KlaytnとConsenSysが提携
イーサリアム(ETH)開発企業ConsenSysと韓国インターネット大手カカオのブロックチェーンプロジェクトKlaytnが戦略的提携を結んだことがわかった。
今年末に予定される、韓国中銀のデジタル通貨(CBDC)の試験運用プログラムへの参加を視野に入れた動きで、Klaytnのプライベート・プラットフォームの開発が目的だ。
Klaytnはイーサリアム基盤のパブリック・ブロックチェーンで、カカオのブロックチェーン子会社Ground Xが開発を担う。開発チームは今回の提携を通じて、Klaytnプラットフォームの機能を向上させ、CBDCの運用に適したプライベートバージョンを開発する。
プラットフォームの具体的な機能としては、以下の3点が挙げられている。
- プライバシーの確保:金融機関が求めるデータ保護要件を反映
- イーサリアムのレイヤー2ソリューションでスケーラビリティに対処
- 複数のブロックチェーンをつなぐ相互運用性の実現
ConsenSysは、企業向けのスタック(ConsenSys Codefi Asset、Codefi Payments、MetaMask等)を活用して、CBDCプラットフォームに最適化したソリューションを構築する。
Ground XのJason Han最高経営責任者は、「ConsenSysとの協力を通して、パブリックネットワークを強化し、CBDCの流通テストにうまく対応できるプライベートネットワークを構築できることを嬉しく思う」とコメント。
また、イーサリアムとKlaytnの相互運用性を向上させることで、デジタル資産が2つのチェーンをシームレスに行き来できるようにしたいと付け加えた。
韓国中銀のCBDC計画
昨年10月、韓国の中央銀行である韓国銀行が、2021年にCBDCの流通テストを予定していると報道された。昨年4月にCBDCのパイロットプログラムが発表されていたが、第一段階である要件定義と設計、またプロジェクト施行に必要な技術の見直しはすでに完了。ビジネスとの関連プロセスの分析と検討を行う第二段階に入っていた。
当時、韓国銀行がCBDCについて、Klaytnを含む民間ブロックチェーン企業と協議したことが明らかになっており、韓国銀行関係者は「カカオの技術や現在のビジネスについて聞き取り調査を行った」と地元メディアPaxnet Newsに語っている。新韓銀行や韓国LGグループのLG CNSもCBDCテストのためにソリューションを開発し、準備を進めている模様。
試験運用の仮想環境ではCBDCの発行、配布、送金、決済および償還を行う予定だ。
なお、このパイロットプログラムは、機能と安全性に関する実証実験であり、必ずしも実際のCBDC発行に繋がるものではないと、韓国中銀は述べている。
ConsenSysのCBDCプロジェクト
Klaytnとの提携にあたり、 ConsenSysのアジア太平洋地域担当責任者であるCharles d’Haussy氏は、ConsenSysは8つの主要中央銀行のCBDC試験プログラムを支援する実績があり、安全で効率的にCBDCを発行するためのネットワーク構築に関しては「比類なき専門知識とインフラツールを備えている」と強調した。
またConsenSysはタイ銀行、香港金融管理局、フランス銀行および欧州中銀、オーストラリア準備銀行など、世界各国のCBDCプロジェクトに参加している。
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ConsenSysは今月、6,500万ドル(約70億円)の資金調達に成功。マスターカードやJPモルガンなどの金融大手に加え、Maker FoundationやAlameda Researchなどのブロックチェーン関連企業が出資した。
調達した資金はDeFi(分散型金融)やWeb3.0(分散型インターネット)、企業向けブロックチェーンインフラの開発にあて、従来の金融サービスとブロックチェーンの融合を促進していく。
マスターカード社は、CBDC発行を検討する中央銀行を支援するなど、デジタル通貨に特化した戦略に取り組んでいることから、ConsenSysの企業向けネットワーク「Enterprise Ethereum」を高く評価していた。
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