡、報告を義務付けることは、投資家による(仮想通貨やICOなどへの)次なる投資意欲を削ぐことに繋がってしまう懸念があります。

これにより、仮想通貨およびブロックチェーン、イノベーターへの出資が不要に抑制されてしまい、将来的な世界経済の基盤となり得る「新規産業の発展」を阻害しかねません。

課税が重要なものではあることに異論の余地はありませんが、既存の金融インフラと同様の仕組みでは、前例のない特性を持つ革命的なテクノロジーである「ブロックチェーン及び仮想通貨」に対応することは困難です。

CoinPostの関連記事

1から学ぶ仮想通貨の税金の仕組み/確定申告ガイド
齋藤雄史公認会計士・税理士事務所 代表の齋藤雄史氏による、仮想通貨の税金の解説記事です。仮想通貨取引にかかる税金や確定申告の方法、考えられる節税方法などを掲載しています。
仮想通貨の税金がかかるタイミングと税金対策について解説
仮想通貨専門税理士・公認会計士の齋藤雄史氏の寄稿記事です。マイニングやハードフォークを含めた、様々な仮想通貨取引についての税金がかかるタイミングや税金対策について解説しています。
仮想通貨の税金逃れは即バレる!?"億り人"は特に注意!
仮想通貨専門税理士・公認会計士の齋藤雄史による寄稿記事です。仮想通貨の税金逃れ、脱税は、多大な利益を得た"億り人"は特にバレやすいです。主に海外取引所で取引をしていたとしても、バレる可能性が高いです。

8 REASONS WHY TAXING CRYPTOCURRENCY TRADES IS JUST NOT FAIR

Mar 26, 2018 by MELANIE KRAMER

参考記事はこちらから
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/25 火曜日
17:47
ギャラクシー・デジタル、ポリマーケットとカルシで流動性提供を検討=ブルームバーグ
仮想通貨投資大手ギャラクシー・デジタルが予測市場プラットフォームのポリマーケットとカルシでマーケットメイカーとして流動性提供を検討。既に小規模実験を開始しており、機関投資家の参入で市場の成熟が加速する可能性。
17:39
ビットコイン急落の背景は ETF・DAT・ステーブルコインの3大需要が逆転=NYDIGレポート
NYDIGは最新レポートでビットコイン急落の本質を明らかにした。ETF資金流出、DAT企業のプレミアム崩壊、ステーブルコイン供給減少という3大需要源の反転により、強気サイクルを支えた自己強化型ループが破綻したことが大きく影響している。
17:34
ソラナとXRPのETFが好調 資金フローの明暗が鮮明に
ビットコイン・イーサリアムETFが週次で大幅流出する一方、ソラナとXRPの現物ETFは資金流入を維持。20日連続流入のSOLや週次トップのXRPなど、資金フローの明暗を比較する。
17:05
CMEグループ、仮想通貨先物・オプション取引高が過去最高を更新
CMEグループが11月21日に暗号資産先物・オプション取引で過去最高の79万4,903件を記録。年初来の平均取引高は前年比132%増となり、機関投資家の参入拡大と市場成熟を示す。
15:38
SEC、Fuseエナジートークンを証券非該当と判断 実用型トークンに新たな道筋
SECが英Fuse Energyの実用型トークンを証券非該当と判断し、ノーアクションレターを発行。DePIN分野の規制明確化が進む中、市場規模は190億ドル(約2.9兆円)に達し、前年比270%の急成長を記録。
13:54
「プレミアムで取引されるデジタル資産トレジャリー企業は少数に」ビットワイズ見解
ビットワイズCIOがビットコインなどを保有するDAT企業の今後を分析した。プレミアムを維持できるのは一部のみで、多くはディスカウント価格で取引されると予想している。
12:13
中国、ビットコインマイニング世界3位に復活か シェアの14%を占める=ロイター
ロイター通信によると、中国のビットコインマイニングシェアが2021年の全面禁止後に約14%まで回復し、世界第3位に返り咲いた。新疆や四川で余剰電力を活用した地下採掘活動が活発化。
12:01
JPモルガン、仮想通貨企業CEOの口座閉鎖か 「チョークポイント2.0」と波紋を呼ぶ
ビットコイン決済アプリStrikeのCEOがJPモルガンの口座を閉鎖されたと訴えている。仮想通貨業界への銀行サービス拒否が続いている可能性が浮上し波紋を呼んでいる。
11:44
グレイスケール、XRP・ドージコインETFを上場開始 管理手数料は初期免除
グレイスケールがXRP・ドージコイン現物ETFを11月24日にNYSE Arcaで上場開始。管理手数料0.35%、初回3カ月間または10億ドル到達まで無料。米国初の純粋なドージコイン現物ETFとして、キャナリー・キャピタル、ビットワイズに続く市場参入。アルトコインETF市場が急拡大中。
11:35
米ビットコイン現物ETF、4週連続で資金が純流出
米上場の仮想通貨ビットコインの現物ETFは、先週の資金フローが約1,914億円の純流出だった。これで週次としては4週間連続で純流出となったが、ポジティブな見方も上がっている。
06:50
金融庁、仮想通貨交換業者の責任準備金積立を義務化へ
金融庁は仮想通貨交換業者に対し、不正流出などの事案に備えて責任準備金の積み立てを義務付けることがわかった。金商法適用の議論が進む中、投資家保護を強化する。
11/24 月曜日
17:50
ブラックロック、ビットコイン投資の本質は「デジタルゴールド」 機関投資家が重視する“真の価値”とは?
世界最大の資産運用会社ブラックロックのデジタル資産部門責任者が、機関投資家がビットコインに投資する理由を解説した。「デジタルゴールド」としての価値保存機能が重視される一方、決済手段としての利用は依然投機的との見方を示した。
11:47
ソラナのインフレ率を下げる改善提案 今後6年で2,230万SOLの発行量削減見込む
仮想通貨ソラナのコミュニティがインフレ減少率を引き上げる改善提案を公開した。目標インフレ率への到達が6年から3年に短縮する見込みだ。
10:25
「仮想通貨市場の弱体化、背景にマーケットメーカーの機能不全」トム・リーが指摘
ビットマイン会長が仮想通貨市場の下落が続いている要因を分析した。10月10日の清算イベントがマーケットメーカーを機能不全にしていると見解を示している。
11/23 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、ヴィタリック紹介のイーサリアム新ツールやXRPのステーキング導入案など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧